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かんたんにわかる 月刊 経済・為替ダイジェスト7月号

ソニーフィナンシャルホールディングスの金融市場調査部が最新のマクロ経済・為替相場の見通しについて解説します。

※執筆日(7/6)時点の情報となります。

為替相場見通し

執筆者
アナリスト 森本 淳太郎

森本 淳太郎
ドル高・円安要因
  • ★★★ 米金融政策の緩和縮小観測の高まり
  • ★★☆ ワクチン普及による世界景気回復期待
  • ★☆☆ バイデン政権の財政支出拡大による長期金利上昇
  • ★☆☆ 日銀の金融緩和継続期待
ドル安・円高要因
  • ★★☆ 米雇用回復の遅れに伴う金融緩和長期化
  • ★☆☆ 新型コロナ変異株の拡大による制限強化懸念
  • ★☆☆ 米長期金利急騰に伴う市場心理の悪化
  • ★☆☆ 米中対立、中東・北朝鮮を巡る地政学リスクの再燃

(各要因の蓋然性を3段階で表示)

過去2ヶ月の為替推移

過去2ヶ月の為替推移

出所:Bloomberg、SFH

米中銀のタカ派化がサプライズに

5月は膠着状態が続いていたドル円相場でしたが、6月に入ると緩やかながらドル買い・円売りが進んでいます。背景にあるのは、米国が金融緩和の縮小に向けて動き始めたことです。6月の米連邦公開市場委員会(FOMC)では、メンバーの政策金利の見通しを示す「ドットチャート」で2023年末までに2回の利上げが示唆されました。量的緩和の縮小(テーパリング)に関する議論の開始は市場でも予想されていましたが、利上げに関する見通しの前倒しはサプライズとなり、ドル円相場も110円台に乗せると、月末にかけては111円台までのドル高・円安となりました。

米国では、成人の約7割が新型コロナワクチンを最低1回接種しており、新規感染者数も減少が続いています。こうした中、国内では既にマスクの着用義務を含む大半の規制が解除され、コロナ禍前の日常を取り戻しつつあります。景況感も回復が続いており、力強い米経済回復への期待は、上述の金融緩和縮小観測と共にドル買い要因となっています。ただ、こうした回復期待に水を差す可能性があるのが、新型コロナの変異株「デルタ株(インド株)」の脅威です。デルタ株は感染力が強く、世界に先駆けてワクチン普及が進んでいた英国でも、この変異株の拡大により、足下では感染者が増加しています。米国でもデルタ株の拡大により感染者数が増加に転じ、経済活動の制限強化に繋がるようなことがあれば、緩和縮小への期待は後退し、ドル売り圧力が強まる可能性があります。とは言え、ワクチンはデルタ株の重症化を防ぐ効果も確認されており、ワクチンが普及している国では昨年のように医療崩壊に至る公算は小さいでしょう。依然として新型コロナに関する不確定要素はありますが、ドル円は今後も緩やかな上昇基調を続けることが予想されます。

マクロ経済見通し

執筆者
シニアエコノミスト 渡辺 浩志

渡辺 浩志

米国の「弱い雇用」と「強いインフレ」の持続性

図:現在のインフレは特殊要因による一時的なものである公算

図

注:FRBの物価予想は、6月FOMC(連邦公開市場委員会)の予想中央値

出所:サンフランシスコ連銀、BEA、SFH

今月のキーワード

米国の3種の金融緩和

ソニーフィナンシャルホールディングス
アナリストの紹介

尾河 眞樹(おがわ まき)

尾河 眞樹(おがわ まき)

