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今すぐ実践 スマホ代(通信費)節約術

スマートフォン(スマホ)の普及などが進む一方、通信費の負担に悩む家計が増えています。スマホは確かに便利なものですが、その費用は毎月かかるものだけに、負担増に頭を悩ませている人は多いでしょう。今すぐできる契約プランの見直しから、話題の格安スマホの実力まで、スマホの料金プランに詳しい綿谷禎子さんが、節約のポイントを教えてくれました。

みんなどれくらい払っている?

増える携帯電話の通信料

負担上昇の一因となっているのが、スマホの普及。毎月1万円以上を払っている人も少なくありません。家族みんなで携帯をスマホに替えたことで、通信費が月3万円を超えるようになったなどの話も耳にします。

図表1 携帯電話通信料と世帯消費に占める割合の推移

出所 総務省「家計調査」(総世帯)

スマホ代は安くなる?

「スマホの料金をなんとか減らしたい」という人なら、まずスマホ料金の基本的な仕組と、加入しているプラン内容を理解・確認しましょう。スマホ利用者のなかには最初に契約したプランをずっと利用している人も多く、実際には使っていないサービスの料金を払い続けている人も多いようです。スマホ料金はどのような仕組になっており、どんな見直しをすれば節約につながるのか、ポイントを見ていきましょう。

スマホ料金の仕組を押さえよう

料金体系が分かりづらい?

覚えておきたい4つの料金

通話料

国内通話無料の定額プランと1回5分間まで無料の準定額プランなどがあります。定額プランなら、同じキャリア同士はもちろん、他社の携帯や固定電話にかけても無料です。

通信料

通信料はインターネットやメールなどで、どれくらいのデータ量の通信を行うかによって、料金が異なります。一般的なのは5GB(ギガバイト)のプランですが、1GBや2GB、20GB、30GBなども用意されています。

有料オプション料

端末の故障や紛失の時のための補償、音楽や雑誌などのコンテンツ利用、ニュース配信など、さまざまなサービスが用意されています。契約した分だけ費用がかかります。

インターネット接続料

インターネットやメールなどを利用する時に必ず発生するインターネット接続料金。spモード、LTE NET、ウェブ使用料など、各社で名称は異なります。

そのほか端末を分割で購入した場合は、その料金も毎月の請求にプラスされます。

図表2 一般的なスマホ料金内訳明細例(イメージ)と内容

内訳項目 内訳金額(円) 請求内訳等詳細
基本
使用料
2,700円 定額料金プラン
(スマホ/タブ)
1
パケット
定額料等
5,000円 5GBデータプラン
当月通信料1.8GB
2
その他利用料金等 300円 インターネット接続料4
380円 コンテンツ利用料
200円 セキュリティ利用料3
200円 ケータイ補償
サービス利用料
2,800円 端末等代金分割支払い(24回)

大手キャリアの見直しのポイント

契約内容を確認しよう

スマホの料金体系の基本が分かったら、自分の契約プランが適正かどうか確認しましょう。ポイントとなるのが、通話料通信料有料オプションに無駄がないか、確認すること。見直しの進め方を以下に示しましたが、適したプランに変えることで、無駄なスマホ代を省ける可能性があります。ただし注意したいのが、頻繁に使う機能を安価なサービスにしたため、かえって割高になる場合もあること。自分の使い方のクセを知ることが大切です。

図表3 見直しを進める3つのポイント

POINT1 長電話をよくかける?

国内通話無料の定額プランは大手キャリア各社の場合、おおよそ月額2,700円ほど。1回の通話ごとに5分まで無料の準定額プランに変更すれば、月々1,000円程度安くなります。通常、携帯電話の通話料は30秒20円なので、毎月68分以上通話する人であれば通話無料の定額プランがお得になる計算。要件だけの短い電話をかけることが多い人は、準定額プランにするのも1つの手です。

POINT2 通信量は5GB必要?

通信プランは各社、5GBでおおよそ月額5,000円ほど。5GBのプランに入っていても、実際はそれほど使っていない人も多いようです。2GBであれば、月額3,500円のプランもあります。スマホの請求内訳にはその月に利用したデータ量が書かれているので(図表2参照)、まずはそちらを確認してみましょう。ちなみに1GBのデータ量でできる操作の目安は、メールの送受信なら約20万通、LINEの音声通話なら約57時間、ウェブサイトなどの閲覧なら約4,400ページ、YouTubeなどの高画質の動画視聴なら約1.5時間です。

POINT3 そのオプションは必要ですか?

スマホを購入した時、入会後の一定期間は無料だからと加入したものの、有料になっても解約せず、料金を払い続けている使っていないオプションはありませんか?今はもう利用していない有料オプションサービスは解約しましょう。複数のサービスを利用すると割引になるパックなどもありますが、本当に必要なサービスだけ利用した方が実は安く済む場合もあります。料金の明細を見ながら、不要なものがないかチェックしましょう。

こんな方法で節約も!

