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税制改正によりどこがかわった?2020年の年末調整のポイント

会社員にとって毎年恒例の年末調整。10月中旬から11月下旬にかけて勤務先から年末調整の書類が配布されることと思います。今年は税制改正により新たな控除が加わったり、提出する書類が増えたりしているため、例年以上に注意深く取り組む必要がありそうです。年末調整の基本をおさらいするとともに、今年ならではのポイントを税理士の望月茂さんに教えていただきました。

そもそも年末調整とは?

年末調整は1年間の所得税の精算

年末調整とは会社員の1年間の所得税を精算する手続のことです。給与明細を見ると、所得税が毎月天引き(源泉徴収)されています。「源泉徴収されている税額は見積もり額なので、1年間(その年の1月から12月)の給与の総額が確定する12月に正確な所得税額を計算し直して過不足を調整します」(望月さん)。

正確な所得税額より1年間に源泉徴収された所得税額のほうが多ければ、差額分が12月の給与に還付金として上乗せされます。逆の場合には差額分が12月の給与から差し引かれることになります。

ただし会社員でも給与年収が2,000万円を超える場合は年末調整の対象にならず、翌年の2月16日〜3月15日に確定申告をすることになります。

差し引ける控除が多いほど税負担は減る

例えば1年間の給与収入(額面)が700万円の場合、700万円がそのまま課税対象になるわけではありません。まず給与収入から会社員の「みなし経費」である「給与所得控除」を差し引き、さらに該当する所得控除を差し引いた後の金額が課税対象(課税所得)となります。

図表1 会社員の所得税額の計算方法

①給与所得控除 額は給与収入に応じて決まる。
②所得控除 基礎控除、配偶者控除・
配偶者特別控除、扶養控除、
生命保険料控除など。
③所得税率 課税所得により税率が決まる。
④税額控除 住宅ローン控除
(住宅借入金等特別控除)など

計算式からわかるとおり、の所得控除がいろいろ差し引けるほど課税所得は少なくなり、税負担が抑えられます。税額控除も差し引ければ税負担はさらに抑えられます。年末調整では配偶者控除・配偶者特別控除、扶養控除、生命保険料控除、2回目以降の住宅ローン控除などについて申告できるので、該当するならもれなく申告しましょう。

税制改正の概要

給与所得控除、基礎控除などが改正に

図表2 所得税の控除の改正点

①給与所得控除の
見直し
  • 給与所得控除額が一律10万円引き下げ
  • 給与所得控除額の上限が220万円から195万円に引き下げ
  • 上限が適用される給与年収が1,000万円超から850万円超へ引き下げ
②基礎控除の
見直し
  • 基礎控除額が10万円引き上げられ、38万円から48万円に
  • 基礎控除の適用に所得制限
    給与等の年収が2,595万円(所得換算で2,400万円)を超えると
    基礎控除額は逓減。年収2,695万円(所得換算で2,500万円)を
    超えると0円(基礎控除はなし)に。
③所得金額調整
控除の創設
(*)
  • 給与年収850万円超で23歳未満の扶養親族(大学生など)等がいる世帯が対象
  • 所得金額調整控除により、年収850万円超1,000万円以下の場合は税の負担は増えない。

給与所得と年金所得の両方がある人も一定要件を満たすと所得金額調整控除の対象になるが、確定申告により適用される。

の給与所得控除は前述のとおり会社員のみなし経費。給与収入に応じて決まり、給与収入が増えるほど多くなりますが上限が設定されています。給与所得控除額が一律10万円引き下げられたということは、控除額が10万円分少なくなるため税負担が増える要因になります。上限も220万円から195万円に引き下げられます。上限が適用される給与年収も1,000万円超から850万円超に引き下げられます。いずれも税負担が増える要因となる改正です。

一方、の基礎控除額は10万円引き上げられました。10万円分控除額が増えたのですから減税要因になります。ただし給与年収が2,595万円を超えると基礎控除額は逓減し、2,695万円を超えると基礎控除は受けられなくなります。基礎控除の見直しは高所得者にとっては税負担が増える要因です。

