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災害時に知っておきたい公的支援金・制度

近年、地震や豪雨による水害など、大きな被害をもたらす自然災害が増えています。被災したときに、生活再建の一助となるのが公的な支援金や制度。どこまで支援を受けられるのか知っておくと、自分で備えるべきことも見えてきます。「災害時に役立つ制度とお金」では、押さえておきたい主な支援金や制度をご紹介しました。今回はケース別の公的支援金や、日頃から備えておきたいポイントなどを、社会保険労務士で経済エッセイストの井戸美枝さんに教えていただきました。

被災後、公的支援を受ける際にまず
やるべきこと

被災した場合に重要な「罹災(りさい)証明書」とは?

「一定規模以上の災害が起こると、『災害救助法』などにより、被災者は衣食住に関する公的支援が受けられます」と井戸さん。特に、生活基盤である住まいが被害に遭った場合には、様々な支援策が準備されています。「支援を受ける際に必要になるのが『罹災(りさい)証明書』です。被害の程度を証明する書面のことで市区町村が発行します」。後述する公的な支援金や融資、税金や社会保険料の支払期限の延長や減免などには、多くの場合、罹災(りさい)証明書が必要になります。重要なものなので覚えておきましょう。

罹災(りさい)証明書の発行には申請が必要

図表1 住まいの被災から支援を受けるまでの流れ

図表1 住まいの被災から支援を受けるまでの流れ

2018年の大阪北部地震や西日本豪雨の際には、迅速に罹災(りさい)証明書を発行するために、被災者がスマホのカメラなどで撮影した家屋の写真で被害状況を判定する自治体もありました。「調査の前に自己判断で住まいを修繕してしまうと、実際の被害の程度がわからなくなり、適正な支援が受けられなくなるおそれがあるので注意しましょう」。

ケース別、主な公的支援金等

CASE1キャッシュカードや通帳を紛失した

災害により通帳やキャッシュカードを紛失することもあります。一定規模以上の災害が起こり災害救助法が適用されると、金融庁から各金融機関に被災者の預貯金の引き出しに柔軟に対応するように要請がいきます。それにより、被災者は通帳やキャッシュカードがなくても当面の生活費を確保できるように、20万円まで預貯金が引き出せるようになります。

「その際に必要なのが本人確認ができる身分証明書です。いつ災害が起きても対応できるように、普段から運転免許証など顔写真入りの身分証明書(*) を身に付けておくことをお勧めします」(井戸さん)。身分証明書のコピーを非常持出袋に入れておくのも備えになります。

  • 申請に
    必要なもの
    本人確認ができる身分証明書(*) 罹災(りさい)証明書は不要
  • 問い合わせ先
    各金融機関

* 本人確認の手段は緩和の傾向にあり、顔写真入りが必要かどうかはケースバイケースですが、できれば顔写真入りを準備しておいたほうがいいでしょう

クレジットカードを紛失したら

CASE2ケガや疾病により障害が出た、ご家族が亡くなられた

「災害弔慰金」「災害障害見舞金」(給付)

災害が原因で家族の誰かが死亡した場合、遺族に「災害弔慰金」が支給されます。生計維持者が死亡した場合には500万円まで、それ以外の人が死亡した場合には250万円までの範囲で、市区町村が定める金額が受け取れます。

災害によるケガや疾病により、精神や身体に重い障害が生じた場合、「災害障害見舞金」が支給されます。生計維持者の場合には250万円まで、それ以外の人は125万円までの範囲で、市区町村が定める金額が受け取れます。

図表2 死亡や障害の場合に受け取れるお金

種類 利用できる人 支給額
災害
弔慰金
災害により死亡した人の遺族

・生計維持者の死亡時/500万円以内
(市区町村条例で定める額)

・その他の者の死亡時/250万円以内
(市区町村条例で定める額)

災害障害見舞金 災害により重い障害を受けた人(*)

・生計維持者の障害/250万円以内
(市区町村条例で定める額)

・その他の者の障害/125万円以内
(市区町村条例で定める額)

