ソニー生命からのご案内 ソニー生命からのご案内

今年の年末調整のポイント

会社員の場合、10月中旬から下旬にかけて、勤務先から年末調整の書類が配布されることと思います。年末調整で所定の控除を受けることができると、12月の給与に、これまで払い過ぎた税金が上乗せされて戻ってきます。利用可能な控除を見逃して損をしないように、今年の改正点も含めて、年末調整の基本と控除のポイントを税理士の望月茂さんに教えていただきました。

年末調整の基本

年末調整とは?

年末調整とは、いわばサラリーマンの1年間の所得税の「精算」です。「サラリーマンの所得税は、月割りにした額が給与から天引き(源泉徴収)される仕組ですが、概ね少し多めに見積もられた額が天引きされています。そこで1年間(その年の1月から12月)の給与の総額が確定する12月に正確な所得税額を計算し直すのです」(望月さん)。

本来支払うべき正確な所得税額より、1年間に源泉徴収された額のほうが多ければ、差額分が12月の給与に上乗せされて戻ります。逆に源泉徴収額が正確な所得税額より少なかった場合は、差額が12月の給与から差し引かれます。これが年末調整です。

なお、現状の年末調整は勤務先と書類のやりとりが必要ですが、2020年から一部の手続が電子化され、手間が軽減されそうです。対象になるのは生命保険料控除、地震保険料控除、住宅ローン控除。これらの控除証明書について、データの送受信で手続が完了するようになる予定です。

年末調整で受けられる控除とは?

図表1 年末調整で受けられる所得控除は?
(住宅ローン控除のみ税額控除)

控除の種類 どんな人が受けられる?
基礎控除 誰でも受けられる(勤務先がやってくれる)
社会保険料
控除
誰でも受けられる(勤務先がやってくれる)
扶養控除 高校生、大学生の子供、老親を扶養している場合などに受けられる
配偶者控除 配偶者が専業主婦(夫)かパート労働者などで要件を満たす場合に受けられる
配偶者特別控除 配偶者がパート労働者などで要件を満たす場合に受けられる
勤労学生控除 納税者自身が勤労学生で要件を満たす場合に受けられる
寡婦(夫)控除 納税者自身が寡婦(夫)で要件を満たす場合に受けられる
障害者控除 納税者自身、同一生計の配偶者、扶養親族が所得税法上の障害者である場合に受けられる
生命保険料控除 生命保険に加入している場合に受けられる
地震保険料控除 地震保険、一部の損害保険に加入している場合に受けられる
小規模企業共済等掛金控除 iDeCoの掛金を9月までに納付した場合に受けられる
住宅ローン
控除
(住宅借入
金等特別控除)
住宅ローンを返済中で要件を満たす場合に受けられる

image

2018年の改正「配偶者控除」と
「配偶者特別控除」

※以下は夫がサラリーマン(給与収入のみ)、妻が専業主婦かパートという前提です。

夫の年収が1,220万円超だと「配偶者控除」を受けられない

夫の年収に応じて配偶者控除額が異なるように

図表2 配偶者控除の要件と控除額

給与取得者
本人の要件

年間の合計所得金額が1,000万円以下
(給与収入のみなら年収1,220万円以下)

配偶者の
要件

年間の合計所得金額が38万円以下
(パートなど給与収入のみなら年収103万円以下)

控除額
夫の合計所得(給与年収) 控除額
900万円以下
(1,120万円以下)
38万円
950万円以下
(1,170万円以下)
26万円
1,000万円以下
(1,220万円以下)
13万円
申告書類

給与所得者の配偶者控除等申告書

配偶者特別控除は妻の年収201万円まで受けられるように

図表3 配偶者特別控除の要件と内容

給与取得者
本人の要件

年間の合計所得金額が1,000万円以下
(給与収入のみなら年収1,220万円以下)

配偶者の
要件

年間の合計所得金額が38万円超123万円以下
(パートなど給与収入のみなら年収103万円超201万5,999円以下)

