健診結果の見方・対策

健診の項目別ガイド

<提供> 株式会社保健同人社 <監修> 和田高士(東京慈恵会医科大学大学院 健康科学教授)

目の検査

視力の低下、緑内障など目の病気の有無を調べる

緑内障や網膜剥離(もうまくはくり)などの目の病気、動脈硬化、糖尿病などの病気の情報を得るために、視力や眼球内の圧力、透光による写真撮影から、水晶体の血管を調べて、水晶体、視神経、眼球、網膜に異常があるかどうかを見ます。

<検査項目>

視力 … 遠くの小さい文字を認識できるかチェック

基準範囲は?
基準範囲:1.0以上
どんなことがわかる?
水晶体の屈折異常の有無

目の中の水晶体(すいしょうたい)という組織は、カメラレンズの役割をしています。遠くのものや、近くのものが鮮明に見えるのは、水晶体レンズが屈折調節しているからです。しかし、屈折異常がおこると、遠くのものがぼやけたり(近視)、遠くも近くもぼやけたり(遠視)、近くのものがぼやけたり(老視=老眼)、ぼやけたりだぶって見えたり(乱視)します。通常の視力検査では、近視の程度がわかります。

基準値からはずれると診断される(診断されやすい)病気は?
視力が低いときに疑われる病気

近視

教えて!ドクター 「メガネをかけても視力が1.0未満の場合は、どうすればいい?」
メガネやコンタクトレンズを使用して矯正しても1.0未満の場合は、屈折異常以外の目の病気が疑われます。

眼圧 … 眼球内の圧力をチェック

基準範囲は?
基準範囲:10mmHg~20mmHg
どんなことがわかる?
眼圧が上がる緑内障を見る

眼球の中は、房水(ぼうすい)という液体によって圧力が維持され、眼球の形をキープしています。正常時は房水の産生量と流出量が一定ですが、出入りのバランスが崩れて眼圧が上がると、視神経がおかされて視野が狭くなる「緑内障」になります。進行すると失明することもある病気です。

基準値からはずれると診断される(診断されやすい)病気は?
眼圧が高いときに疑われる病気

高眼圧症、緑内障

眼圧が低いときに疑われる病気

網膜剥離、外傷など

教えて!ドクター 「40歳以上の20人に1人は緑内障?」
緑内障は、中高年に多く見られる病気です。片眼に視野障害があっても、両眼で見るため補正されてしまいます。その結果、視野が欠けているという自覚症状なく進行してしまい、気づいたときは視野(見える範囲)は狭くなっています。なお、緑内障の7割は眼圧が高くなくてもおこる「正常眼圧緑内障」です。緑内障の診断は、眼圧検査、眼底検査、視野検査などを総合して判断されますが、早期発見のためにも定期的に目の検査を受けましょう。

眼底 … 眼球の内側の網膜をチェック

基準範囲は?
基準範囲:異常なし・所見なし
どんなことがわかる?
眼底の血管の変化から全身の状態がわかる

眼底は、瞳孔(どうこう)を通して見える眼球の内側のことで、体の中で唯一、血管や神経組織を肉眼で観察できます。そのため、眼底の血管から全身の動脈硬化の状態を推測することができます。また、糖尿病網膜症の診断には欠かせません。

