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コツコツ贈与とがっちり贈与

子どもや孫の家計支援のために、贈与を検討する人が増えています。贈与を上手に活用すればお子さんやお孫さんの家計の助けになる上、将来の相続対策にも役立ちます。しかし計画立てて進めないと、思わぬ課税など、後で困ったことになる可能性がある点には注意が必要。贈与の基本から、まとまった金額を非課税で贈与できる制度、実際に贈与をする際のポイントまで、税理士の柴原一さんに教えていただきました。

贈与の基本と贈与税

まず贈与をめぐる最近の動向と贈与の基本を押さえましょう。

増える贈与の実行者

「ここ数年、確定申告と一緒に贈与税の申告を依頼する人が増えています」(柴原さん)。贈与を行う人が増えているということですが、理由は2015年の税制改正により相続税が課される人が増え、その対策として贈与が注目されているから。「さらに追い風になっているのが相続税の改正と同時に行われた贈与税率の引き下げです」。相続税率が引き上げられたのとは対照的に、贈与税率は一定額以下の贈与を対象に引き下げられ、改正前より少ない税負担で贈与を行えるようになったのです。

そもそも贈与とは?

関心が高まっている贈与ですが、そもそも贈与とは何なのか、簡単におさらいしておきましょう。贈与とは個人から個人へ無償で財産などを移転すること。生きているうちに贈与をすることを、特に「生前贈与」とも言います。「贈与は、贈与をする人(贈与者)が『あげます』、贈与を受ける人(受贈者)が『もらいます』という意思表示をしてはじめて成立します」(柴原さん)。子や孫の名義で預金などを作っても、それを当人たちに知らせていなければ税務署から贈与と認めてもらえないので注意しましょう。

子や孫などに贈与をする目的は主に2つ。1つは家計の支援、もう1つは相続対策です。「相続税は被相続人の死亡時の財産に課されます。贈与により生きている間に財産を子や孫などに移転していれば相続財産が減り、将来相続人が負担することになる相続税を減らせるのです」。

一定額を超えると贈与税が発生

図表1 贈与税の計算

図表2 贈与税の速算表

特例贈与財産の場合(特例税率)

20歳以上の人が直系尊属(父母や祖父母など)から贈与を受けた場合

基礎控除後の課税価格 税率 控除額
200万円以下 10% -
200万円超
 400万円以下 
15% 10万円
400万円超
 600万円以下 
20% 30万円
600万円超
 1,000万円以下 
30% 90万円
1,000万円超
 1,500万円以下 
40% 190万円
1,500万円超
 3,000万円以下 
45% 265万円
3,000万円超
 4,500万円以下 
50% 415万円
4,500万円超 55% 640万円

一般贈与財産の場合(一般税率)

特例贈与財産以外の場合

基礎控除後の課税価格 税率 控除額
200万円以下 10% -
200万円超
 300万円以下 
15% 10万円
300万円超
 400万円以下 
20% 25万円
400万円超
 600万円以下 
30% 65万円
600万円超
 1,000万円以下 
40% 125万円
1,000万円超
 1,500万円以下 
45% 175万円
1,500万円超
 3,000万円以下 
50% 250万円
3,000万円超 55% 400万円

贈与を合理的に進める方法

合理的な贈与を行うために覚えておきたいのが、贈与にはいろいろな種類があって、税金のかかり方も異なること。目的に応じて使い分けることで、税負担を抑えることも可能です。どんな方法があるのか見ていきましょう。

A都度贈与

生活費と教育費の都度贈与なら非課税

一定額を超えると税金が課せられる贈与ですが、例外もあります。「都度贈与」と呼ばれるものです。「意外と知られていませんが、夫婦や親子、兄弟姉妹などの扶養義務者間で、生活費や教育費として贈与した財産には贈与税がかからず非課税となります」(柴原さん)。生活費とは、受贈者にとって通常の日常生活に必要な費用のこと、教育費とは学費や教材費などのことです。「これらが必要になる都度、渡す分には非課税です」。

