心疾患

手術数でわかる いい病院

<提供> 朝日新聞出版社 週刊朝日MOOK「手術数でわかる いい病院 2018」

心臓手術

心臓手術(全国データ)


病院名 所在地 手術数 単独
冠動脈
バイパス
複合
冠動脈
バイパス
弁膜症 胸部
大動脈瘤
・大動脈
解離
先天性
心疾患
1 榊原記念病院 東京 1,005 199 137 573 282 382
2 国立循環器病研究センター 大阪 781 105 47 329 231 245
3 川崎幸病院 神奈川 692 21 19 27 460 1
4 心臓病センター榊原病院 岡山 674 124 97 329 175 0
5 埼玉医科大学国際医療センター 埼玉 657 157 57 220 195 167
6 岸和田徳洲会病院 大阪 571 109 56 222 184 3
7 小倉記念病院 福岡 568 124 49 140 87 0
8 大阪大学病院 大阪 564 100 42 184 158 86
9 自治医科大学さいたま医療センター 埼玉 532 85 37 256 166 0
9 千葉西総合病院 千葉 532 110 27 221 204 0
11 名古屋第一赤十字病院 愛知 476 138 42 229 100 6
12 順天堂大学順天堂医院 東京 465 124 54 228 71 111
13 市立静岡病院 静岡 429 101 43 230 116 0
14 ニューハート・ワタナベ国際病院 東京 428 64 52 299 62 3
15 大和成和病院 神奈川 412 152 43 157 77 0
16 東京ベイ・浦安市川医療センター 千葉 387 57 28 221 78 0
17 倉敷中央病院 岡山 371 42 35 239 103 3
18 滋賀医科大学病院 滋賀 369 77 43 211 79 0
19 イムス葛飾ハートセンター 東京 367 97 52 163 99 0
20 札幌心臓血管クリニック 北海道 358 91 35 163 89 0
20 帯広厚生病院 北海道 358 37 12 33 15 1
22 仙台厚生病院 宮城 357 75 16 151 101 0
23 名古屋徳洲会総合病院 愛知 348 100 16 72 106 0
24 久留米大学病院 福岡 345 51 28 186 111 12
25 神戸市立医療センター中央市民病院 兵庫 343 52 31 110 106 0
26 兵庫県立姫路循環器病センター 兵庫 332 74 32 99 139 0
27 豊橋ハートセンター 愛知 331 81 33 181 59 0
28 藤田保健衛生大学病院 愛知 330 84 28 85 107 1
29 群馬県立心臓血管センター 群馬 326 26 4 141 125 1
30 名古屋大学病院 愛知 313 51 20 131 135 5
31 新東京病院 千葉 307 21 19 161 177 0
32 帝京大学病院 東京 303 74 39 98 105 0
33 東海大学病院 神奈川 295 55 13 57 124 0
34 聖マリアンナ医科大学病院 神奈川 292 32 21 134 67 55
35 野崎徳洲会病院 大阪 288 22 9 31 122 1
36 立川綜合病院 新潟 286 59 26 121 89 0
37 市立四日市病院 三重 285 53 28 74 47 0
38 大崎病院東京ハートセンター 東京 284 34 33 206 58 0
39 名古屋ハートセンター 愛知 283 75 32 145 71 0
39 大分大学病院 大分 283 44 36 119 97 5
表の見方
表の見方厚生労働省が届け出義務を課す「冠動脈、大動脈バイパス移植術(人工心肺を使用しないものを含む)及び体外循環を要する手術」について2014年に10例以上の556病院を対象に調査した。2016年1年間の成人心臓および胸部大血管に対する手術の総数で並べた。内訳として、単独冠動脈バイパス術、複合冠動脈バイパス術、弁膜症、胸部大動脈瘤・大動脈解離の症例数を記した。また、先天性心疾患の症例数も併記した。

「同時に複数治療」の複合手術が増加

日本人の死因第2位の心臓病。
冠動脈バイパス術と弁膜症手術を同時におこなうなどの
複合手術が増え、医師の技術が重要になっている。

弁形成術の多さが技量の高さの目安に

ランキングの読み方
バイパス術は年間50例以上 高難度の複合手術にも注目

心臓病には主に、①心臓に血液を送る冠動脈がつまる狭心症や心筋梗塞、②心臓の弁に異常が起きる弁膜症、③心臓から全身に血液を送る大動脈に瘤ができるなどの大動脈瘤・解離がある。手術法は、①には代用の血管をつなぐ「冠動脈バイパス術」、②には自身の弁を修復する「弁形成術」と人工弁に取り替える「弁置換術」、③には病変部を人工血管に取り替える「人工血管置換術」をおこなう。
それぞれの手術数をどう見るべきか。まず、冠動脈バイパス術について、倉敷中央病院の小宮達彦医師はこう話す。
「高い治療水準を維持するには、病院で年間50例以上の件数があることが望ましいです」

