がん

手術数でわかる いい病院

<提供> 朝日新聞出版社 週刊朝日MOOK「手術数でわかる いい病院 2018」

子宮・卵巣がん手術

子宮・卵巣がん手術(全国データ)


病院名 所在地 手術数 子宮
頸がん
子宮
体がん
卵巣
がん
子宮
体がん
腹腔鏡
手術
放射線
治療
新規
患者数
1 がん研有明病院 東京 537 119 225 193 139 83
2 埼玉医科大学国際医療センター 埼玉 288 37 123 128 60 91
3 東京慈恵会医科大学柏病院 千葉 280 76 94 110 18 70
4 東北大学病院 宮城 266 54 112 100 14 78
5 慶応義塾大学病院 東京 262 87 101 74 58 97
6 兵庫県立がんセンター 兵庫 256 58 113 85 19 77
7 (国)北海道がんセンター 北海道 243 78 96 69 33 51
8 県立静岡がんセンター 静岡 214 40 98 76 42 78
9 大阪医科大学病院 大阪 208 56 66 86 52 50
10 大阪大学病院 大阪 203 50 89 64 50 86
11 札幌医科大学病院 北海道 189 50 75 64 16 54
11 東京医科大学病院 東京 189 46 54 89 48 25
11 名古屋大学病院 愛知 189 70 73 46 23 121
14 九州大学病院 福岡 188 71 71 46 21 45
15 岩手医科大学病院 岩手 185 48 69 68 0 61
16 埼玉県立がんセンター 埼玉 184 36 96 52 6 74
17 国立がん研究センター中央病院 東京 171 32 73 66 0 107
18 自治医科大学病院 栃木 169 29 80 60 0 75
18 大阪国際がんセンター * 大阪 169 47 72 50 27 52
20 愛媛大学病院 愛媛 168 42 71 55 27 66
21 東京大学病院 東京 166 49 61 56 9 33
22 愛知県がんセンター中央病院 愛知 165 39 77 49 10 49
23 東海大学病院 神奈川 163 31 66 66 5 66
24 関西医科大学病院 大阪 160 28 69 63 13 30
25 神奈川県立がんセンター 神奈川 159 46 68 45 1 107
26 都立多摩総合医療センター 東京 158 32 71 55 0 37
27 都立駒込病院 東京 155 42 69 44 7 73
28 近畿大学病院 大阪 151 28 57 66 30 38
29 千葉大学病院 千葉 148 12 53 83 0 53
29 東京慈恵会医科大学病院 東京 148 40 46 62 24 35
31 京都大学病院 京都 145 35 68 42 38 42
32 筑波大学病院 茨城 144 35 63 46 23 68
32 倉敷成人病センター 岡山 144 36 55 53 54
34 鹿児島大学病院 鹿児島 143 48 61 34 30 32
35 熊本大学病院 熊本 142 40 54 48 0
36 山形大学病院 山形 140 31 57 52 0 26
37 横浜市立大学病院 神奈川 136 16 77 43 32 78
37 三重大学病院 三重 136 32 57 47 15 53
37 神戸市立医療センター中央市民病院 兵庫 136 21 58 57 32 30
40 岡山大学病院 岡山 134 25 58 51 11 53

* 2017年3月「大阪府立成人病センター」から名称変更・移転

表の見方
がん診療連携拠点病院と厚生労働省が届け出義務を課す「子宮附属器悪性腫瘍手術等」について2014年に10例以上の583病院を対象に調査した。2016年1年間の子宮頸がん、子宮体がん(それぞれ0期は除く)、原発性卵巣がん(境界悪性、卵管がん、腹膜がんを含む)の合計の手術数で並べた。子宮体がんの腹腔鏡手術数も併記した。がん放射線治療の調査対象に該当する病院は新規患者数を記した。

治療の大半は高い技術が必要な切除術

容体や患者の希望にもよるものの、治療の大半は手術だ。
部分切除から全摘出、内視鏡での治療もある。
妊娠の可能性が残せるかどうかも念頭に入れて方針を決めたい。

子宮体がんに腹腔鏡手術をおこなう病院が増えている

子宮頸がん 子宮体がん

ランキングの読み方
いずれの手術も経験がものをいう

子宮頸がん、体がんについて「手術数が多いほどいい病院である」という見解は、東京慈恵会医科大学柏病院の髙野浩邦医師、神奈川県立がんセンターの加藤久盛医師とも同じだ。

髙野医師は、「卵巣がんも含め、いずれかの手術が週1件、年間50件以上が一つの目安」という。加藤医師は、ランキングの手術件数に子宮頸がん0期の手術「子宮頸部円錐切除術」が含まれていない点に注意してほしいという。
「円錐切除術を専門に実施し、大きい手術はほかの病院に紹介している病院もあります。そうした病院はランキングには入ってきません」(加藤医師)

妊娠の可能性が残せる場合、治療方針が変わることがある。最初に医師に伝えておきたい。
子宮体がんは2014年4月から腹腔鏡手術が保険適用になった。海外の研究では、手術時間は開腹手術と比べて長いものの、出血量が少なく、術後の回復が早いとされている。術後合併症の率にも差はない。

「腹腔鏡手術で特に注意が必要なのがリンパ節郭清です。医師は手術経験を重ねることが大事です。希望する場合は腹腔鏡手術数と、子宮がん・卵巣がんの手術総数、双方が多い病院で受けたほうがいいでしょう。腹腔鏡手術を実施していない病院は、希望すればほかの病院に紹介してくれるはずです」(髙野医師)