多額の贈与でも利用が可能

都度贈与は、多額の贈与でも利用が可能。例えば、祖父が孫の私立大学の医学部の入学金として数千万円を贈与した場合などでも、都度贈与に該当するので贈与税はかかりません。親が子の結婚費用を負担するのも都度贈与。老親への仕送りなども同様です。「ただし、生活費や教育費の名目でもらったお金を受贈者が預金したり、不動産の購入費用に充てたりすると目的外の利用となり、贈与税がかかることになります」(柴原さん)。

B暦年課税の贈与

年110万円以下なら非課税

あえて贈与税を申告する方法も

基礎控除を利用して、子や孫1人につき毎年110万円ずつ生前贈与していけば、贈与税の負担をさせずに相続財産を減らせそうです。しかし注意したいのが、贈与の証明。贈与税の申告をしないと贈与の証拠が残りづらくなり、相続の段階で税務署から、生前贈与の財産を相続税の対象にされる可能性もあると柴原さんは指摘します。

図表3 贈与額が年間120万円の場合の贈与税

検討したい分割贈与

相続財産を減らすために、基礎控除額の110万円を大きく上回る額を贈与したいという人もいるでしょう。贈与金額が大きくなるほど税率は高くなり贈与税の負担が増します。しかし、「工夫次第で贈与税の負担は抑えられます」(柴原さん)。

図表4
1,000万円の贈与の回数による税負担の違い
(税額は特例贈与財産の場合)

C用途を限った非課税贈与制度

増える「教育資金の一括贈与」などの利用者

最近になって、用途を限って非課税で贈与できる新制度も登場しています。「教育資金の一括贈与」「結婚・子育て資金の一括贈与」がそれで、いずれも父母や祖父母など直系尊属からの贈与が対象です。金融機関に所定の口座を開設して贈与者が資金を入金し、それを受贈者が該当の目的に使用する場合に引き出せるという仕組になっています。

非課税枠は教育資金の一括贈与の場合、受贈者1人につき1,500万円まで、結婚・子育て資金の一括贈与の場合、受贈者1人につき1,000万円までで、利用者が増えています。とはいえ、教育費や結婚・子育ての費用は、これらの制度を使わなくても、都度贈与できることは、覚えておく必要があるでしょう。「これらの制度は、高額な非課税枠を生かして相続財産を一気に減らす効果を期待できますが、結婚・子育て資金の一括贈与は、贈与者が死亡した時点で残額が相続財産とみなされることなどには注意が必要です」(柴原さん)。

図表5 教育資金の一括贈与、結婚・子育て資金の一括贈与の概要

教育資金の一括贈与

受贈者 30歳未満
贈与者 受贈者の直系尊属
(父母、祖父母など)
非課税枠 受贈者1人につき1,500万円
(学校外の教育費は500万円まで)
使途 教育資金(入学金・授業料などの学費。塾代、スポーツ、お稽古ごとなど学校外の教育費)
適用期間 2019年3月末までの贈与
契約終了 受贈者が30歳になったとき。残額はその時点で贈与があったとして贈与税の課税価格に算入

結婚・子育て資金の一括贈与

受贈者 20歳以上50歳未満
贈与者 受贈者の直系尊属
(父母、祖父母など)
非課税枠 受贈者1人につき1,000万円
(結婚費用は300万円まで)
使途 結婚資金(挙式・結婚披露費用、新居費用など)、子育て資金(妊娠・出産、育児に要する所定の費用)
適用期間 2019年3月末までの贈与
契約終了 受贈者が50歳になったとき。残額はその時点で贈与があったとして贈与税の課税価格に算入。ただし贈与者が死亡した場合、その時点で残額が相続財産に算入され相続税が発生する場合も

メリット大きい「住宅取得等資金の贈与」

もう一つ、一定金額まで非課税枠があるのが「住宅取得等資金の贈与」。マイホームを新築・購入・増改築する場合に、その資金について父母や祖父母など直系尊属から一定額まで非課税で贈与を受けられる制度です。「相続対策になると同時に子や孫のマイホーム取得の大きな助けになるので、要件を満たすことができれば利用をおすすめします」(柴原さん)。

