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必見! 2021年版「住宅ローン控除」の改正点とそのメリット

そろそろマイホームを購入したいという人であれば、詳しくは知らなくとも、「住宅ローン控除」という言葉は耳にしたことがあるでしょう。2021年度の制度改正は、とくに都市部での購入を希望する世帯には、注目すべき内容となっているとか……。そこで、住宅ローン控除の基本知識に加え、今回の制度改正の中身や利用のポイントについて、ファイナンシャル・プランナーの大島浩之さんに教えていただきました。

2021年9月

住宅購入のハードルを確実に下げる優遇制度

国の制度である住宅ローン控除の、その正式名称は「住宅借入金等特別控除」。この「控除」という言葉が少々難しい印象を与えますが、所得税の「税額控除」の一つで、所得税から一定の金額を差し引くことを意味します。例えば、その年の住宅ローンの控除額が10万円であれば、同じ年に納めた所得税のうち、10万円が戻される(還付される)ということです。

そんな住宅ローン控除は、経済情勢に合わせて、これまで何度か改正を繰り返してきましたが、まずは優遇される基本的な部分を見ていきましょう。

制度の大きなメリットは、住宅ローンを組んでマイホームを取得(あるいは自宅を増築、リフォーム)した場合、毎年末のローン残高、もしくは住宅取得対価のうちいずれか少ない方の金額の1%が所得税から控除されるというもの。しかも、ローン開始から控除期間は10年間。控除額の上限は一般住宅で年間40万円ですから、最大控除額は10年間で400万円にもなります。

さらに2019年度の制度改正で、消費税10%で取得した場合は、控除期間が3年間延長され、13年間となりました。11年目以降は控除額の計算が異なります(図1参照)が、3年間で最大80万円の控除が可能となっています。

また、所得税より控除額が大きい場合は、控除しきれなかった分を住民税から差し引くことができる(上限額は年13万6,500万円)点も、この制度の見逃せないメリットです。

「住宅ローン控除は、現在、具体的に住宅購入を考えている人のハードルを低くしていることは確かです。持ち家となれば、購入時には諸費用がかかり、ローンの支払い以外にランニングコストとして固定資産税も発生します。この制度によって、その負担分が軽減されるのではないでしょうか」(大島さん)。

※1:2014年4月以降でも経過措置により5%の消費税率が適用される場合や消費税が非課税とされている中古住宅の個人間売買などは2014年3月までの措置を適用。
※2:消費税率10%が適用される住宅の取得をした場合。
※3:2021年1月1日から2022年12月31日の場合、一定の期間内※4に契約していることが要件。(一定の期間内※4の契約ではなく、居住開始が2022年1月1日以降の場合は、住宅ローン控除は適用されません)
※4:注文住宅の新築の場合:2020年10月1日から2021年9月30日まで。分譲住宅の取得等の場合:2020年12月1日から2021年11月30日まで。
※5:新築・未使用の長期優良住宅、低炭素住宅の場合はそれぞれ、5,000万円(※5-1)、100万円(※5-2)。
※6:11年目~13年目は、以下の①②のうちいずれか少ない方の金額が3年間に渡り所得税の額等から控除される。
①住宅ローン残高又は住宅の取得対価(上限4,000万円※5-1)のうちいずれか少ない方の金額の1%
②建物の取得価格(上限4,000万円※5-1)の2%÷3
ただし、 ①の住宅取得価格が補助金や贈与を受けた場合、その金額を控除した額となるのに対して、②の住宅取得価格は控除前となる。

それでは、実際にどれくらいの金額が控除されるのでしょうか。次のような家族の場合で、控除額のシミュレーションをしてみましょう。

※7:長期優良住宅や低炭素住宅以外の住宅モデルとしています。
※8:消費税率10%が適用される住宅を取得して、2019年10月1日から2020年12月31日までの間に入居した場合、または一定の期間内(下記参照)に契約し、2021年1月1日から2022年12月31日までの間に入居した場合のみ
◯注文住宅の新築の場合:2020年10月1日から2021年9月30日まで
◯分譲住宅の取得等の場合:2020年12月1日から2021年11月30日まで
出典:国土交通省「住宅ローン控除制度の概要|すまい給付金」

制度の対象となる床面積が40m²以上に引き下げられ、購入者層がグッと広がる

住宅ローン控除は2021年度にも改正が行われました。

ひとつは制度の延長です。それまで住宅ローン控除を利用するには、2020年12月31日までの入居開始に限られていました。それが2022年12月31日までに延長されました(合わせて要件となる契約期間も延長)。

そして、もうひとつは床面積要件の緩和。合計所得金額が1,000万円以下の人だけが対象ではありますが、適用を受けられる住宅の床面積の要件が、50m²以上から40m²以上に引き下げられました。

これを聞いて、「そんなに大きな変更?」と思う人もいるかもしれませんが、人によっては実に大きな改正と言えるのです。

「単身者やご夫婦2人だけといった世帯がマンションを購入する場合、とくに都心の物件であれば高価格となりますから、40m²台の物件が候補になると思いますが、これまでは住宅ローン控除の対象になりませんでした。しかし、50m²超の物件は高額となるため、結局、購入そのものをあきらめてしまう。そういう人たちがこの改正によって、購入に踏み切れるわけです」(大島さん)。