放射線治療の新規患者数について加藤医師は、「数が多ければ、それだけ放射線治療の経験が豊富で、副作用対策にも慣れているといえるのではないでしょうか」と話す。

ランキング以外の病院の選び方
婦人科腫瘍専門医のいる病院がいい

「子宮頸がんで注意したいのはIIB期の患者さん。手術をせずに化学放射線療法を受ける方法も選択肢になるからです。手術を積極的におこなっている病院と半々くらいの割合という印象です。手術を希望する場合は当然、積極的に実施している病院を選ぶべきでしょう」(髙野医師)

子宮体がんの腹腔鏡手術は、医師の技量が重要になる。
「腹腔鏡の技術認定医とともに、婦人科腫瘍専門医を取得していることがポイント」
と、両医師は言う。

「腹腔鏡手術は子宮筋腫や子宮内膜症など、良性腫瘍の分野でもおこなわれていますが、がんの場合、リンパ節を郭清するかどうかの事前予測なども大切であり、がんの深い知識が欠かせません。少なくとも婦人科に腫瘍専門医がいることが必須です。複数いればなおいいでしょう。ホームページに医師の経歴が載っているので参考にするといいと思います」(加藤医師)

卵巣がん

ランキングの読み方
治療の基本は手術 高い技術力と経験が必要

卵巣がんも子宮頸がん・体がんと同様に、「手術数が多いほどいい病院」と両医師は言う。
卵巣がんはいずれのステージでも手術が基本となる。左右の卵管と卵巣を取り除く「両側付属器摘出術」に加え、「子宮全摘出術」を実施。さらに卵巣がんの転移が起こりやすい大網(胃と横行結腸をつなぎ、臓器を覆っている脂肪組織)を切除し、傍大動脈から骨盤までのリンパ節郭清をおこなう。その後、化学療法を追加するのが一般的だ。髙野医師は言う。

「卵巣は沈黙の臓器といわれています。来院時にすでにおなかのあちこちにがんが広がっているⅢ期以降で、進行卵巣がんの場合も少なくありません。そうした場合、周囲のがんを含めた完全摘出をめざす『腫瘍減量術』がおこなわれます。目に見えるがんを完全に取り除くと、生存率がいいとわかっているからです。そのため、高い技術が必要であり、手術数は非常に大事です」

最近はからだへの負担が少ない方法も検討されてきているという。
「卵巣がんは抗がん剤が比較的よく効くので、まずは抗がん剤でがんを小さくしてから腫瘍減量術をおこなう病院も増えてきています」(加藤医師)

現在、JCOG(日本臨床腫瘍研究グループ)では、従来の腫瘍減量術と、術前化学療法後に腫瘍減量術をおこなう方法とで、生存率や合併症の率を比較する調査を実施中だ。どちらの治療がいいかをよく検討し、納得のいく方法を選びたい。

ランキング以外の病院の選び方
泌尿器科など連携科の充実度

腫瘍減量術は切除する部位が広い範囲におよぶため、泌尿器科や消化器外科、肝胆膵外科、呼吸器外科、血管外科などの協力が必要なことが多い。このため、「各科との連携ができている総合力のある病院で受けることが望ましい」と髙野医師は言う。
「例えば尿道口や肛門に病巣がおよぶ『外陰がん』は広い範囲を切除することになり、その際、泌尿器科、消化器外科、形成外科との連携がなされることが一般的です」(髙野医師)
チェックポイントは、病院のホームページなどに「外陰がん」を扱っていると書かれているかどうかだ。

加藤医師も言う。
「卵巣がんに限りませんが、婦人科がんの治療にはチーム医療が大事です。この点は、スタッフ数の多さがいい病院の目安になるでしょう。若い医師が多いことも、別の意味で評価に値します。なぜなら、その医局の診療内容が充実していて魅力がある証拠だからです」
卵巣がんの患者は、足の静脈に血栓ができやすいことがわかっている。太い静脈にできた場合、血栓が肺の動脈で詰まる肺塞栓症を発症し、命にかかわる危険がある。また、高齢の患者では糖尿病や高血圧症、心臓病などの持病があることが多い。術前に適切な治療をしておくことが必要だ。

「卵巣がん以外にこうした複数の病気がある場合、その治療もできる診療科があったほうがいいです。大学病院には多方面にわたる専門医がいるので、このような患者さんを多く受け入れています」(髙野医師)
「いずれにせよ、少しでも不安がある場合はセカンドオピニオンをとるといいでしょう。結果的に最初の病院の医師と同じ見解だったとしても、『あの主治医の言ったとおりだった』と安心感が得られます。セカンドオピニオンに気持ちよく対応してくれる病院であるかどうかも大事な判断ポイントですね」(加藤医師)

納得して治療を受けるためにここを聞こう!

手術に対する病院の考え方

病期によっては積極的に手術をおこなう病院と、手術以外の方法をおこなう病院とで方針に差がある。病状によっても違うので、なぜその治療をすすめるのかも含め方針の確認を。

妊娠希望の場合、可能性を残せるか

三つのがんはそれぞれ、ガイドラインに従って診断される。妊娠の可能性を残せる場合、基本の手術とは違う方法、治療になるため、そうした経験が豊富な病院かも確認したい。

排尿障害やリンパ浮腫は起こるのか

いずれも術後合併症に多い症状のため、対策を知っておくと安心。治療計画なども含め、書面にしてもらうとなおいい。

【お話をうかがった先生】
東京慈恵会医科大学柏病院
産婦人科診療部長
髙野浩邦 医師
神奈川県立がんセンター
婦人科部長
加藤久盛 医師

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