* ①両眼が失明した人、②咀嚼および言語の機能を廃した人、③神経系統の機能または精神に著しい障害を残し、常に介護を要する人、④胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し、常に介護を要する人、⑤両上肢をひじ関節以上で失った人、⑥両上肢の用を全廃した人、⑦両下肢をひざ関節以上で失った人、⑧両下肢の用を全廃した人、⑨精神または身体の障害が重複する場合における当該重複する障害の程度が、前各項目と同程度以上と認められる人

  • 申請に
    必要なもの
    罹災(りさい)証明書は不要、その他は自治体によって様々
  • 問い合わせ先
    市区町村

CASE3住まいが被害を受けた

「被災者生活再建支援制度」の支援金(給付)

災害により住まいが全壊など大きな被害を受けた場合、「被災者生活再建支援制度」が適用され、被害の程度などに応じて支援金が支給されます。支援金は2種類で、住宅の被害の程度に応じて支給される「基礎支援金」と、住宅の再建方法に応じて支給される「加算支援金」があります。

「基礎支援金+加算支援金で最大300万円受け取れることになります。持ち家の人だけが対象になると勘違いされがちですが、賃貸住宅の人も対象になります。使途は限定されないので、当面の生活費としても利用できます」(井戸さん)。

住まいの被害に関しては、災害救助法が適用された市区町村を対象にした「住宅の応急修理」という支援策もあります。居室、台所、トイレ等、日常生活に必要不可欠な最小限の箇所を応急修理する制度で、1世帯当たり58万4,000円(2018年の場合)を限度に現物支給します。住まいが半壊または大規模半壊し、自ら修理をする資力がない場合に利用できます。

図表3 被災者生活再建支援制度の概要

利用できる人 支給額
自然災害により、住まいが全壊等または大規模半壊した世帯

次のの金額(最大300万円)

基礎支援金(住宅の被害程度に応じて支給)
●全壊等/100万円 
●大規模半壊/50万円

加算支援金(住宅の再建方法に応じて支給)(*1)
●建設・購入/200万円
 ●補修/100万円
●賃貸に入居(*2)/50万円

*1 いったん賃貸住宅に入居した後に自分の住まいを建設・購入する場合、加算支援金は合計で200万円、補修する場合は合計で100万円となる

*2 公営住宅を除く

  • 申請に
    必要なもの

    基礎支援金:罹災(りさい)証明書、住民票等

    加算支援金:契約書(住宅の購入、賃借等)等

  • 申請期間

    基礎支援金:災害発生日から13ヵ月以内

    加算支援金:災害発生日から37ヵ月以内

  • 問い合わせ先
    市区町村

CASE4生活の再建に必要な資金を借りたい

「災害援護資金」(貸付)

「災害援護資金」は災害により世帯主が負傷したり、住居や家財に一定の被害を受けたりした場合に、生活再建資金の貸付が受けられる制度です(ただし世帯人数に応じた所得制限があります)。貸付限度額は世帯主の負傷の有無や被害状況に応じて150万~350万円。金利は3%ですが、借入当初3年間(特別の場合5年間)は無利子となります。

図表4 災害援護資金の概要

利用できる人 貸付の内容

次のいずれかの被害を受けた世帯の
世帯主

世帯主が災害により負傷し、その療養に要する期間が概ね1カ月以上

家財の3分の1以上の損害

住居の半壊または全壊・流出

  • ●貸付限度額/被害に応じて150万~350万円
  • ●貸付金利/年3%(据置期間中は無利子)
  • ●据置期間/3年以内(特別の場合、5年)
  • ●償還期間/10年以内(据置期間を含む)
所得制限
(市区町村民税における前年の総所得金額)(*)
1人世帯/220万円以下
2人世帯/430万円以下
3人世帯/620万円以下
4人世帯/730万円以下

* 5人以上世帯は1人増すごとに730万円に30万円を加えた金額。ただし住居が滅失した場合は1,270万円とする

  • 申請に
    必要なもの
    罹災(りさい)証明書、その他は自治体によって様々
  • 申請期間
    市区町村によって設定されている
  • 問い合わせ先
    市区町村

CASE5勤務先が被災して給料が出ない

「雇用保険の失業等給付」(給付)、
「未払賃金立替払制度」(立替)

「災害により勤務先が休業し、一時的に離職または休業を余儀なくされた場合、特例措置として雇用保険の基本手当(失業給付)が支給されます」(井戸さん)。下記のまたはに該当する人が利用できます。

