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知ってトクするお金の話 知っておきたい 2017年 制度改正カレンダー

2017年が始まりました。今年の生活設計やマネープランを立てる上で知っておきたいのが、税金や社会保障、法律など、暮らしや働き方に関係する制度の改正です。今年の制度改正の中で、家計や働き方などに関係が深そうなものを社会保険労務士でファイナンシャルプランナーの望月厚子さんに挙げていただき、概要やポイントを教えてもらいました。

育児・介護休業法の改正

育児パートや派遣労働者が
育児休業を取得しやすく

休業期間は子どもが原則1歳になるまで。保育所に入所できないなどの場合には、子どもが1歳6カ月になるまでです。育児休業中は所定の育児休業給付金を受給できます。

図表1
パートや派遣労働者の育児休業の取得要件が緩和

介護介護休業と介護休暇が取得しやすく

育児・介護休業法の改正において、「介護休業に関する主な改正点は二つあります」(望月さん)。

図表2 介護休業が分割取得できるように

図表3 介護休業の対象家族が拡大

改正前
配偶者(事実婚を含む)、父母、子、配偶者の父母。同居かつ扶養している祖父母、兄弟姉妹および孫

改正後
改正前の対象家族に加えて、同居・扶養していない祖父母、兄弟姉妹および孫も対象に

もう1つは介護休暇の取得単位の改正です。介護休暇とは、通院の付き添いやデイサービスの送り迎えなど、日常的な介護などをするための休暇で、年5日まで(対象家族が2人以上の場合は10日まで)取得できます。改正前は1日単位での取得でしたが、「改正後は半日単位となり、柔軟に取得できるようになりました」(望月さん)。

POINT

介護休業の93日という日数は、介護をするには短いと感じるかもしれません。「けれども、そもそも介護休業とは、家族本人が介護するためだけではなく、介護態勢を構築する時間を確保するためのものでもあります。たとえば要介護認定の申請を行ったり、ケアマネージャーに相談してケアプランを作成してもらったり、入所先の施設を探したりすることもあるでしょう。介護態勢を整えるには、手続にタイムラグが生じたり、一度利用する施設を決めても後から見直したくなる場合も考えられます。それに対応するには、従来のように1回でまとめて取得する方法は馴染みませんでした。今回の改正では状況に応じて3回まで分割して取得できるようになったため、使い勝手がよくなるはずです」(望月さん)。

雇用保険法の改正
(65歳以上も対象に)

65歳以降に新規に雇用された場合も
雇用保険が適用に

2017年1月1日から、65歳以上の労働者は「高年齢被保険者」として雇用保険の適用対象になります。これまでも65歳より前から雇用保険に加入し、同じ勤務先で65歳以降も引き続いて働く場合には、雇用保険が適用されていました。今回の改正では、65歳以降に新たに雇用された場合も雇用保険が適用されるようになったのです。ただし、1週間の所定労働時間が20時間以上で、31日以上の雇用見込みがある場合となります。

図表4 高年齢求職者給付金の支給額は?
(受給には所定の要件を満たす必要あり)

雇用保険の
被保険者期間
1年以上の場合
1年未満の場合
高年齢求職者
給付金の額
基本手当日額
(賃金の50〜80%*)
の50日分
基本手当日額
(賃金の50〜80%*)
の30日分

* 基本手当日額は離職前6カ月の賃金総額を180で割った額のおよそ50〜80%で、上限6,370円(2017年7月31日までの額)。

POINT

国は一億総活躍社会の実現を目指して働き方改革に取り組んでいます。今回の雇用保険の適用拡大もその一環で、導入の背景には高齢者の雇用促進があります。「これまでも同じ勤務先に雇用されていれば65歳以上でも雇用保険に引き続き加入できましたが、失業した場合に一時金が支給されるのは1回だけでした。それが改正により、失業の都度、一時金が支給されるようになりました」(望月さん)。

セルフメディケーション税制
(医療費控除の特例)の創設

スイッチOTC医薬品を年1万2,000円超購入
すると所得控除の対象に

対象のOTC医薬品は厚生労働省のサイトに掲載されています。「まだ一部の商品だけですが、対象医薬品のパッケージに識別マークが付けられている場合もあります。また、対象医薬品を購入した場合、レシートにそれとわかるような印が付けられることになっています」。確定申告の際には対象医薬品であることが示されたレシートが必要なので、きちんと保管しておきましょう。

図表5 セルフメディケーション税制による減税の例

POINT

地震保険の改定

保険料は全国平均で5.1%の引き上げ、
損害区分は4区分に細分化

図表6 地震保険料の改定前と改定後の比較例

地震保険金額1,000万円当たりの年間保険料例
(割引適用なし)
鉄骨造やコンクリート造の建物などの場合

都道府県 改定前
保険料
改定後
保険料
改定率
東京都、
神奈川県、
千葉県、
静岡県
2万
200円
2万
2,500円
11.4%の
引き上げ
埼玉県 1万
3,600円
1万
5,600円
14.7%の
引き上げ

(今回最大の引き上げ幅)
大阪府 1万
3,600円
1万
3,200円
2.9%の
引き下げ
愛知県、
三重県、
和歌山県
2万
200円
1万
7,100円
15.3%の
引き下げ

(今回最大の引き下げ幅)

図表7 損害区分が4区分に細分化

改正前(3区分)

損害の程度
全損
半損
一部損
地震保険金額の
支払割合
100%
50%
5%

改正後(4区分)