「改正により給与所得控除も基礎控除も複雑になりましたが、年収850万円以下の場合は給与所得控除額の引き下げと基礎控除額の引き上げが相殺され、税負担の増減はありません」(望月さん)。

※給与所得控除と基礎控除の改正の詳細は「知っておきたい 2020年制度改正カレンダー」参照。

一方、年収が850万円を超える場合には税負担が増加します。「ただし年収850万円超でも大学生の子供がいるなど一定の要件を満たす場合、に挙げた『所得金額調整控除』により、結果的に年収1,000万円までの範囲については税負担は増加しないことになります。所得金額調整控除の申告は年末調整で行うことになっているので該当者は忘れずに行いましょう」。

基礎控除額の引き上げにより配偶者控除等の所得要件が改正

図表3 人的控除の所得要件が引き上げに
(カッコ内は改正前)

配偶者控除 年間合計所得金額48万円以下(38万円以下)
配偶者特別控除 年間合計所得金額48万円超133万円以下(38万円超123万円以下)
扶養控除 年間合計所得金額48万円以下(38万円以下)

図表4 妻のパート収入が年103万円の場合

改正前(昨年まで)
パート
年収
(103万円)
給与所得
控除額
(65万円)
年間
所得
38
万円
配偶者
控除の
対象
になる
改正後(今年から)
パート
年収
(103万円)
給与所得
控除額
(55万円)
年間
所得
48
万円
配偶者
控除の
対象
になる

年末調整で受けられる控除

税制改正により申告が必要な控除が増えた

「税制改正を受け、今年の年末調整から基礎控除の適用を受けるためにも申告書の提出が必要になりました。該当する場合、所得金額調整控除の申告も必要です」(望月さん)。そのため申告書の書式等が変わっている部分があります。

「申告書作成の際、該当の控除をもれなく申告するために、各申告書の裏面に記載の注意事項や、勤務先が添付してくる記入例などの説明書をよく読むことが例年以上に重要になります」。

図表5 年末調整の申告書類

改正前
  1. 給与所得者の扶養控除等(異動)申告書(当年分)
  2. 給与所得者の配偶者控除等申告書
  3. 給与所得者の保険料控除申告書
  4. 給与所得者の住宅借入金等特別控除申告書(税務署から送付)
改正後
  1. 給与所得者の扶養控除等(異動)申告書(当年分)
  2. 給与所得者の基礎控除申告書 兼 給与所得者の配偶者控除等申告書 兼 所得金額調整控除申告書NEW
  3. 給与所得者の保険料控除申告書
  4. 給与所得者の住宅借入金等特別控除申告書(税務署から送付)

年末調整の各申告書に記載する控除

給与所得者の扶養控除等(異動)申告書
(当年分)
扶養控除(所得控除)
16歳以上の高校生や大学生のこども、老親などで所得が48万円以下の親族を扶養している

当年分の①の申告書は通常前年年末までに勤務先に提出しているはずです。なお、前年年末までに提出した申告書の記載内容に異動が生じたときには、異動の日後、最初の給与等の支給日の前日までに異動後の事実を記載した申告書を再度提出する必要があります。

配偶者以外に生計を共にする16歳以上の親族がいて、その親族の年間合計所得金額が48万円以下の場合に受けられます。「子どもが高校生や大学生だったり、老親を扶養している場合に該当します」(望月さん)。大学生だと1人につき63万円と高額な控除が受けられます。「ただし子どもがアルバイト収入などを得ている場合、給与収入が年103万円を超えると控除対象から外れるので注意しましょう」(望月さん)。

70歳以上の扶養親族は老人扶養親族となり、扶養控除額が一般の扶養親族より大きくなります。老親と同居、または別居でも生活費の仕送りをして生計を共にしている場合には対象になるので検討しましょう。

図表6 扶養控除

扶養親族の区分 控除額
一般の控除対象扶養親族
(16歳以上)
38万円
特定扶養親族
(19歳以上23歳未満)
63万円
老人扶養親族
(70歳以上)
同居老親等以外の者 48万円
同居老親等
58万円

