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かんたんにわかる 月刊 経済・為替ダイジェスト9月号

ソニーフィナンシャルホールディングスの金融市場調査部が最新のマクロ経済・為替相場の見通しについて解説します。

※執筆日(8/31)時点の情報となります。

為替相場見通し

執筆者
アナリスト 森本 淳太郎

森本 淳太郎
ドル高・円安要因
  • ★★★ 米金融政策の緩和縮小観測の高まり
  • ★★☆ ワクチン普及による世界景気回復期待
  • ★☆☆ バイデン政権の財政支出拡大による長期金利上昇
  • ★☆☆ 日銀の金融緩和継続期待
ドル安・円高要因
  • ★★☆ 米雇用回復の遅れに伴う金融緩和長期化
  • ★★☆ 米中対立、中東・北朝鮮を巡る地政学リスクの再燃
  • ★☆☆ 新型コロナ変異株の拡大による制限強化懸念
  • ★☆☆ 米長期金利急騰に伴う市場心理の悪化

(各要因の蓋然性を3段階で表示)

過去2ヶ月の為替推移

過去2ヶ月の為替推移

出所:Bloomberg、SFH

FRBのハト派姿勢が安心感に

7月から8月にかけてのドル円相場は、米金融緩和縮小への思惑を巡り一進一退となりました。足下で特に重要視されているのは、雇用統計の結果です。米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長は、量的緩和の縮小について雇用の改善度合いを重視する姿勢を示しており、その結果が金融緩和縮小時期の予想を左右しています。このほか、米消費者の景況感の悪化が相場に大きな影響を与える場面も見られました。

パウエル議長は8月27日に開催されたジャクソンホール・シンポジウムの講演で、7月連邦公開市場委員会(FOMC)時点では年内の量的緩和の縮小開始を支持していたことを明らかにしました。しかし、8月に入り、米国内では新型コロナのデルタ株が再拡大していることから、引き続き予断は許さず、FRBは緩和的な金融政策により米経済を下支えする姿勢を明確にしています。また、パウエル議長は同講演の中で、「量的緩和の縮小」と「利上げ」は切り離して考えるべきだとの見解も示しました。緩和縮小により金融政策を「正常化」したとしても、利上げによる「引き締め」には距離があることを明らかにしています。こうしたFRBのハト派的(緩和的)な姿勢は、緩和縮小による急速なドル買いを抑制する一方、市場に安心感をもたらすことで、リスクオンの円売り要因ともなります。このため、ドル円は今後、緩やかなペースでドル高・円高方向に推移していく可能性が高いでしょう。もっとも、アフガニスタン情勢という新たなリスク要因が顕在化していることには注意が必要です。米軍は既に撤退を終えていますが、中東におけるテロの活発化や、それに対する報復などの応酬が激化すれば、市場心理の悪化は免れません。リスクオフの円買いが強まれば、ドル円は一時的に大きく下落する可能性もあります。

マクロ経済見通し

執筆者
シニアエコノミスト 渡辺 浩志

渡辺 浩志

米国の住宅市場はバブル?

図1:住宅需給のひっ迫と住宅価格の高騰

図1:住宅需給のひっ迫と住宅価格の高騰

注:住宅需給=住宅在庫戸数/販売戸数

出所:米住宅金融庁、全米不動産業者協会、SFH

図2:ウッドショックは一巡、資材コスト高は沈静化へ

図2:ウッドショックは一巡、資材コスト高は沈静化へ

出所:米労働省、シカゴ・マーカンタイル取引所、SFH

今月のキーワード

住宅投資の利ざや(超過収益率)

ソニーフィナンシャルホールディングス
アナリストの紹介

尾河 眞樹(おがわ まき)

尾河 眞樹(おがわ まき)