控除額

図表3 配偶者特別控除の要件と内容

申告書類

給与所得者の配偶者控除等申告書

POINT

夫婦に給与以外の所得がある場合は注意

給与収入1,220万円以下なら、配偶者が要件を満たせば配偶者控除や配偶者特別控除が受けられるとお話ししてきました。1,220万円の給与収入を給与所得に直すと1,000万円。給与所得1,000万円以下なら配偶者控除と配偶者特別控除を受けられるということです。

ただし給与以外にも所得がある場合、他の所得も合算した合計所得金額が年1,000万円を超えると要件から外れ、配偶者控除や配偶者特別控除は受けられなくなります。他の所得として可能性があるのは、生命保険の満期保険金や解約返戻金などによる一時所得、アパート経営による不動産所得、相続した不動産を売却した場合などの譲渡所得、副業による雑所得などです。

こうした所得がある場合には確定申告をする必要があります。他の所得により合計所得金額が1,000万円を超えてしまうと、年末調整で受けた配偶者控除や配偶者特別控除は取り消され、税額を確定申告で精算することになります。配偶者にパート収入以外の所得があり、要件から外れる場合も同様の取扱となります。

年末調整で受けられるその他の主な
控除

扶養控除(所得控除)

16歳以上で所得が38万円以下の親族が
受けられる

ただし、子供がアルバイトなどで収入を得ている場合には注意が必要です。「要件の年間合計所得金額38万円以下というのは、給与収入だけなら年収103万円に当たります。子供のアルバイトなどの収入がこれを超えると扶養控除から外れます」。

子供が1年以上留学する場合に注意

子供関連でもう一つ注意したいのは海外留学のケースです。「海外留学していても扶養控除は受けられますが、留学期間が1年以上の場合、所定の親族関係書類(パスポートの写しなど)や、海外留学をしている子供に送金したことがわかる送金関係書類(金融機関の書類など)が必要になります」(望月さん)。

老親と別居していても仕送りをしていれば受けられる

70歳以上の扶養親族は老人扶養親族となり、扶養控除額が高めになります。老親と同居している、あるいは別居していても生活費の仕送りをして生計を共にしている場合に検討しましょう。老親の収入が年金のみで158万円以下であれば、合計所得金額年38万円以下をクリアします。遺族年金は非課税で所得に含まれないため、遺族年金を受給している老母などは所得金額の要件をクリアしやすいと考えられます。

「別居の場合、生計を共にしていると認められる仕送り額は特に定められていませんが、年に1〜2回お小遣い程度の金額を渡すぐらいだと難しいでしょう。生活費の仕送りは老親に直接渡しても構わないのですが、仕送りの事実が客観的にわかるように、銀行口座に振り込むことをお勧めします」(望月さん)。

図表4 扶養控除の概要

要件

・生計を共にする16歳以上の親族

・年間の合計所得金額が38万円以下(給与収入のみなら年収103万円以下)

控除額
扶養親族の区分 控除額
一般の控除対象扶養親族
(16歳以上)
38万円
特定扶養親族
(19歳以上23歳未満)
63万円
老人扶養親族
(70歳以上)
同居老親等以外の者
48万円
同居老親等*    58万円

* 納税者またはその配偶者の父母、祖父母などで、納税者またはその配偶者と常に同居している人のこと。

申告書類

・給与所得者の扶養控除等(異動)申告書

・子供が1年以上海外留学する場合、所定の親族関係書類と送金関係書類の添付も必要

生命保険料控除(所得控除)

契約時期により控除の取扱が異なる

図表5 生命保険料控除の概要

控除額

図表5 生命保険料控除の概要

要件

・所定の生命保険に加入し、保険料を支払っている

申告書類

・給与所得者の保険料控除申告書

・生命保険料控除証明書(加入先の生命保険会社から送付)

地震保険料控除(所得控除)