この手術では、人工心肺を使わないオフ・ポンプ手術も実施されていて、「国内では非常に安全性が高い」と、東京医科歯科大学病院の荒井裕国医師は言う。
「日本冠動脈外科学会の調べでは、成功率は全国平均で99%以上。つまり日本の病院はとても高いレベルにあると言えます」
そのうえで症例数が多いほどより経験があると言えるが、見方の注意として、治療する冠動脈の本数が多いほど手術の難度が上がり、オフ・ポンプの割合が下がることも念頭に置きたい。

複合冠動脈バイパス術の手術数も示している。カテーテル治療の進歩で、冠動脈だけを治す単独冠動脈バイパス術は減少傾向にあり、弁や大動脈の手術も同時におこなう複合手術が増えているからだ。
「弁の手術など難度の高い治療を組み合わせた複合手術の件数は、病院の技量を反映していると言えるでしょう」(荒井医師)

次に、弁膜症の手術数をみていきたい。いくつの弁を同時に治療したかを聞き、弁の合計数を掲載している。弁膜症手術は、弁形成術のほうが患者の合併症が少なく予後がよいとされるが、難度が高い。
「弁形成術の割合が多い病院は、技量も高いと言えます。ただ、重要なのはどの弁を直したか。なかでも僧帽弁や大動脈弁の形成は難度が高いです」(同)

小宮医師も同様の見解で、「弁膜症治療で年100例以上、そのうち僧帽弁の形成術が50例以上あれば相当力のある病院と考えられる」とし、どの弁に対する形成経験があるかを医師に確認することを勧める。
最後に、胸部大動脈瘤・解離の数についてはどうか。人工血管置換術は開胸が必要だが、ステントグラフト内挿術(TEVAR)であれば、開胸せずカテーテルを用いて治療をおこなう。小宮医師は、両者がバランスよく実施されていることが重要と前置きしたうえでこう話す。
「胸部大動脈瘤・解離としての症例数は、比率は半々とは限りませんが、両方の手技を合せて100例以上が目安です」

ランキング以外の病院の選び方
オフ・ポンプ手術の実績など年齢によって注目点を変える

心臓病の手術は、患者の年齢によってベストな治療法が異なってくる。荒井医師は、病院選びの際、年齢によって注目する点を変えることを提案する。
「例えば冠動脈バイパス術では、70歳以上は負担の少ないオフ・ポンプ手術の数が多いかどうかを指標にし、体力のある若い人は代用血管としてより長持ちする『動脈グラフト』の使用実績を気にするとよいでしょう」

小宮医師は、病院選びには医師とのコミュニケーションが円滑かどうかが重要だと説く。
「治療方針を即座かつ一方的に決めてしまう病院は問題。手術の必要性とリスクをきちんと説明してくれるか確認しましょう」

また、荒井医師は、心臓手術だけでなく、ほかの疾患の手術数も確認するべきだとの見解を持つ。
「最近は、術後の死因が心臓以外の臓器の問題であることが増えました。心臓だけでなく、ほかの疾患の治療実績も参照し、病院として総合力があるかどうかを見極めることが大切です」

納得して治療を受けるためにここを聞こう!

どんな組み合わせの合手術の実績が多いのか

病院が得意とする手術が、複合手術の組み合わせにあらわれることがある。弁形成術との複合など、手術によっては難度が上がり、力量の指標になる場合も。

治療成績とそのときの条件は

治療成績がよいほうがいいのは当然だが、患者の状態によって数値は左右される。単に成績だけでなく、「高齢者の大動脈弁狭窄症」など、具体的に尋ねると参考になる。

治療方針決定の話し合いの仕組みは

心臓手術の多くの病院には、外科と内科の垣根を超えたハートチームがある。連携がうまくいっている病院は、治療の選択肢も多く信頼できる傾向に。

【お話をうかがった先生】
東京医科歯科大学病院
心臓血管外科教授
荒井裕国 医師
倉敷中央病院
心臓血管外科主任部長
小宮達彦 医師

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