基準値からはずれると診断される(診断されやすい)病気は?
眼底検査でわかる病気

緑内障、網膜剥離、加齢黄斑変性、動脈硬化症、糖尿病網膜症など

※診断は、さまざまな検査を総合して行います。
画像診断結果にこんな事が書いてある!
眼底検査の所見一覧(50音順)
所見 所見の解釈
黄斑変性
(おうはんへんせい)
網膜の毛細血管の萎縮が原因となって、黄斑部に萎縮性変化が生じた状態です。徐々に視力が低下します。経過観察もしくは眼科医受診が勧められます。
視神経萎縮
(ししんけいいしゅく)
視神経が萎縮しています。視神経乳頭という部位の色調が赤みを失って蒼白色に変化します。視神経病変や緑内障などで生じます。原因を調べるために眼科受診が勧められます。
視神経乳頭・浮腫
(ししんけいにゅうとう・ふしゅ)
視神経が眼球に入る部分である視神経乳頭が腫れています。脳内疾患の可能性があります。数秒程度のごく短時間、視界がぼやける、まったく眼が見えなくなるなどの視力の変化がおこるのが、乳頭浮腫の典型的な症状です。原因特定のために検査が必要になることがあります。
硝子体混濁
(しょうしたいこんだく)
硝子体に炎症産物や細胞が混入してにごりが生じています。放置してよいものと治療が必要なものがあり、原因を調べるために眼科受診が勧められます。
新生物
(しんせいぶつ)
眼の中に腫瘍性の病変があります。まれな病気です。眼科を受診して切除すべきかどうかを決めてもらいます。
中心性漿液性脈絡網膜症
(ちゅうしんせいしょうえきせいみゃくらくもうまくしょう)
黄斑部に漿液がたまり、直線がゆがんで見えます。ストレスや過労が関与しているとされる疾患です。自然に治ることもありますが、長引いたり再発する場合はレーザー治療(光凝固や光線力学的療法)が行われることがあります。
ドルーゼン
(どるーぜん)
加齢変化で網膜下に不要物質が沈着した状態。眼底写真で黄白色斑点が広い範囲に散在して見えます。軟性ドルーゼンの一部は加齢黄斑変性に移行します。
乳頭陥凹拡大
(にゅうとうかんおうかくだい)
視神経が集ったくぼみが視神経乳頭です。視神経乳頭陥凹は正常者でもみられますが、拡大したものは緑内障が疑われます。眼科で原因を調べてもらい、視野検査を受ける必要があります。
白内障
(はくないしょう)
目のレンズである水晶体がにごり、視力障害やかすみ目が生じます。症状改善には手術療法が必要です。
ぶどう膜炎
(ぶどうまくえん)
ぶどう膜(虹彩=ひとみ、毛様体、脈絡膜=網膜の裏側に存在)が炎症を起こしています。全身性の病気が原因で起こる場合と、ウイルスや寄生虫などの感染が原因で起こる場合があります。眼科で原因を調べてもらうとともに炎症を抑える治療を受けます。
網膜色素変性
(もうまくしきそへんせい)
初期の症状は夜盲症で、視野が狭くなります。遺伝の要素が強く、治療が難しい疾患です。
網膜出血
(もうまくしゅっけつ)
糖尿病、高血圧などの全身疾患や各種の眼科疾患で発症します。眼底出血とも呼ばれます。血液がたまった場所によりそれぞれ特徴のある形や色調として見られます。眼科治療とともに、原因として多い高血圧、糖尿病などがあれば内科受診も必要です。
網膜前膜・上膜
(もうまくぜんまく・じょうまく)
黄斑部を中心に形成される膜状物をいいます。軽症の場合は自覚症状はありません。視力障害が強い場合は硝子体手術をします。
網膜中心静脈閉塞
(もうまくちゅうしんじょうみゃくへいそく)
網膜中心静脈が閉塞して網膜に障害をおこします。非虚血型と虚血型があり、そのタイプや重症度によって治療が異なります。
網膜中心動脈閉塞
(もうまくちゅうしんどうみゃくへいそく)
網膜中心動脈に血液が流れなくなり、突然の急激な視力障害が生じます。通常は片目だけに起こります。網膜動脈のつまりを解消するために、できるだけ早く眼科を受診します。
網膜剥離
(もうまくはくり)
網膜に小さな穴ができ、この穴から眼球内の水が網膜の下に入り込んで網膜が剥離する裂孔原性と、網膜内部に水がたまりその影響で剥離する滲出性(しんしゅつせい)の網膜剥離があります。ただちに手術の必要があります。
網脈絡膜萎縮・変性
(もうみゃくらくまくいしゅく・へんせい)
網脈絡膜に萎縮、変性が見られます。放置してよいものと治療が必要なものがあります。眼科受診が必要です。
網脈絡膜腫瘍
(もうみゃくらくまくしゅよう)
悪性腫瘍を発症している可能性もあり、眼科で手術をすべきかどうか調べてもらう必要があります。
緑内障
(りょくないしょう)
見える範囲が狭まり、進行すると失明します。現在、成人の中途失明原因の第1位の病気です。眼圧値が正常でも、眼底写真で見つかることもあります。
※所見の解釈は一般的なものです。必ず医療機関の方針に従ってください。
<利用上の注意>
基準範囲は、検査機関・検査方法によって異なる場合があります。
ここでは、日本人間ドック学会が定めた基準範囲を中心に紹介しています。
なお、健診結果を理解し生活習慣の改善にお役立ていただくための参考値として基準範囲等を掲載しております。
そのため、生命保険のお申し込みの際、当サイトに掲載している基準範囲内であっても条件付にて保険契約を
お引き受けする場合や保険契約のお引き受けができない場合がございます。あらかじめ、ご了承ください。

関連コンテンツ

​​