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かんたんにわかる!月刊 経済・為替ダイジェスト1月号

ソニーフィナンシャルホールディングスの金融市場調査部が最新のマクロ経済・為替相場の見通しについて解説します。

為替相場見通し

執筆者
ジュニアアナリスト 政木 瑞江

政木 瑞江
当面の注目ポイント
  • 貿易摩擦への警戒感が強まらないか
    (米中・日米間の通商協議が進展すればドル高・円安要因に)
  • 米国株式市場が落ち着きを取り戻すか
    (下げ止まればドル高要因に)
  • 北朝鮮や中東情勢を巡る地政学リスクが高まらないか
    (軍事的緊張が高まれば円高要因に)
  • トランプ大統領の不規則発言が出ないか
    (ドル高牽制やFRBに対する批判があればドル安要因に)

過去2ヶ月の為替推移

過去2ヶ月の為替推移

出所:Bloomberg、SonyFH

通商協議の進展はあるか?

11月から12月のドル円は、方向感なく推移した後、ドル安・円高が進行しました。11月6日の米中間選挙を通過した後、米株価や原油価格の下落によるリスクオフ、米連邦準備理事会(FRB)高官のハト派的(利上げに消極的)な発言を受けた米利上げの早期終了観測などがドル円の重しとなる一方、前述のFRB高官発言を受けた株高や米中通商協議の進展期待が下支え材料となり、もみあいが続きました。しかし、12月に入ると、米政府の要請による中国通信機器大手ファーウェイのCFO逮捕を発端に米中対立激化が懸念されたほか、低調な主要国経済指標を背景とする世界経済の減速懸念、米国の暫定予算不成立を受けた米政府機関の一部閉鎖などにより、市場ではリスクオフムードが拡大。リスク回避の円買いが強まる中で、110円ちょうど付近までドル安・円高が進みました。

今後のドル円は、米中・日米通商協議の動向を注視しながら不安定な値動きになると予想します。12月1日の米中首脳会談では、中国が米国からの輸入を拡大し、米国が対中制裁関税率の引き上げを先送りすることで合意しました。猶予期限である2月末までに協議が進展しなければ、米国は関税率の引き上げに踏み切る模様で、今後は米中の交渉の進捗具合が焦点となりそうです。1月からは日米物品貿易協定(TAG)も始まる予定であり、こうした通商協議の行方を見極めながら、ドル円は神経質な値動きになるとみています。特に、通商協議において米中の溝が深まったり、米国が日本に通貨安誘導を封じる為替条項の導入を要求したりした場合には、リスク回避の円高が進行する可能性があります。ただし、交渉の行方を見極めたいとの思惑から、その影響は一時的になると予想します。

マクロ経済見通し

執筆者
シニアエコノミスト 渡辺 浩志

渡辺 浩志

米国株価反転のきっかけは?

バブルがないなら深刻な景気後退や株安は起こらない

図1:米国の家計・企業の債務の重さを表す
デット・サービ・スレシオ

図表1

出所:BIS、SFH

図2:シラーPERと消費者信頼感
~バブル的要素はなし

図表2

出所:ロバート・シラー教授、コンファレンスボード、SFH

今月のキーワード

金融環境指数(NFCI)

金融環境とは、家計や企業の資金調達のしやすさを表す言葉です。FRBの利上げや株価の下落、リスク資産からの資金流出などが起これば金融環境は引き締まります。家計や企業の資金調達が困難化すれば、消費や投資が萎縮し、景気後退に陥る可能性があります。米国のシカゴ地区連銀は、105種類の金融・経済指標を集計した「金融環境指数(NFCI)」を作成し、金融環境が過度に引き締まっていないか点検しています。足下では、ハイ・イールド債やレバレッジド・ローンCLOなど、一部のリスク資産からの資金流出がみられ始めており、それらを総合した金融環境指数が急激に引き締まれば、FRBは対応を急ぐことになると思われます。

ソニーフィナンシャルホールディングス
アナリストの紹介

尾河 眞樹(おがわ まき)

尾河 眞樹(おがわ まき)