納税者またはその配偶者の父母、祖父母などで、納税者またはその配偶者と常に同居している人のこと

給与所得者の基礎控除申告書 兼 給与所得者の配偶者控除等申告書 兼
所得金額調整控除申告書NEW
基礎控除(所得控除)
今年から全員申告が必要に

の申告書の左側に「給与所得者の基礎控除申告書」の記載欄があります。年間の合計所得金額が2,400万円以下であれば、基礎控除額は48万円です。「注意したいのは給与以外の所得も合算する必要があること。給与以外の所得で忘れやすいのが一時所得や譲渡所得などです」(望月さん)。一時所得に該当するのは生命保険等の満期保険金や解約返戻金。契約者と受取人が本人で、受け取った保険金等から保険料総額と50万円を差し引いた後の残りの1/2が一時所得に当たります。譲渡所得には不動産、株式(一般口座や源泉徴収なしの特定口座の場合)、貴金属などの売却益が該当するので、忘れずに記載しましょう。

図表7 基礎控除額

年間の合計所得金額 控除額
2,400万円以下 48万円
2,400万円超
2,450万円以下
32万円
2,450万円超
2,500万円以下
16万円
2,500万円超 0円(基礎控除なし)
配偶者控除(所得控除)
夫の給与年収が1,195万円以下(所得金額調整控除の適用がある場合は1,210万円以下)で妻が専業主婦、またはパートで年収103万円以内で働いているなら受けられる

配偶者の所得が一定額以下の場合に受けられる控除です。一般的には妻が専業主婦だったり、パートで103万円以下の年収で働いている場合に夫が受けられます。「給与所得者本人である夫の年収も控除の要件になり、年収1,195万円以下なら受けられます」(望月さん)。ただし夫の年収が1,095万円を超えると控除額は段階的に縮減します。「そのため毎年配偶者控除を受けていた夫が今年昇給して給与年収が1,095万円を超えると、配偶者控除額が減額されて源泉徴収されていた税額より税負担が増加となり、年末調整で不足分を差し引かれるというケースも考えられます」。年末調整でこの控除を受けるためには「給与所得者の基礎控除、配偶者(特別)控除及び所得金額調整控除の申告書」に所定の記載をして提出しなければなりません。

図表8 配偶者控除の要件と控除額

配偶者控除の要件
給与所得者本人の要件 年間の合計所得金額が1,000万円以下
(給与収入のみなら年収1,195万円以下※)
配偶者の
要件
年間の合計所得金額が48万円以下
(パートなど給与収入のみなら年収103万円以下)
控除額
夫の合計所得金額(給与年収) 控除額
900万円以下(1,095万円以下※) 38万円
950万円以下(1,145万円以下※) 26万円
1,000万円以下(1,195万円以下※) 13万円

注)所得金額調整控除の適用がある場合は※の金額に15万円を加える。

配偶者特別控除(所得控除)
妻がパートで年収103万円を超えても201万円までなら受けられる

妻のパート収入が年103万円を超えていても、201万円までの範囲なら配偶者特別控除が受けられます。「こちらも夫の年収要件は1,195万円以下です。夫の年収と妻の年収に応じて控除額が細かく設定されているのでよく確認する必要があります」(望月さん)。

なお、年末調整でこの控除を受けるためには「給与所得者の基礎控除、配偶者(特別)控除及び所得金額調整控除の申告書」に所定の記載をして提出しなければなりません。

図表9 配偶者特別控除の要件と内容

給与所得者
本人の要件
年間の合計所得金額が1,000万円以下
(給与収入のみなら年収1,195万円以下。ただし所得金額調整控除の適用がある場合は1,210万円以下。)
配偶者の
要件
年間の合計所得金額が48万円超133万円以下
(パートなど給与収入のみなら年収103万円超201万5,999円以下)