損害の程度
全損
大半損
小半損
一部損
地震保険金額の
支払割合
100%
60%
30%
5%

* 全損の場合でも時価額が限度。

POINT

多くの地域で地震保険料が引き上げられた背景には、地震リスクの高まりがあります。「地震保険料を算出している損害保険料率算出機構によると、本来は全国平均で19%の保険料引き上げが必要だとされています。しかし、2014年7月に全国平均で15.5%の保険料引き上げをしてから間もないこともあり、一度にまとめて19%引き上げると保険契約者の負担が重くなるため、3段階に分けて引き上げをすることになりました。今回がその1回目です。2回目、3回目の時期は未定ですが、今後さらに引き上げられるとみたほうがよいでしょう」(望月さん)。

給与所得控除が徐々に縮小

2017年から
給与収入1,000万円超で頭打ちに

図表8 給与所得控除が頭打ちになる年収が引き下げに

確定申告で
マイナンバーの記載が必要に

2017年に行われる確定申告(2016年分)から申告書にマイナンバーの記載が必要になります。確定申告の申告期間は2月16日(木)から3月15日(水)までですが、給与所得者の医療費控除など、還付申告だけの場合は1月から申告を受け付けています。「税務署に直接提出する際にはマイナンバーの通知書(又はカード)と運転免許証などの証明書の持参が必要ですので、お忘れなく」(望月さん)。

公的年金の改正

改正
1・3
国民年金と厚生年金の
保険料の引き上げが終了

図表9
国民年金と厚生年金の保険料の引き上げの推移

国民年金保険料

引き上げ
実施時期
引き上げ前
2005年4月
2013年4月
2014年4月
2015年4月
2016年4月
2017年4月
(A)2004年度
に定められた保
険料
1万3,580円
1万5,820円
1万6,100円
1万6,380円
1万6,660円
1万6,900円
(B)実際の
保険料
1万3,300円
1万3,580円
1万5,040円
1万5,250円
1万5,590円
1万6,260円
1万6,490円

(A)を基準として、物価と賃金の変動率を加味して(B)が定められる。

厚生年金保険料

引き上げ
実施時期
引き上げ前
2004年10月
2013年9月
2014年9月
2015年9月
2016年9月
2017年9月
保険料率
(本人負担)
13.58%(6.79%)
13.934%(6.967%)
17.12%(8.56%)
17.474%(8.737%)
17.828%(8.914%)
18.182%(9.091%)
18.30%(9.15%)

POINT

「国民年金保険料、厚生年金保険料とも毎年の引き上げは今年で打ち止め。ただし少子高齢化が進んで年金財政は非常に厳しいため、今後再び引き上げが行われる可能性は残ります」(望月さん)。

改正
年金受給資格を得るための
加入期間が25年→10年に短縮

老後に年金を受給するには、一定期間公的年金制度に加入しなければなりません。加入というのは基本的に保険料を支払うことを意味します(*)。「これまで年金受給資格を得られる加入期間は25年でしたが、2017年8月から10年に短縮されます」(望月さん)。これにより、新たに約64万人が年金受給権を得ることになると言われています。

* 経済的な事情などで保険料の支払が難しい場合は、免除などの所定の手続をとれば、その期間も加入期間にカウントしてもらえます。また、年金額には反映されませんが、受給資格期間としてみなすことができる期間(合算対象期間)も加入期間にカウントしてもらえます。

POINT

長期間厚生年金に加入している給与所得者の場合、年金保険料は給与天引され、国民年金にも自動的に加入しているため、加入期間が不足する心配はまずありません。注意しなければならないのは自営業者やフリーターなど、自分で年金の支払手続をしなければならない人。未納の期間がないか「ねんきん定期便」などで一度チェックしましょう。「年金の受給資格を得るための加入期間が25年から10年に短縮されたからといって、10年間保険料を支払えば公的年金を脱退できるということではありません。20歳から60歳になるまでの人は公的年金に加入する義務があるからです」(望月さん)。60歳になるまできちんと加入すれば老後の年金額も増えますし、万一の場合には遺族年金や障害年金の支給対象にもなります。

介護予防・日常生活支援総合事業

遅れていた地域が4月から
一斉にサービスをスタート

団塊の世代が75歳以上になる2025年を目処として、高齢者が要介護状態になっても住み慣れた地域で自分らしい暮らしができるように、地域包括ケアシステムの構築が進められています。その一環として、2017年度までに全ての市区町村で実施されることになっているのが、介護予防・日常生活支援総合事業です。

POINT

「全国一律のサービスではなく、地域の実情に合わせたサービスを提供するというものです。既にサービスを実施している地域もありますが、遅れていた地域も2017年4月から一斉にサービスをスタートすることになっています。サービスの中には予防給付のうち、訪問介護・通所介護といった公的介護保険の対象になるものも含まれます」(望月さん)。

2017年の改正のポイントとアドバイス

「2017年は際立って大きな制度改正こそありませんが、家計にとってマイナス要因の一つとなるのが年金保険料の引き上げ。今年で打ち止めとはいえ、これまで10年以上かけてジワジワと上がってきたため、5~6年前と比べ手取りがかなり減っているご家庭も少なくないでしょう。給与所得控除の縮小による増税や地震保険料の改定も家計にとってマイナスとなる可能性があります。

一方、小粒だけれどプラスの改正もあります。公的年金の受給資格期間が25年から10年に短縮されるのは画期的。セルフメディケーション税制も今までにない発想で、医療費が年間10万円に届かなかった人たちにも所得控除の機会が広がります。介護休業や育児休業も要件に該当すればぜひ申請しましょう。また、介護や育児については法律より進んだ制度を導入している企業も多いので、もう一度勤務先の福利厚生制度をチェックしてみることもお勧めします」(望月さん)。

※掲載内容は2016年12月1日時点の情報に基づく
取材協力・監修/望月厚子(社会保険労務士・ファイナンシャルプランナー)、望月茂(税理士)
取材・文/萬真知子