ソニーフィナンシャルホールディングス
執行役員 兼 金融市場調査部長
チーフアナリスト

ファースト・シカゴ銀行、JPモルガン証券などの為替ディーラーを経て、ソニー財務部にて為替リスクヘッジと市場調査に従事。その後シティバンク銀行(現SMBC信託銀行)で個人金融部門の投資調査企画部長として、金融市場の調査・分析、および個人投資家向け情報提供を担当。2016年8月より現職。テレビ東京「Newsモーニングサテライト」、日経CNBCなどにレギュラー出演し、金融市場の解説を行っている。著書に『為替がわかればビジネスが変わる(2014年日経BP社)』、『富裕層に学ぶ外貨投資術(2015年日経新聞出版社)』、『〈新版〉本当にわかる為替相場(2016年日本実業出版社)』などがある。

菅野 雅明(かんの まさあき)

菅野 雅明(かんの まさあき)

ソニーフィナンシャルホールディングス
シニアフェロー
チーフエコノミスト

1974年日本銀行に入行後、秘書室兼政策委員会調査役、ロンドン事務所次長、調査統計局経済統計課長・同参事などの役職を歴任。日本経済研究センター主任研究員(日本銀行より出向)を経て、1999年JPモルガン証券入社、チーフエコノミスト・経済調査部長・マネジングディレクターとして日本の金融経済分析・予測を担当。2017年4月より現職。総務省「統計審議会」委員、財務省「関税・外国為替等審議会」専門委員、内閣府「経済財政諮問会議グローバル化改革専門調査会、金融・資本市場ワーキンググループ」メンバー、内閣官房「公的・準公的資金の運用・リスク管理等の高度化等に関する有識者会議」メンバー、厚生労働省「年金積立金の管理運用に係る法人のガバナンスの在り方検討作業班」専門委員などを歴任。日本経済新聞「十字路」「経済教室」、日経QUICK「QUICKエコノミスト情報」、東洋経済「経済を見る眼」「論点」、NTT出版「危機の日本経済」など執筆多数。テレビ東京「Newsモーニングサテライト」レギュラーコメンテーター。1974年東京大学経済学部卒、1979年シカゴ大学大学院経済学修士号取得。

渡辺 浩志(わたなべ ひろし)

渡辺 浩志(わたなべ ひろし)

ソニーフィナンシャルホールディングス
金融市場調査部
シニアエコノミスト

1999年に大和総研に入社し、経済調査部にてエコノミストとしてのキャリアをスタート。2006年~2008年は内閣府政策統括官室(経済財政分析・総括担当)へ出向し、『経済財政白書』等の執筆を行う。2011年からはSMBC日興証券金融経済調査部および株式調査部にて機関投資家向けの経済分析・情報発信に従事。2017年1月より現職。内外のマクロ経済についての調査・分析業務を担当。ロジカルかつデータの裏付けを重視した分析を行っている。

石川 久美子(いしかわ くみこ)

石川 久美子(いしかわ くみこ)

ソニーフィナンシャルホールディングス
金融市場調査部
シニアアナリスト

商品先物専門紙での貴金属および外国為替担当の編集記者を経て、2009年4月に外為どっとコムに入社し、外為どっとコム総合研究所の立ち上げに参画。同年6月から研究員として、外国為替相場について調査・分析、レポートや書籍、ブログ、Twitterなどの執筆、セミナー講師、テレビやラジオなどのコメンテーターとして活動。2016年11月より現職。外国為替市場の調査・分析業務を担当。

政木 瑞江(まさき みずえ)

政木 瑞江(まさき みずえ)

ソニーフィナンシャルホールディングス
金融市場調査部
ジュニアアナリスト

2014年4月、日本マスタートラスト信託銀行に入行し、市場管理部にて外国有価証券の管理業務に従事。2015年10月にソニー生命保険に入社し、財務部にて変額保険勘定(特別勘定)の管理・運用を行う。2016年8月、ソニーフィナンシャルホールディングスへ出向し、金融市場調査部の立ち上げに参画。2017年4月より現職にて外国為替市場の調査・分析業務を担当。

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