図表10 年収によって定められた控除額

夫の合計所得
(給与年収)
900万円以下
(1,095万円以下※)
950万円以下
(1,145万円以下※)
1,000万円以下
(1,195万円以下※)
配偶者の
合計所得
(給与年収)
95万円以下
(150万円以下)
38万円 26万円 13万円
100万円以下
(155万円以下)
36万円 24万円 12万円
105万円以下
(160万円以下)
31万円 21万円 11万円
110万円以下
(166万7,999円以下)
26万円 18万円 9万円
115万円以下
(175万1,999円以下)
21万円 14万円 7万円
120万円以下
(183万1,999円以下)
16万円 11万円 6万円
125万円以下
(190万3,999円以下)
11万円 8万円 4万円
130万円以下
(197万1,999円以下)
6万円 4万円 2万円
133万円以下
(201万5,999円以下)
3万円 2万円 1万円
133万円超
(201万5.999円超)
0円 0円 0円

注)所得金額調整控除の適用がある場合は※の金額に15万円を加える。

所得金額調整控除(所得控除)
年収850万円を超えても子育て世帯等は増税にならない

の申告書の一番下に記載欄があります。「今年の税制改正により年収850万円超は税負担の増加となりましたが、子育て世帯や介護世帯などに配慮し、一定の要件を満たすと所得金額調整控除が受けられます」(望月さん)。これにより年収1,000万円までの範囲については増税になりません。要件は下記のとおりです。控除額は所定の計算式で算出しますが、計算は勤務先(給与の支払者)がやってくれます。申告書には要件を満たすかの確認と、扶養親族等のマイナンバーや生年月日などを記入すればOKです。

所得金額調整控除の要件

次のいずれかであること

  • 給与所得者本人が特別障害者である場合
  • 23歳未満(誕生日が1998年1月2日以降)の扶養親族がいる場合(子育て世帯)
  • 特別障害者である同一生計配偶者、または扶養親族がいる場合(介護世帯)
給与所得者の保険料控除申告書
生命保険料控除(所得控除)
生命保険に加入し保険料を支払っていると最高12万円の所得控除が受けられる

「所定の生命保険や共済などに加入していると、1年間(1月〜12月)に支払った保険料(掛金)の額に応じて生命保険料控除が受けられます」(望月さん)。控除の取り扱いは新契約(2012年1月1日以降の契約)と、旧契約(2011年12月31日以前の契約)により異なるので注意しましょう。控除を受けるには加入先の生命保険会社等から送付された「生命保険料控除証明書」の添付が必要です。

図表11 生命保険料控除の概要

新契約(2012年1月1日以降の契約)
控除の種類 対象になる保険商品 控除額
① 一般生命
保険料控除
終身保険など
遺族保障等の保険
最高
4万円
② 介護医療
保険料控除
介護保険、
医療保険など
最高
4万円
③ 個人年金
保険料控除
個人年金保険 最高
4万円
旧契約(2011年12月31日以前の契約)
控除の種類 対象になる保険商品 控除額
A(旧)一般生命
保険料控除
終身保険など遺族
保障等の保険、
介護保険、医療保険など
最高
5万円
B(旧)個人年金
保険料控除
個人年金保険 最高
5万円
新契約と旧契約の双方に加入の場合の
控除額は
+ A = 最高4万円まで(*1)
+ B = 最高4万円まで(*2)
+ + + A + B = 最高12万円まで控除を受けられる
  1. Aに加入し、年間支払保険料等が6万円超の場合、①では控除を受けず、Aだけ受ければ控除額は最高5万円になる。
  2. Bに加入し、年間支払保険料等が6万円超の場合、③では控除を受けず、Aだけ受ければ控除額は最高5万円になる。
要件 所定の生命保険や共済に加入し、保険料(掛金)を支払っている
添付書類 生命保険料控除証明書(加入先の生命保険会社等から送付)
地震保険料控除(所得控除)
地震保険や一部の長期損害保険に加入していると受けられる

「地震保険に加入していると、1年間(1月〜12月)に支払った保険料に応じて最高5万円の地震保険料控除が受けられます」(望月さん)。

地震保険ではありませんが、旧長期損害保険といって2006年12月31日以前に契約した保険期間10年以上の長期損害保険も地震保険料控除の対象になります。「これは2007年に損害保険料控除が廃止されたことの経過措置です。控除額は1年(1月〜12月)に支払った保険料に応じて最高で1万5,000円です」。

