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かんたんにわかる!月刊 経済・為替ダイジェスト6月号

ソニーフィナンシャルホールディングスの金融市場調査部が最新のマクロ経済・為替相場の見通しについて解説します。

為替相場見通し

執筆者
シニアアナリスト 石川 久美子

石川 久美子
当面の注目ポイント
  • 貿易摩擦問題の長期化懸念が強まるか
    (交渉など進展すればドル高・円安要因。難航すればドル安・円高要因に)
  • FRBが利下げの可能性を示唆するか
    (利下げの可能性が高まればドル安要因、低下すればドル高要因に)
  • トランプ大統領の不規則発言が出ないか
    (ドル高牽制やFRBに対する批判があればドル安要因に)
  • 北朝鮮や中東情勢を巡る地政学リスクが高まらないか
    (軍事的緊張が高まれば円高要因に)

過去2ヶ月の為替推移

過去2ヶ月の為替推移

出所:Bloomberg、SFH

戦線拡大する貿易戦争を眺めて方向感を模索

4月のドル円相場は欧米各国のイースター休暇や日本の連休前のポジション調整がメインの、方向感に乏しい展開となりました。しかし、5月に入ると米中の貿易摩擦問題が長期化する懸念や、米国がメキシコに対して移民問題に対する制裁関税をかけるとしたことをきっかけに貿易戦争の戦線拡大不安が広がり、ドル安・円高が進行しました。

足下の市場の関心は、米国が仕掛ける貿易戦争にあります。米国の保護主義的な通商政策によって自由貿易を裏付けとする国際的な経済の好循環が阻害され、世界経済が減速するのではとの懸念が広がっています。現在、米国経済は良好ですが、今後は米国も利下げが必要なほど経済が弱くなる、との見方が強まり、一時、米長期金利は2017年以来の低水準まで低下し、ドルの売り要因となりました。日本や欧州に対する自動車関税などの措置は延期されましたが、メキシコに対しては移民問題への制裁措置として関税を段階的に引き上げることを決定しており、問題は多方面に拡大しています。引き続き貿易戦争の一段の激化が懸念される場合、ドル円相場では一段とドル安・円高が進行すると考えられます。ただし現在、6月28-29日に開催されるG20首脳会議の場で米中首脳会談が行われる可能性が残っています。実際に実現することが決まり、何等かの合意が得られるのではとの観測が広がった場合、貿易摩擦問題の解決に向けた期待が高まり、米長期金利が上昇に転じ、ドル円相場ではドル高・円安が進むこともあり得るでしょう。なお、6月18-19日に行われる米連邦公開市場員会において発表される米国の経済・金利見通しも重要です。市場が期待するように先行きの利下げ見通しが示されればドル安要因、あくまで金利は据え置き、との姿勢が示されれば一時的にドル高要因となる可能性があります。

マクロ経済見通し

執筆者
シニアエコノミスト 渡辺 浩志

渡辺 浩志

高まる利下げ期待にFRBはどう応えるか

米中対立は長期化が不可避となり、利上げの可能性は消滅

米国の政策金利見通し
~市場参加者・エコノミスト・FRB

図

注:図中○回は、19年以降の利上げ回数

出所: FRB、Bloomberg、SFH

年内利下げの可能性

今月のキーワード

米国の対中関税と人民元安

ソニーフィナンシャルホールディングス
アナリストの紹介

尾河 眞樹(おがわ まき)

尾河 眞樹(おがわ まき)

ソニーフィナンシャルホールディングス
執行役員 兼 金融市場調査部長
チーフアナリスト

ファースト・シカゴ銀行、JPモルガン証券などの為替ディーラーを経て、ソニー財務部にて為替リスクヘッジと市場調査に従事。その後シティバンク銀行(現SMBC信託銀行)で個人金融部門の投資調査企画部長として、金融市場の調査・分析、および個人投資家向け情報提供を担当。2016年8月より現職。テレビ東京「Newsモーニングサテライト」、日経CNBCなどにレギュラー出演し、金融市場の解説を行っている。著書に『為替がわかればビジネスが変わる(2014年日経BP社)』、『富裕層に学ぶ外貨投資術(2015年日経新聞出版社)』、『〈新版〉本当にわかる為替相場(2016年日本実業出版社)』などがある。

菅野 雅明(かんの まさあき)

菅野 雅明(かんの まさあき)

ソニーフィナンシャルホールディングス
金融市場調査部
シニアフェロー チーフエコノミスト

1974年日本銀行に入行後、秘書室兼政策委員会調査役、ロンドン事務所次長、調査統計局経済統計課長・同参事などの役職を歴任。日本経済研究センター主任研究員(日本銀行より出向)を経て、1999年JPモルガン証券入社、チーフエコノミスト・経済調査部長・マネジングディレクターとして日本の金融経済分析・予測を担当。2017年4月より現職。総務省「統計審議会」委員、財務省「関税・外国為替等審議会」専門委員、内閣府「経済財政諮問会議グローバル化改革専門調査会、金融・資本市場ワーキンググループ」メンバー、内閣官房「公的・準公的資金の運用・リスク管理等の高度化等に関する有識者会議」メンバー、厚生労働省「年金積立金の管理運用に係る法人のガバナンスの在り方検討作業班」専門委員などを歴任。日本経済新聞「十字路」「経済教室」、日経QUICK「QUICKエコノミスト情報」、東洋経済「経済を見る眼」「論点」、NTT出版「危機の日本経済」など執筆多数。テレビ東京「Newsモーニングサテライト」レギュラーコメンテーター。1974年東京大学経済学部卒、1979年シカゴ大学大学院経済学修士号取得。

渡辺 浩志(わたなべ ひろし)

渡辺 浩志(わたなべ ひろし)

ソニーフィナンシャルホールディングス
金融市場調査部
シニアエコノミスト

1999年に大和総研に入社し、経済調査部にてエコノミストとしてのキャリアをスタート。2006年~2008年は内閣府政策統括官室(経済財政分析・総括担当)へ出向し、『経済財政白書』等の執筆を行う。2011年からはSMBC日興証券金融経済調査部および株式調査部にて機関投資家向けの経済分析・情報発信に従事。2017年1月より現職。内外のマクロ経済についての調査・分析業務を担当。ロジカルかつデータの裏付けを重視した分析を行っている。

石川 久美子(いしかわ くみこ)

石川 久美子(いしかわ くみこ)

ソニーフィナンシャルホールディングス
金融市場調査部
シニアアナリスト

商品先物専門紙での貴金属および外国為替担当の編集記者を経て、2009年4月に外為どっとコムに入社し、外為どっとコム総合研究所の立ち上げに参画。同年6月から研究員として、外国為替相場について調査・分析、レポートや書籍、ブログ、Twitterなどの執筆、セミナー講師、テレビやラジオなどのコメンテーターとして活動。2016年11月より現職。外国為替市場の調査・分析業務を担当。

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