図表6 住宅取得等資金の贈与の非課税限度額

消費税率が8%の間

住宅の新築・
購入・増改築の
契約をした日
省エネ等
住宅(*)
左記以外
〜2015年
12月31日
1,500万円 1,000万円
2016年1月1日〜
2020年3月31日
1,200万円 700万円
2020年4月1日〜
2021年3月31日
1,000万円 500万円
2021年4月1日〜
2021年12月31日
800万円 300万円

消費税率が10%の間

住宅の新築・
購入・増改築の
契約をした日
省エネ等
住宅(*)
左記以外
2019年4月1日〜
2020年3月31日
3,000万円 2,500万円
2020年4月1日〜
2021年3月31日
1,500万円 1,000万円
2021年4月1日〜
2021年12月31日
1,200万円 700万円

* 省エネ基準や耐震等級などの一定基準を満たしている住宅のこと

相続時精算課税制度とは?

生前贈与には一般的に暦年課税を選択しますが、相続時精算課税という方法もあります。贈与者は60歳以上の父母か祖父母、受贈者は20歳以上の子または孫であることが適用要件となります。贈与の非課税枠は2,500万円で非課税枠を超えた分は一律20%課税となります。「相続時精算課税制度は、将来、値上がりが見込めそうな財産の贈与を受ける場合に有利に働きます。ただし、一度この制度を選択すると、暦年課税に変更することはできなくなるので利用は慎重に。相続に詳しい税理士に相談することが肝心です」(柴原さん)。

トラブルを防ぐ贈与のポイント

せっかくの贈与も、手続の不備などが原因で、思ったような効果が上げられないことも多いもの。トラブルを未然に防ぐ生前贈与のポイントをご紹介します。

1相続対策なら早めに実行

相続対策のための生前贈与なら、なるべく早めに実行することが大切。「相続開始前3年以内に相続人に贈与された財産は、相続財産に加算され相続税の対象となってしまうからです」(柴原さん)。ただし、相続財産をもらわなかった人の贈与財産は加算されません。「例えば子が生きている場合には孫は法定相続人にはならないので、孫に贈与した分は、贈与者が3年以内に死亡しても相続財産に加算されずに済みます」。ただし孫が未成年者の場合、贈与を受けたことを認識できる年齢(10歳前後が目安)に達していることが必要です。

2贈与の証拠をきちんと残す

財産を贈与する際、贈与者の口座から受贈者の口座に振り込むなど、贈与の事実を証明できるようにすることが大切。通帳や印鑑の管理など、財産の管理は受贈者が行う必要があります。「これらを怠ると税務署に贈与の事実を認めてもらえず、贈与者が受贈者の名義を借りただけの『名義預金』などとみなされ、相続時に相続財産に加算されるおそれがあります」。

3コツコツ贈与の落とし穴

「毎年同じ時期に同じ金額を贈与するのは避けましょう」。例えば年110万円ずつ5年間にわたって贈与した場合、基礎控除額の範囲だから無税で済むと思うかもしれませんが、税務署は合計額の550万円を一括して贈与したものとみなし、贈与税を課してくる可能性も考えられます。「毎年贈与をするなら、贈与する月を変え、金額も数万円ずつ変更すると、こうした事態を避ける効果が期待できます」。

4将来の相続にも気を配る

教育資金の一括贈与や住宅取得等資金の贈与など、まとまったお金の贈与を特定の子や孫だけに行うのは慎重にしたいもの。もらわなかった子や孫が不満を持ち、贈与者の死後、相続が起きたときに争いの火種になりかねないからです。「贈与はバランスを考えながら、計画的に行うことをおすすめします」。

※掲載内容は2017年3月1日時点の情報に基づく
取材協力・監修/柴原一(税理士)
取材・文/萬真知子