ソニーフィナンシャルホールディングス
執行役員 兼 金融市場調査部長
チーフアナリスト

ファースト・シカゴ銀行、JPモルガン・チェース銀行などの為替ディーラーを経て、ソニー財務部にて為替リスクヘッジと市場調査に従事。その後シティバンク銀行(現SMBC信託銀行)で個人金融部門の投資調査企画部長として、金融市場の調査・分析を担当。2016年8月より現職。テレビ東京「Newsモーニングサテライト」、日経CNBCなどにレギュラー出演し、金融市場の解説を行っている。主な著書に『〈新版〉本当にわかる為替相場(2016年日本実業出版社)』、『ビジネスパーソンなら知っておきたい仮想通貨の本当のところ(2018年朝日新聞出版社』などがある。ソニー銀行取締役、ウェルスナビ株式会社取締役。

菅野 雅明(かんの まさあき)

菅野 雅明(かんの まさあき)

ソニーフィナンシャルホールディングス
金融市場調査部
シニアフェロー チーフエコノミスト

1974年日本銀行に入行後、秘書室兼政策委員会調査役、ロンドン事務所次長、調査統計局経済統計課長・同参事などを歴任。日本経済研究センター主任研究員を経て、1999年JPモルガン証券入社(チーフエコノミスト・経済調査部長・マネジングディレクター)。2017年4月より現職。総務省「統計審議会」委員ほか財務省・内閣府・厚生労働省などで専門委員などを歴任。日本経済新聞「十字路」「経済教室」など執筆多数。テレビ東京「Newsモーニングサテライト」、日経CNBC[昼エクスプレス」コメンテーター。1974年東京大学経済学部卒、1979年シカゴ大学大学院経済学修士号取得。

渡辺 浩志(わたなべ ひろし)

渡辺 浩志(わたなべ ひろし)

ソニーフィナンシャルホールディングス
金融市場調査部
シニアエコノミスト

1999年に大和総研に入社し、経済調査部にてエコノミストとしてのキャリアをスタート。2006年~2008年は内閣府政策統括官室(経済財政分析・総括担当)へ出向し、『経済財政白書』等の執筆を行う。2011年からはSMBC日興証券金融経済調査部および株式調査部にて機関投資家向けの経済分析・情報発信に従事。2017年1月より現職。内外のマクロ経済についての調査・分析業務を担当。ロジカルかつデータの裏付けを重視した分析を行っている。

石川 久美子(いしかわ くみこ)

石川 久美子(いしかわ くみこ)

ソニーフィナンシャルホールディングス
金融市場調査部
シニアアナリスト

商品先物専門紙での貴金属および外国為替担当の編集記者を経て、2009年4月に外為どっとコムに入社し、外為どっとコム総合研究所の立ち上げに参画。同年6月から研究員として、外国為替相場について調査・分析、レポートや書籍、ブログ、Twitterなどの執筆、セミナー講師、テレビやラジオなどのコメンテーターとして活動。2016年11月より現職。外国為替市場の調査・分析業務を担当。

宮嶋 貴之(みやじま たかゆき)

宮嶋 貴之(みやじま たかゆき)

ソニーフィナンシャルホールディングス
金融市場調査部
シニアエコノミスト

2009年にみずほ総合研究所に入社。エコノミストとしてアジア・日本経済、不動産・五輪・観光等を担当。2011年~2013年は内閣府(経済財政分析担当)へ出向。官庁エコノミストとして『経済財政白書』、『月例経済報告』等を担当。2021年4月より現職。主な著書(全て共著)は『TPP-日台加盟の影響と展望』(国立台湾大学出版中心)、『キーワードで読み解く地方創生』(岩波書店)、『図解ASEANを読み解く』(東洋経済新報社)、『激震 原油安経済』(日経BP)。

森本 淳太郎(もりもと じゅんたろう)

森本 淳太郎(もりもと じゅんたろう)

ソニーフィナンシャルホールディングス
金融市場調査部
アナリスト

みずほフィナンシャルグループにて企画業務、法人営業などを経験した後、2019年8月、ソニーフィナンシャルホールディングスへ入社。外国為替市場の調査・分析業務、中でも主にユーロなどの欧州通貨に関するレポートを担当している。また、新型コロナウイルスの感染状況と金融市場の関連に特化したレポートを執筆するなど、幅広い観点から金融市場の分析を行っている。

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