  • 勤務先が災害救助法適用の市区町村にあり、被災によりやむを得ず休業するため一時的に離職を余儀なくされた人、かつ離職前の事業主に再雇用される予定がある人。

  • 勤務先が激甚災害法の適用を受けた地域にあり、やむを得ず休業することとなったため、休業を余儀なくされた人。

災害により勤務先が倒産してしまう場合もあります。「勤務先の倒産により給料などが未払のまま退職した場合、『未払賃金立替払制度』により、未払賃金総額の80%を限度に国(*) が立替払をします」。立替払してもらえる賃金は、退職日の6カ月前から立替払請求日の前日までに受け取るはずだった定期賃金(毎月の給料)と退職手当のうち、未払のものです。ボーナスは対象外、未払賃金の総額が2万円未満の場合も対象外となります。

* 正確には厚生労働省管轄の独立行政法人労働者健康安全機構

雇用保険の失業給付
  • 申請に
    必要なもの
    それぞれの場合によって異なる
  • 問い合わせ先
    ハローワークなど
未払賃金立替払制度
  • 問い合わせ先
    独立行政法人労働者健康安全機構(未払賃金立替払相談コーナー)

CASE6幼稚園、小学校、中学校、高校、
大学に通う子供がいる

「幼稚園への就園奨励事業」(減免)、「教科書等の無償給与」(現物支給)、
「小・中学生の就学支援措置」(給付、還付)など

図表5 子供の学校関連の主な支援制度

制度の名称 概要 支援の
種類
問い
合わせ先
幼稚園への
就園奨励事業
保護者の所得状況に応じて、幼稚園の入園料・保育料を軽減 減免 市区町村、幼稚園
教科書等の
無償給与
(災害救助法)
災害救助法が適用された市区町村において、災害により学用品を失った小学校・中学校・高校等の児童・生徒に教科書・文具・通学用品を支給 現物
支給
都道府県、災害救助法が適用された市区町村
小・中学生の
就学援助措置
被災により就学困難な児童・生徒の保護者を対象に、就学に必要な学用品費、
新入学用品費、通学費、学校給食費等を援助
給付・還付 都道府県、市区町村、学校
高等学校授業料等減免措置 災害による経済的理由により授業料等の納付が困難な生徒を対象に、授業料・受講料・入学料などの負担を猶予、または減額・免除する 減免・猶予 都道府県、市区町村、学校
大学等授業料等減免措置 災害による経済的理由により、授業料等の納付が困難な学生を対象に、各学校(大学、短期大学、大学院、高等専門学校)において授業料等を減額・免除する 減免・猶予 在籍する
各学校
(授業料担当窓口)

支払の減免や期限の延長が受けられるもの

税金や社会保険料、公共料金等の減税・猶予、被災した自動車の税金還付

図表6 支払の減免・期限の延長などが受けられるのは?

減免等の対象 概要 問い
合わせ先
国税 所得税の軽減(確定申告により雑損控除か災害減免法を選択)、申告期限の延長など 税務署
地方税 住民税、固定資産税、自動車税などの一部軽減または免除など 都道府県、市区町村(税務課など)
医療・介護保険の保険料と窓口負担(自己負担)

●国民健康保険と後期高齢者医療制度の保険料と、窓口負担の減免や支払猶予

●健康保険等の窓口負担の減免

●介護保険の保険料減免や支払猶予、介護保険の自己負担の減免

加入先の公的医療保険の窓口、
介護保険の窓口
公共料金

●水道料金の軽減・免除

●電気、ガス、電話料金等の軽減・免除

都道府県、市区町村、関係事業者
NHK
受信料
一定期間免除 日本放送
協会

「例えば災害による収入減など特別な理由がある場合には、病院での窓口負担が減免されます。また2017年4月から、自動車が被災した場合に自動車重量税のうち所定の額が還付される措置が設けられています」。

住宅ローンの免除・減額の制度

被災の状況によっては、住宅ローンが返済できなくなる場合もあるでしょう。「住宅ローンの返済ができない、または近い将来できなくなるのが確実な場合には、『自然災害による被災者の債務整理に関するガイドライン』(全国銀行協会:自然災害による被災者の債務整理に関するガイドライン研究会事務局)により、ローンの免除や減額を受けられます」(井戸さん)。