地震保険と旧長期損害保険が別の契約の場合、控除額は合計で最高5万円までとなります。1つの契約で地震保険と旧長期損害保険の双方に加入している場合、どちらか一方の控除を選択することになります。控除を受けるには加入先の損害保険会社等から送付された「地震保険料控除証明書」の添付が必要です。

図表12 地震保険料控除の概要

要件 地震保険に加入して保険料を支払っている
旧長期損害保険に加入して保険料を支払っている
添付書類 地震保険料控除証明書
(加入先の損害保険会社等から送付)
控除額
の合計で最高5万円まで
区分 控除額
①地震保険料 最高5万円
②旧長期損害
保険料
最高1万5,000円
1つの契約での双方に加入の場合、いずれかを選択
小規模企業共済等掛金控除(所得控除)
会社員にとってはiDeCoの掛金控除のこと。全額が所得控除の対象に

小規模企業共済等掛金控除には3種類ありますが、そのうち会社員に関係があるのはiDeCo(個人型確定拠出年金)の掛金控除。全額が所得控除の対象になります。毎月2万3,000円の掛金を拠出している場合、年間の拠出合計額は27万6,000円。所得税率が20%の人だと、所得税について5万5,200円の軽減効果があります。

「掛金の所得控除が年末調整でできるのは、9月までに掛金を納付した人です。添付書類として、iDeCoを統括する国民年金基金連合会から送付された『小規模企業共済等掛金払込証明書』が必要です」(望月さん)。10月以降に掛金の拠出を始めた人が所得控除を受けるには翌年の確定申告で対処します。

なお、掛金が給与天引きされている場合には勤務先が所得控除の手続をするので、年末調整や確定申告の必要はありません。

図表13 小規模企業共済等掛金控除
(iDeCoの掛金控除)の概要

要件 9月までにiDeCo(イデコ、個人型確定拠出年金)の掛金を
拠出している人
添付書類 「小規模企業共済等掛金払込証明書」
(iDeCoを統括する国民年金基金連合会から送付)
控除額 2020年中に拠出した掛金の全額
給与所得者の住宅借入金等特別控除申告書
住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)(税額控除)
2年目から年末調整で控除できる。控除額と控除期間は居住し始めた年による

住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)は所定の住宅ローンを組んで住まいを新築、購入、リフォームした場合に受けられます。控除額と控除期間は住宅に居住し始めた年により異なります。「税額控除といって所得税額から直接差し引ける控除です。税負担の軽減効果が大きいので必ず受けましょう」(望月さん)。

住宅ローン控除額が所得税から控除しきれなかった場合、翌年の住民税から13万6,500万円までの範囲で控除されます。

住宅ローン控除を受けるには1年目には確定申告が必要ですが、2年目からは年末調整で控除ができます。「1年目に確定申告をした後、税務署から『住宅借入金等特別控除申告書 兼 住宅借入金等特別控除証明書』という書類が送付されます。2年目以降はそれを使用して年末調整で控除します」。

ただし年末調整が義務づけられているわけではないので、2年目以降も確定申告により住宅ローン控除を受けることもできます。「手間はかかりますが、勤務先に自分の借入れのことを知られたくないなどという人は、確定申告するのも選択肢です」。

図表14 住宅ローン控除の概要

要件 返済期間10年以上など所定の要件を満たした住宅ローンを組んで
マイホームを新築、購入、リフォームした人
添付書類 「住宅借入金等特別控除申告書兼住宅借入金等特別控除証明書」
(税務署から送付)
「住宅取得資金に係る借入金の年末残高証明書」
(住宅ローンの借入先金融機関から送付)
控除額
居住し
始めた年
控除期間 各年の控除額の
計算(控除限度額)
認定住宅の場合は (*1) (*2) (*3) を参照
2014年
1月1日

2019年
9月30日
まで
10年 1~10年目

年末残高等×1%
(40万円)(*1)

(注) 建物に消費税がかからない中古住宅
などの場合は20万円が控除限度額 (*2)

2019年
10月1日

2020年
12月31日
まで(*
13年

消費税率10%の
住宅の場合(特例)

1~10年目

年末残高等×1%
(40万円)(*1)