ソニーフィナンシャルホールディングス
執行役員 兼 金融市場調査部長
チーフアナリスト

ファースト・シカゴ銀行、JPモルガン・チェース銀行などの為替ディーラーを経て、ソニー財務部にて為替リスクヘッジと市場調査に従事。その後シティバンク銀行(現SMBC信託銀行)で個人金融部門の投資調査企画部長として、金融市場の調査・分析を担当。2016年8月より現職。テレビ東京「Newsモーニングサテライト」、日経CNBCなどにレギュラー出演し、金融市場の解説を行っている。主な著書に『〈新版〉本当にわかる為替相場(2016年日本実業出版社)』、『ビジネスパーソンなら知っておきたい仮想通貨の本当のところ(2018年朝日新聞出版社』などがある。ソニー銀行取締役、ウェルスナビ株式会社取締役。

菅野 雅明(かんの まさあき)

菅野 雅明(かんの まさあき)

ソニーフィナンシャルホールディングス
金融市場調査部
シニアフェロー チーフエコノミスト

1974年日本銀行に入行後、秘書室兼政策委員会調査役、ロンドン事務所次長、調査統計局経済統計課長・同参事などを歴任。日本経済研究センター主任研究員を経て、1999年JPモルガン証券入社(チーフエコノミスト・経済調査部長・マネジングディレクター)。2017年4月より現職。総務省「統計審議会」委員ほか財務省・内閣府・厚生労働省などで専門委員などを歴任。日本経済新聞「十字路」「経済教室」など執筆多数。テレビ東京「Newsモーニングサテライト」、日経CNBC[昼エクスプレス」コメンテーター。1974年東京大学経済学部卒、1979年シカゴ大学大学院経済学修士号取得。

渡辺 浩志(わたなべ ひろし)

渡辺 浩志(わたなべ ひろし)

ソニーフィナンシャルホールディングス
金融市場調査部
シニアエコノミスト

1999年に大和総研に入社し、経済調査部にてエコノミストとしてのキャリアをスタート。2006年~2008年は内閣府政策統括官室(経済財政分析・総括担当)へ出向し、『経済財政白書』等の執筆を行う。2011年からはSMBC日興証券金融経済調査部および株式調査部にて機関投資家向けの経済分析・情報発信に従事。2017年1月より現職。内外のマクロ経済についての調査・分析業務を担当。ロジカルかつデータの裏付けを重視した分析を行っている。

石川 久美子(いしかわ くみこ)

石川 久美子(いしかわ くみこ)

ソニーフィナンシャルホールディングス
金融市場調査部
シニアアナリスト

商品先物専門紙での貴金属および外国為替担当の編集記者を経て、2009年4月に外為どっとコムに入社し、外為どっとコム総合研究所の立ち上げに参画。同年6月から研究員として、外国為替相場について調査・分析、レポートや書籍、ブログ、Twitterなどの執筆、セミナー講師、テレビやラジオなどのコメンテーターとして活動。2016年11月より現職。外国為替市場の調査・分析業務を担当。

宮嶋 貴之(みやじま たかゆき)

宮嶋 貴之(みやじま たかゆき)

ソニーフィナンシャルホールディングス
金融市場調査部
シニアエコノミスト

2009年にみずほ総合研究所に入社。エコノミストとしてアジア・日本経済、不動産・五輪・観光等を担当。2011年~2013年は内閣府(経済財政分析担当)へ出向。官庁エコノミストとして『経済財政白書』、『月例経済報告』等を担当。2021年4月より現職。主な著書(全て共著)は『TPP-日台加盟の影響と展望』(国立台湾大学出版中心)、『キーワードで読み解く地方創生』(岩波書店)、『図解ASEANを読み解く』(東洋経済新報社)、『激震 原油安経済』(日経BP)。

森本 淳太郎(もりもと じゅんたろう)

森本 淳太郎(もりもと じゅんたろう)

ソニーフィナンシャルホールディングス
金融市場調査部
アナリスト

みずほフィナンシャルグループにて企画業務、法人営業などを経験した後、2019年8月、ソニーフィナンシャルホールディングスへ入社。外国為替市場の調査・分析業務、中でも主にユーロなどの欧州通貨に関するレポートを担当している。また、新型コロナウイルスの感染状況と金融市場の関連に特化したレポートを執筆するなど、幅広い観点から金融市場の分析を行っている。

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