地震保険と一部の損害保険に加入していると受けられる

また、2007年の損害保険料控除廃止の経過措置として、2006年12月31日以前に契約した保険期間10年以上の長期損害保険(旧長期損害保険)については、地震保険料控除の対象になります。支払った保険料に応じて最高1万5,000円の控除が受けられます。

地震保険と旧長期保険が別々の契約の場合、控除額は合計で最高5万円となります。1つの契約で地震保険と旧長期損害保険の双方に加入している場合には、いずれか一方の控除を選択します。

図表6 地震保険料控除の概要

要件

・地震保険に加入して保険料を支払っている

・旧長期損害保険に加入して保険料を支払っている

控除額

の合計で最高5万円まで

区分 控除額
地震保険料 最高5万円
旧長期損害保険料 最高1万5,000円

1つの契約での双方に加入の場合、いずれかを選択

申告書類

・給与所得者の保険料控除申告書

・地震保険料控除証明書(加入先の損害保険会社から送付)

住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)(税額控除)

2年目からは年末調整で控除できる

住宅ローン控除を受ける最初の年には確定申告が必要ですが、2年目以降は年末調整で控除ができます。「最初の年に税務署に確定申告した人には、後日、税務署から控除期間の年数分の『住宅借入金等特別控除申告書 兼 住宅借入金等特別控除証明書』がまとめて送られてきているはずです。2年目以降はそれを使って年末調整で申告します」(望月さん)。

住宅ローン控除は年末調整が義務づけられているわけではないので、勤務先に住宅ローンの内容などを知られたくないといった場合には、確定申告を選択することもできます。「住宅ローン控除は所得税から直接差し引ける税額控除なので、税負担の軽減効果が大きいです。年末調整にせよ確定申告にせよ、忘れずに申告しましょう」。

図表7 住宅ローン控除の概要

要件

返済期間10年以上など所定の要件を満たした住宅ローンを組んでマイホームを新築、購入、リフォームした人

控除額

控除額および控除期間はマイホームに居住を始めた年による

(例)2014年1月1日以降にマイホームに居住し始めた場合

控除額 /
住宅ローンの年末残高等×1%(最高40万円)
控除期間 / 10年

小規模企業共済等掛金控除(所得控除)

掛金全額所得控除はiDeCoの税制メリットの一つ

「掛金の所得控除は年末調整でできます。ただし9月までに掛金を納付した人に限られます。10月以降に掛金の拠出が始まった人は翌年の確定申告で対応することになります」(望月さん)。掛金が給与天引きされている場合には、勤務先が手続をしてくれるので、年末調整での申請や確定申告をする必要はありません。

図表8 小規模企業共済等掛金控除
(iDeCoの掛金控除)の概要

要件

9月までにiDeCo(イデコ、個人型確定拠出年金)の掛金を拠出している人

控除額

2018年に拠出した掛金の全額

申告書類

・給与所得者の保険料控除申告書

・「小規模企業共済等掛金払込証明書」
(iDeCoを統括する国民年金基金連合会から送付)

年末調整できない控除

図表9 確定申告で受ける控除

控除の種類 概要
医療費控除 年間の医療費の自己負担が10万円超の場合
セルフメディケーション税制
(医療費控除の特例)
セルフメディケーション税制の対象になる医薬品の購入費が年間1万2,000円を超えた場合。医療費控除との選択制
寄付金控除 特定の団体などに寄付した場合。「ふるさと納税」も対象*
雑損控除 災害や盗難などによる被害に遭った場合
初回の住宅ローン控除 所定の住宅ローンを組んでマイホームを新築、購入、
リフォームした場合
小規模企業共済等掛金控除の一部 iDeCoの掛金拠出が10月以降に始まり、年末調整できなかった場合

* ふるさと納税したのが年間5カ所までで「ワンストップ特例」を利用した場合には確定申告不要。

※掲載内容は2018年10月1日時点の情報に基づく
取材協力・監修/望月茂(税理士)
取材・文/萬真知子