健診結果の見方・対策

健診の項目別ガイド

<提供> 株式会社保健同人社 <監修> 和田高士(東京慈恵会医科大学大学院 健康科学教授)

呼吸器系の検査

肺の病気の有無や、呼吸器の健康状態を見ます

肺のX(エックス)線写真で、肺に細菌やウイルスが感染していないか、肺にがんなどの腫瘍が生じていないかを診断します。また、肺活量などの呼吸機能検査で、肺が正常に機能しているかどうかを見ます。

<検査項目>

胸部X線検査 … 胸部の病変をチェック

基準範囲は?
基準範囲:異常なし・所見なし
どんなことがわかる?
肺がんの早期発見に有効

胸部にX線(放射線の一種)を照射し、肺の異常を透過像でチェックします。病巣があれば、X線写真に白い影が映し出されます。肺炎や肺がん、肺結核、肺腫瘍、胸膜炎などの呼吸器の病気を診断することができます。

画像診断結果にこんな事が書いてあった!これってどんな状態?
胸部X線検査(呼吸器)の所見一覧(50音順)
所見 所見の解釈
円形陰影
(えんけいいんえい)
4cm未満の丸い陰影。肺結核、肺腫瘍などの場合に見られます。原因疾患によって再検査や精密検査が行われることがあります。
横隔膜高位・挙上
(おうかくまくこうい・きょじょう)
胸部と腹部を隔てる横隔膜が通常よりも高い位置にあります。生まれつきの場合もありますが、胸部手術後、結腸ガスの増加、肝臓腫瘍などにもおこります。経過観察か精密検査が行われることがあります。
間質性肺炎
(かんしつせいはいえん)
肺胞壁の間の間質部分に炎症をおこしています。精密検査か治療が必要です。
気管圧排・偏位
(きかんあっぱい・へんい)
気管の位置が周囲臓器の影響により、一部分が左右いずれかに曲がった状態です。甲状腺腫瘍、無気肺、縦隔腫瘍(じゅうかくしゅよう)などの場合に見られます。原因を調べるため、超音波検査やCT検査などが行われます。
気管狭窄
(きかんきょうさく)
気管が狭くなっています。肺結核、肺腫瘍などによっておこります。精密検査が行われることがあります。
気管支拡張像
(きかんしかくちょうぞう)
気管支が拡張しています。気管支拡張症などの場合に見られ、精密検査が行われることがあります。
気胸
(ききょう)
肺に穴が開き、空気が肺の外側に漏れて肺が圧迫され縮んでしまっている状態です。呼吸をしても大きく息が吸えない、激しい運動をすると呼吸ができなくなるなどの呼吸困難、咳などが見られます。圧迫された肺の容積が小さい場合は安静にすることで治りますが、大きい場合は緊急治療が必要です。
奇静脈葉
(きじょうみゃくよう)
奇静脈が胎児の形成過程で肺を横切ったために、右肺の上部が二つに分かれているものです。ごくまれに見られる正常変異の一つです。問題ありません。
胸郭変形
(きょうかくへんけい)
肺の周りの骨格である胸郭の変形です。外傷や手術後、ハト胸などでおこります。軽度異常か経過観察です。
胸水
(きょうすい)
肺炎、がん、心臓病などが原因で通常存在しない水が胸部にたまった状態です。胸水がたまる原因をつきとめ、治療を行います。
胸壁腫瘤影
(きょうへきしゅりゅうえい)
肺を包む胸膜、肋骨、筋肉などにこぶ状の陰影がある状態です。胸膜腫瘍などでおこりますので、精密検査を受け、治療が必要です。
胸膜石灰化影
(きょうまくせっかいかえい)
肺を包む胸膜にカルシウムが沈着するものです。結核性胸膜炎が治ったあとに生ずることが多いです。石綿ばく露による可能性があればCTなど精密検査が必要です。病気発生からある程度の時間が経過して現れる所見です。病気が治った痕であれば問題ありませんが、それ以外は経過観察が必要です。
胸膜肥厚
(きょうまくひこう)
肺を包む胸膜が厚くなった状態です。過去の胸膜炎、肺感染症などが原因として考えられます。軽度異常なのでとくに問題ないことが多いです。