現在の契約プランの見直し以外にも、割引の利用やキャンペーンなど、節約する方法がいくつかあります。ぜひチェックしてみましょう。

図表4 節約のための3つのチェック

CHECK1 家族プランを検討しよう

家族でデータを分け合えるシェアプランを用意しているキャリアもあります。家族3人それぞれが5GBのプランを利用するより、家族みんなで15GBを分け合うシェアパックなどを使った方がお得な場合もあります。家族が同じキャリアを利用している場合は、こうしたプランを検討してみるのもおすすめです。

CHECK2 多用な種類があるセット割引

自宅の固定電話とインターネット、Wi-Fiルーターなどの対象サービスとスマホをセットで利用することで、毎月の利用料金が割引になるセット割引。家族4人で利用した場合、2年間で10万円以上割引になるものも。対象の電力会社を利用することでお得になるセット割引などもあります。

CHECK3 キャンペーンに注目!

新学期が始まる春の学割キャンペーン、新しい機種が出る際に行われるキャンペーンなど、お得なキャンペーンに注目。機種変更や他社への乗り換えなどを考える場合には、こうしたキャンペーンが行われていないか確認しましょう。

ただし、CHECK2のセット割引やCHECK3のキャンペーンの大半は、割引期間に限りがあることには注意が必要。割引期間の確認やその効果を、総合的に判断することが大切です。

格安スマホの実力は?

月2,000~3,000円で利用可能

スマホ代を節約する1つの方法として、格安スマホに関心を寄せる人が増えています。格安スマホとは、大手キャリアの回線を借りて提供するサービスの総称。アンテナや基地局などの整備を自社で行わないので、安価なスマホ料金を実現しています。

気になる料金は、月額2,000~3,000円程度。大手キャリアの平均は7,000円程度が多いので、年間で5万円を超える節約も期待できます。

利用可能エリアは大手と同じ

格安スマホは使い勝手が心配という人もいるかもしれません。しかし、通信ネットワークは大手キャリアのものを使っているので、利用できるエリアは同じ。同等程度の速度で通信サービスを利用できます。また乗り換えにあたっては、現在使っている電話番号を継続することもでき、端末の継続利用も可能(乗り換え前のキャリアの回線を利用している事業者などの場合)。もちろん、LINEやTwitter、FacebookなどのSNSも利用できます。

サポート面に注意!

格安スマホには、大手キャリアと異なる点もあります。最大の違いはサポート面かもしれません。操作やサービス内容などで質問したい時、大手では最寄りのショップに行けば直接相談できますが、格安スマホではそうはいきません。電話やネットによる問い合わせだけでは不明点が解消されないこともあるようで、スマホ初心者にはややハードルが高めといえるかもしれません。ただし、格安スマホも直営ショップを設置したり、家電量販店などにサービスカウンターを設ける事業者も増えています。

格安スマホQ&A

今話題なだけに、さまざまな噂が飛び交う格安スマホ。その気になる噂の真相に、ズバリお答えします。

通信速度が遅くなる場合があると聞きますが?

遅くなりがちな時間帯はあります

料金を下げるため、ネットワーク容量に対するユーザー数を多めに設定しているので、多くの人が一斉に操作する昼の12時台や、仕事が終わる18時台以降は、通信速度が遅くなってしまうことがあります。しかし、実際に影響が出るのは、動画を見たり、オンラインゲームで遊ぶなど、データ量をたくさん利用する操作がほとんど。メッセージアプリなどのやり取りや、ネットを見たりする分にはさほど影響はないと考えてよいでしょう。

キャリア専用メールは使えない?

フリーメールの利用がおすすめです

「~@(キャリア名).ne.jp」などのキャリア専用のメールは利用できなくなります。キャリアメールをよく利用している人は、GmailやYahoo!メールなどのフリーメールを利用することをおすすめします(メッセージアプリは利用できます)。また乗り換えてサービス事業者が変わることで、大手キャリア提供の雑誌の読み放題や音楽の聴き放題サービスなどが利用できなくなることも覚えておきましょう。

格安スマホはさらに普及しますか?

可能性はあります

世界的に割高とも言われる日本の携帯電話料金。携帯通信料の安価化は国策とも言われており、総務省が格安スマホの普及を推進する動きもあります。格安スマホはスマホユーザーの10%近くまで普及していますが、今後の鍵を握るのは競争によるサービスの向上。大手キャリアの通信料引き下げの動きもありますが、国内の格安スマホの事業者は600社以上あるので、今後の進化が期待されます。

※掲載内容は2017年8月1日時点の情報に基づく
監修・文/綿谷禎子