同ガイドラインは、2015年9月2日以降に災害救助法が適用された自然災害で、被災した人を対象にした制度。被災状況などに合わせて財産の一部を手元に確保したうえでローンの一部を返済し、残りのローンは減免される仕組になっています。債務整理をしたことは個人信用情報の記録に残らないため、新たな借り入れに影響を及ぼさないなどのメリットがあります。ただし、利用するには住宅ローンの借入先金融機関の同意が必要になります。

  • 申請に
    必要なもの
    財産目録、債権者一覧表など
  • 申請期間
    規定無し
  • 問い合わせ先
    住宅ローンの借入先金融機関
    (借入先が銀行の場合、全国銀行協会相談室への問い合わせも可)。

民間保険会社の保険料の支払が6カ月間猶予される

災害救助法が適用された地域で被災した場合、民間の生命保険や損害保険についても特別措置が講じられます。「生命保険の場合、加入先の生保会社に申し出れば保険料の支払が最長6カ月間猶予されます。被害が特に大きい地域については、契約者からの申し出がなくても保険料の支払を6カ月間猶予する場合もあります」(井戸さん)。同様に損害保険の保険料の支払も6カ月間猶予されます。

  • 申請期間
    速やかに連絡すること
  • 問い合わせ先
    加入先の生命保険会社、損害保険会社

自分で日頃から備えておくこと

現金は10万~20万円程度準備

災害発生から2〜3日すると、食料品や飲料水、日用品など生活に必要な物資が避難所などに届き始めるので、10万円程度あれば当座の入り用には対応できると井戸さんはアドバイスします。

簡単な資産表を作る

図表7 資産表のサンプル

金融
機関
の種類
誰の資産?
(生命保険は被保険者)
預け先、
加入先
電話番号
銀行、
郵便局
A夫 ○○銀行
 普通預金、
定期預金
郵便局
  通常貯金、
定額貯金
00-000-0000
00-000-0000
B子 ○△銀行
 普通預金、
投資信託
00-000-0000
証券
会社
A夫 ☆☆証券
 株式
▲▲証券 
iDeCo
(投資信託)
00-000-0000
00-000-0000
生命
保険
会社
A夫 ○☆生命
 定期保険、
医療保険
00-000-0000
B子 ○☆生命
 医療保険
00-000-0000
損害
保険
会社
  △△海上
 火災保険、
地震保険
○▲損保
 自動車
保険
00-000-0000
00-000-0000
クレ
ジット
カード
A夫 〇◆カード
☆〇カード
00-000-0000
00-000-0000
B子 〇★カード
◆△カード
00-000-0000
00-000-0000

資産表を作っておけば、自宅が被災して通帳や証券などを紛失しても、およその財産の内容がわかります。誰かに万一のことがあっても、その人の財産がどこにあるかを把握できます。「家族の誰がどこの会社の何の保険に加入しているかを共有していれば、災害でケガをして入院した人が出たときなどに、他の家族が忘れずに保険金を請求できます。作った資産表はクラウド上に保管のうえ、家族各人の非常持出袋の中にも入れておくと、まずなくすことはありません」。

住まいの保険を確認

前述のとおり、住まいが被災した際には被災者生活再建支援制度がありますが、支援金は最高でも300万円。住まいを再建するには不足する額です。「住まいの損害には、民間の火災保険や地震保険での備えが必要です。加入している火災保険に水害(水災)の補償が付いているか、火災保険に地震保険をセットしているか確認しましょう。保険が切れていないかも確認してください」(井戸さん)。

また火災保険と地震保険は、建物と家財について別々に契約することになっています。家財の補償対象になるのは家電製品、家具、衣類など。「これらを災害で失い、新たに買い揃えようとすると、数百万円、あるいはそれ以上のまとまったお金が必要になります。ご自宅にある家財を買い換えたらいくら必要になるのか、この機会に1度計算するとよいでしょう。家財の保険を掛けていればその費用を賄えるので、加入していなかったお宅には加入をお勧めします。持ち家の場合はもちろん、住まいが賃貸のお宅でも家財の保険は必要です」。

※掲載内容は2018年10月1日時点の情報に基づく
取材協力・監修/井戸美枝(社会保険労務士)
取材・文/萬真知子