胸膜癒着
(きょうまくゆちゃく)
肺を包む胸膜に炎症がおこり、周囲に癒着した痕です。過去の胸膜炎、肺感染症などが原因として考えられ、現状以上の変化はありません。軽度の異常です。
空洞性陰影
(くうどうせいいんえい)
病変により死んだ組織が排除され、その後に空間が形成されたものです。肺化膿症、肺がん、肺寄生虫症、肺真菌症などが原因で生じることがあります。精密検査が必要です。
結節影
(けっせつえい)
30mm未満の境界のはっきりした丸い陰影。肺腫瘍、肺結核などの場合に見られ、精密検査が行われることがあります。
縦隔拡大
(じゅうかくかくだい)
左右の肺の間を縦隔といい、この幅が広くなっている所見です。腫瘍、食道拡張などで見られ、精密検査が行われることがあります。
縦隔気腫
(じゅうかくきしゅ)
左右の肺の間の縦隔に空気が侵入しているものです。外傷による肺損傷、激しく吐いたあと、食道に小さな穴が開いたりした場合などにおこります。精密検査か治療が必要です。
縦隔リンパ節腫大
(じゅうかくりんぱせつしゅだい)
左右の肺の間にある縦隔のリンパ節が腫れています。悪性リンパ腫やサルコイドーシスなどでおこります。精密検査か治療が行われることがあります。
縦隔リンパ節石灰化影
(じゅうかくりんぱせつせっかいかえい)
左右の肺の間にある縦隔のリンパ節にカルシウムが沈着したものです。結核などが考えられます。精密検査か治療が行われることがあります。
シルエットサイン
(しるえっとさいん)
本来存在しないものが、本来存在するものと同じX線透過度でかつ境界を接して存在するときに、その境界線が見えなくなる所見をいいます。精密検査が必要です。
浸潤影
(しんじゅんえい)
肺胞内への細胞成分や液体成分の貯留によっておこります。肺がん、肺感染症などが考えられます。精密検査が必要です。
脊椎後弯症・側弯症
(せきついこうわんしょう・そくわんしょう)
背骨が、後ろまたは左右どちらかに弯曲しています。軽度であればとくに問題ありません。
線状影・索状影
(せんじょうえい・さくじょうえい)
太さが1mm~2mmの細い陰影を線状影、2mm~3mmのやや太い陰影を索状影といいます。線状影は、とくに病的なものではなく、健康な人でも映ることがあります。索状影は、一般的には炎症のあとにできる陰影です。経過観察となります。
造影剤残留
(ぞうえいざいざんりゅう)
胃の検査で飲んだバリウムが誤って気道に入り、気管支に残っていることをいいます。発熱、せきなどが続かなければ問題ありません。
陳旧性胸膜炎
(ちんきゅうせいきょうまくえん)
過去に肺を包む胸膜に炎症がおき、それが治癒した痕です。過去の炎症の痕なので心配ありません。
軟部陰影の異常
(なんぶいんえいのいじょう)
肺周囲の筋肉や脂肪などの部位に異常が見られるものです。脂肪腫などでおこります。とくに問題ないことが多いです。
嚢胞またはブラ
(のうほう)
肺胞の壁の破壊や拡張によって、隣接する肺胞と融合した大きな袋に空気の入った状態をいいます。ブラともいいます。これが破れると自然気胸という病気がおこります。経過観察です。
肺過膨張
(はいかぼうちょう)
肺の容積が全体的に膨れている状態。肺気腫などの場合に見られます。進行すると、呼吸困難、慢性のせき、痰が出てくることがあります。経過観察か精密検査になる場合があります。
肺気腫
(はいきしゅ)
正常な肺の袋状構造が拡張ならびに破壊される病気のこと。肺胞壁の破壊的変化が進行することがあります。タバコが原因の場合が多いので、タバコを吸っている人は禁煙。精密検査か治療になる場合があります。
肺血管影異常
(はいけっかんえいいじょう)