また、夫婦+お子さん1人の3人世帯でも、今回の改正で恩恵を受けるケースが少なくないと、大島さんは言います。

「間取りで言えば、15畳のリビングダイニングと6畳の居室といった1LDK。もしくは10畳のダイニングに居室が2つという間取りもあるでしょう。都心の利便性を求める人は、そういった間取りでも工夫して上手に生活することで、購入の対象がグッと広がってきます」(大島さん)。

事前に世帯の納税額や、制度利用の要件をチェックしておく

次に、住宅ローン控除を利用するうえでのポイントと注意点を見ていきましょう。

まず、購入前に住宅ローン控除を受けるための要件に適合しているか、十分にチェックしておくことが大切。とくに中古住宅に関しては注意が必要です。

●住宅ローン控除を受けるための主な要件

(1)住宅を取得して6カ月以内に自らが入居すること
住宅の引き渡し、または工事完了から6カ月以内に、住宅ローン控除を受ける本人が住み、適用を受ける各年の12月31日まで引き続き住んでいること。また、賃貸住宅や別荘、セカンドハウスなどは対象となりません。

(2)合計所得金額が3,000万円以下
夫婦でペアローンを組む場合は、夫婦合計ではなく、各人が3,000万円以下であることが要件となります。

(3)住宅ローンの返済期間が10年以上

(4)床面積(登記簿面積)が50m²以上、合計所得金額1,000万円以下であれば40m²以上
店舗などと併用の住宅の場合、床面積の1/2以上が居住用でなくてはいけません。

(5)中古住宅の場合、以下のいずれかに該当すること
  • 20年以内(鉄筋コンクリート造などは25年)に建築された住宅
  • 耐震基準適合証明書などにより耐震基準の適合が確認できること
ほかに、生活をともにする親族等からの取得でないこと、など

「中古物件を購入して、好みにリフォームを行うというスタイルが増えていますが、物件の築年数が一定年数を超え、耐震基準も満たしていない場合、対象とはなりません。また、個人からの購入であっても一定の親族等からでなければ制度を利用できますが、上限額は年20万円(一般住宅の場合)となります」(大島さん)。

また、住宅ローン控除があるからと、安易に借入額を増やすことは避けたいところ。控除期間が10年間から13年間に延長されたことで、その恩恵も大きくなっただけに、より注意が必要です。あくまで、収入から無理なく返済できる額を基準に、借入額を決めましょう。

また、夫婦でペアローンを組む場合は、どういう割合で組むかで、控除額も変わってきます。

「これは住宅ローン控除を利用するすべての人に言えるのですが、事前に控除額を知るためにも、どれだけ税金を納めているかを把握しておくことは、とても重要です。ご夫婦でペアローンを組む場合は、単純に半々とするのでなく、それぞれの納税額に合わせて借入額を調整することで、控除率1%をフル活用できると思います」(大島さん)。

住宅購入を考えている人にはとてもいい時代

これまでの説明で、住宅ローン控除について、ひとつ気になることがあります。住宅ローン控除の要件として、2022年中に入居をする必要があるということは、3年後、4年後に購入を考えている人は、利用できないということなのでしょうか。

確かに、当初から期間を設定した制度ですので、将来も制度の存続が約束されているわけではありません。それでも、大島さんは「少なくとも2022年で終了するとは考えにくい」と言います。

「そもそもの制度の目的が、住宅購入の資金的負担を軽減し、経済を回すことですから、コロナ禍で経済全体がまだ低迷している以上、さらに継続される可能性は高いと考えます」(大島さん)。

ただし、「制度の内容に大きな変更はあるかもしれない」とのこと。

「ずっと住宅ローンは超低金利が続いています。変動金利だと0.4〜0.5%。対して、住宅ローン控除の控除率が1%ですから、これだけを単純に比較すれば、支払い利息はなくなり、さらに借り入れの元本までもが減ったのと、結果的には同じことになります。これは是正すべき、という動きは今後あってもおかしくはありません」(大島さん)。

想定されるのが、控除率を現在の一律1%ではなく、利用する住宅ローンの金利と1%、どちらか低い方にするという変更です。

「もしそうなれば、住宅ローンの選び方が変わってくる可能性があります。今は、低金利の変動金利を選択する人が大半を占めていますが、逆に控除率の上限が1%なら、それに近い住宅ローン、例えば固定10年で借り入れ、安心感(金利上昇リスクをヘッジするという意味で)を得たり、金利が上乗せになってでも保障内容を充実させたりといった傾向も出てくるかもしれません。

ともあれ、今は、住宅ローン控除と住宅ローンの低金利が重なっています。資金的に余裕があることが大前提ですが、住宅購入を考えている人にとっては、とてもいい時代ではないでしょうか」(大島さん)。

住宅ローンの選び方について悩んだ際は、専門家に相談するのも一つの手。ソニー生命では、ライフプランニングについて豊富な知識を持ったプロフェッショナルが多数在籍しています。詳しくは担当者までご相談ください。

監修者プロフィール

大島 浩之 | Hiroyuki Oshima

上智大学文学部新聞学科卒業後、大手ハウスメーカーや不動産業者などを経て、CFP®として、FP試験等の講師業務やライフプランニングの相談業務を経験する。専門分野に住宅ローン、住宅ローン控除、住宅に関する税金、住宅取得等資金の贈与など。

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