11~13年目

次のいずれか少ない額が控除限度額(*3)

  1. ①年末残高等〔上限4,000万円〕×1%
  2. ②(建物取得等対価の額-消費税額)
    〔上限4,000万円〕×2%÷3

(注)「建物取得等対価の額」は補助金および住宅取得等資金の贈与の額を控除しないこととした金額

10年

上記以外の場合(消費税8%の住宅など)

1~10年目

年末残高等×1%
(40万円)(*1)

(注) 建物に消費税がかからない中古住宅などの場合は20万円が控除限度額(*2)

2021年
1月1日

2021年
12月31日
まで
10年 1~10年目

年末残高等×1%
(40万円)(*1)

(注) 建物に消費税がかからない中古住宅などの場合は20万円が控除限度額(*2)

新築・未使用の認定住宅(認定長期優良住宅、認定低炭素住宅)の場合

  • (*1)は50万円、

  • (*2)は30万円、
  • (*3)は①②の計算式の「上限4,000万円」が「上限5,000万円」となる。

新型コロナウイルス感染症等の影響により、控除の対象となる住宅の取得等をした後、その住宅への入居が入居の期限(2020年12月31日)までにできなかった場合でも、次の要件を満たすときには、控除期間13年の特例の適用を受けられる。

  1. 1. 一定の期日(注)までに、住宅の取得等に係る契約を締結していること。

    (注)新築については2020年9月末、中古住宅の取得、増改築等については2020年11月末。

  2. 2. 2021年12月31日までに住宅に入居していること。

年末調整では受けられない控除

図表15 確定申告で受ける控除

控除の種類 概要
医療費控除 年間の医療費の自己負担が10万円超の場合
セルフメディケーション税制
(医療費控除の特例)
セルフメディケーション税制の対象になる医薬品の購入費が年間1万2,000円を超えた場合。医療費控除との選択制
寄付金控除 特定の団体などに寄付した場合。「ふるさと納税」も
対象(*)
雑損控除 災害や盗難などによる被害に遭った場合
初回の住宅ローン控除 所定の住宅ローンを組んでマイホームを
新築、購入、リフォームした場合
小規模企業共済等掛金控除の一部 iDeCoの掛金拠出が10月以降に始まり、
年末調整出来なかった場合

ふるさと納税したのが年間5カ所以下で「ワンストップ特例」を利用した場合には確定申告不要。ただし5カ所以下でも、他の控除を受けるために確定申告をする場合には、ふるさと納税も確定申告が必要になる。

年末調整の電子化が進む

「年末調整の電子化とは、毎年手書きで作成していた年末調整書類をパソコンやスマートフォン(スマホ)で作成し、プリントアウトせずにデータのまま勤務先に提出することです」(望月さん)。年末調整の電子化を導入した企業の従業員が利用できます。

年末調整の電子化はこれまでも一定の進捗を見せていましたが、今年の10月から、年末調整で使用する書類のうち保険料控除証明書や住宅ローンの残高証明書(住宅取得資金に係る借入金の年末残高証明書)等のデータを保険会社や銀行等から従業員に交付できるようになりました。従業員はそのデータを保険会社や銀行等のウェブサイトの「お客さまページ」などからダウンロード、もしくはマイナンバーのマイナポータル連携を利用して一括取得します。それを国税庁が無償提供する「年調ソフト」(民間のソフトもある)に取り込むと、控除額が自動計算され、画面上で年末調整の書類を作成できます。家族の情報を入力すれば扶養控除等が受けられるかも判定でき、手間のかかる配偶者控除や配偶者特別控除の控除額についても自動計算できます。

「年末調整の電子化による税金上のメリットは特にありませんが、従業員は計算や手書きの手間が不要になり、申告ミスも防げます。保険会社や銀行等から送付された控除証明書を紛失して困ることもなくなります。勤務先も控除証明書等の確認や控除額の検算の手間が不要となり、年末調整の作業の省力化が図れます」。

※掲載内容は2020年10月1日時点の情報に基づく
取材協力・監修/望月 茂(税理士)
取材・文/萬 真知子
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