肺内の血管が通常の太さと異なるもの。太くなっている場合は心臓機能の低下、見えにくい場合は肺気腫などが考えられます。原因疾患によってその後の経過は異なりますが、経過観察あるいは精密検査です。
肺腫瘍
(はいしゅよう)
肺の組織に発生した腫瘍をいいます。良性か悪性かをCT検査などで診断する必要があります。
肺線維症
(はいせんいしょう)
肺組織が線維化をおこしている病気で、肺の機能が障害されている状態です。精密検査か治療です。
肺門部(リンパ節)腫大
(はいもんぶしゅだい)
左右の肺の間にあり、気管や血管の出入口になっている部分が腫れていることをいいます。多数のリンパ節が存在します。肺腫瘍、肺結核、サルコイドーシスなどでおこります。精密検査が必要です。
肺門部石灰化
(はいもんぶせっかいか)
肺門部にカルシウムが沈着しているものです。肺結核、サルコイドーシスなどに見られます。原因疾患によってその後の経過は異なりますが、経過観察か精密検査になる場合があります。
肺紋理増強
(はいもんりぞうきょう)
枝状に分岐した肺血管の陰影が普通より目立つ状態。心不全などでは肺血管が太くなったり、気管支周辺の炎症などでおこります。経過観察あるいは精密検査です。
肺野透過性亢進
(はいやとうかせいこうしん)
肺が正常よりも黒く見えることをいいます。肺気腫など肺内の空気量が増えた場合に見られます。経過観察あるいは精密検査です。
びまん性網状影
(びまんせいもうじょうえい)
肺間質の肥厚によってできる網の目状に見える陰影が広範囲に拡がる所見です。肺線維症、サルコイドーシスなどに見られます。原因疾患によってその後の経過は異なりますが、経過観察あるいは精密検査です。
びまん性粒状影
(びまんせいりゅうじょうえい)
直径数ミリ以下の顆粒状の陰影が多数見られる状態です。肺結核などで見られます。経過観察あるいは精密検査です。
無気肺
(むきはい)
気管支が肺腫瘍や異物などにより閉塞し、空気の出入りがなくなったために、部分的に肺容積が縮んだ所見です。肺容積の減少により低酸素状態になることがあります。精密検査が必要です。
漏斗胸
(ろうときょう)
前胸部の肋軟骨が、一時期ほかの肋骨や胸骨などよりも早く成長するために、肋骨と肋軟骨との間にアンバランスが生じ、その結果として、両方から押されるために真ん中の胸骨が陥凹している状態。状態にもよりますが、内臓を圧迫していて症状がある場合は手術治療を行います。
※所見の解釈は一般的なものです。必ず医療機関の方針に従ってください。

呼吸機能 … 空気を肺にため、吐く力をチェック

基準範囲は?
基準範囲:%肺活量:80%以上、1秒率:70%以上
どんなことがわかる?
肺の換気機能レベルを見る

肺活量などで肺の換気機能を調べます。%肺活量(年齢、性別、身長から算出される予測肺活量に対しての実測肺活量の比率)、1秒率(思い切り息を吸い込んで最速で一気に吐き出したときの最初の1秒間に吐き出す能力)などの結果から、呼吸器系疾患の有無や程度がわかります。

基準範囲からはずれると診断される(診断されやすい)病気は?
%肺活量が低いと疑われる病気

間質性肺炎、肺線維症など肺組織が固くなる病気

1秒率の検査値が低いと疑われる病気

慢性気管支炎、気管支喘息など空気の通りが悪くなる病気

<利用上の注意>
基準範囲は、検査機関・検査方法によって異なる場合があります。
ここでは、日本人間ドック学会が定めた基準範囲を中心に紹介しています。
なお、健診結果を理解し生活習慣の改善にお役立ていただくための参考値として基準範囲等を掲載しております。
そのため、生命保険のお申し込みの際、当サイトに掲載している基準範囲内であっても条件付にて保険契約を
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