特集 特集

かんたんにわかる 月刊 経済・為替ダイジェスト10月号

ソニーフィナンシャルホールディングスの金融市場調査部が最新のマクロ経済・為替相場の見通しについて解説します。

※執筆日(10/1)時点の情報となります。

為替相場見通し

執筆者
シニアアナリスト 石川 久美子

石川 久美子
ドル高・円安要因
  • ★★★ 米金融政策の緩和縮小・早期利上げ期待の高まり
  • ★★☆ ワクチン普及による世界景気回復期待
  • ★☆☆ バイデン政権の財政支出拡大による長期金利上昇
  • ★☆☆ 日銀の金融緩和継続期待
ドル安・円高要因
  • ★★☆ 米早期利上げ観測の後退
  • ★★☆ 中国の景気減速リスクに対する懸念
  • ★☆☆ 新型コロナ変異株の拡大による活動制限強化懸念
  • ★☆☆ 米長期金利急騰に伴う市場心理の悪化

(各要因の蓋然性を3段階で表示)

過去2ヶ月の為替推移

過去2ヶ月の為替推移

出所:Bloomberg、SFGI

米国の早期利上げを睨んで

8月から9月半ばにかけてのドル円相場は膠着状態でした。8月下旬に行われたジャクソンホール・シンポジウムにおいて、パウエルFRB議長が年内の量的緩和縮小の開始を支持していた一方、政策金利の引き上げについては慎重な姿勢を改めて示した他、米国の主要経済指標に弱い結果が続いたことで、早期利上げ観測が後退。米長期金利が横ばい圏の動きになり、ドル円相場も方向感に乏しい状態が続きました。しかし、9月22日に米公開市場委員会(FOMC)が発表した政策金利見通しによって、2022年にも利上げが開始されるのではとの見方が強まると、112円ちょうど前後までドル高・円安が進行しました。

FOMCの9月の経済・金利見通しにおいて、2022年の利上げ開始を支持するメンバーは9人と、6月時点の7人から増加。2023年末の累計利上げ回数は、予想中央値ベースでみると2回から3.5回に引き上げられました。量的緩和の縮小に関しては、11月に決定され、12月に実行されるとの見方が市場では大勢を占めています。ただ、こうした観測を受けて米長期金利はすでに上昇してしまっており、これ以上の利上げ前倒しについては、様々な経済指標などを確認しながら、慎重に考慮していく流れになっていくと考えられます。つまり、当面のドル円相場は、大きく下げないまでも、一旦は伸び悩みを見せる可能性があります。ただ、中国の景気動向には注意が必要です。現在、中国は国内のさまざまな産業に対して規制を強化しており、それによって景気が減速するのでは、との見方が根強いです。中国政府が、同国経済が完全に腰折れするほど強い規制をかける可能性は低いものの、目先、中国の弱い経済指標などをきっかけに金融市場全体でリスク回避の動きが強まれば、一時的に円高に振れる場面もあるとみられます。

マクロ経済見通し

執筆者
シニアエコノミスト 宮嶋 貴之

宮嶋 貴之

コロナ禍の変化が不動産市場にも影響する兆し

図:東京都心部の地価下落が目立つ一方、横浜等は上昇

図1:住宅需給のひっ迫と住宅価格の高騰

出所:国土交通省、SFGI

今月のキーワード

職住近接から”住商”近接へ??

ソニーフィナンシャルホールディングス
アナリストの紹介

尾河 眞樹(おがわ まき)

尾河 眞樹(おがわ まき)

ソニーフィナンシャルホールディングス
執行役員 兼 金融市場調査部長
チーフアナリスト

ファースト・シカゴ銀行、JPモルガン・チェース銀行などの為替ディーラーを経て、ソニー財務部にて為替リスクヘッジと市場調査に従事。その後シティバンク銀行(現SMBC信託銀行)で個人金融部門の投資調査企画部長として、金融市場の調査・分析を担当。2016年8月より現職。テレビ東京「Newsモーニングサテライト」、日経CNBCなどにレギュラー出演し、金融市場の解説を行っている。主な著書に『〈新版〉本当にわかる為替相場(2016年日本実業出版社)』、『ビジネスパーソンなら知っておきたい仮想通貨の本当のところ(2018年朝日新聞出版社』などがある。ソニー銀行取締役、ウェルスナビ株式会社取締役。

菅野 雅明(かんの まさあき)

菅野 雅明(かんの まさあき)

ソニーフィナンシャルホールディングス
金融市場調査部
シニアフェロー チーフエコノミスト

1974年日本銀行に入行後、秘書室兼政策委員会調査役、ロンドン事務所次長、調査統計局経済統計課長・同参事などを歴任。日本経済研究センター主任研究員を経て、1999年JPモルガン証券入社(チーフエコノミスト・経済調査部長・マネジングディレクター)。2017年4月より現職。総務省「統計審議会」委員ほか財務省・内閣府・厚生労働省などで専門委員などを歴任。日本経済新聞「十字路」「経済教室」など執筆多数。テレビ東京「Newsモーニングサテライト」、日経CNBC[昼エクスプレス」コメンテーター。1974年東京大学経済学部卒、1979年シカゴ大学大学院経済学修士号取得。

渡辺 浩志(わたなべ ひろし)

渡辺 浩志(わたなべ ひろし)

ソニーフィナンシャルホールディングス
金融市場調査部
シニアエコノミスト

1999年に大和総研に入社し、経済調査部にてエコノミストとしてのキャリアをスタート。2006年~2008年は内閣府政策統括官室(経済財政分析・総括担当)へ出向し、『経済財政白書』等の執筆を行う。2011年からはSMBC日興証券金融経済調査部および株式調査部にて機関投資家向けの経済分析・情報発信に従事。2017年1月より現職。内外のマクロ経済についての調査・分析業務を担当。ロジカルかつデータの裏付けを重視した分析を行っている。

石川 久美子(いしかわ くみこ)

石川 久美子(いしかわ くみこ)

ソニーフィナンシャルホールディングス
金融市場調査部
シニアアナリスト

商品先物専門紙での貴金属および外国為替担当の編集記者を経て、2009年4月に外為どっとコムに入社し、外為どっとコム総合研究所の立ち上げに参画。同年6月から研究員として、外国為替相場について調査・分析、レポートや書籍、ブログ、Twitterなどの執筆、セミナー講師、テレビやラジオなどのコメンテーターとして活動。2016年11月より現職。外国為替市場の調査・分析業務を担当。

宮嶋 貴之(みやじま たかゆき)

宮嶋 貴之(みやじま たかゆき)

ソニーフィナンシャルホールディングス
金融市場調査部
シニアエコノミスト

2009年にみずほ総合研究所に入社。エコノミストとしてアジア・日本経済、不動産・五輪・観光等を担当。2011年~2013年は内閣府(経済財政分析担当)へ出向。官庁エコノミストとして『経済財政白書』、『月例経済報告』等を担当。2021年4月より現職。主な著書(全て共著)は『TPP-日台加盟の影響と展望』(国立台湾大学出版中心)、『キーワードで読み解く地方創生』(岩波書店)、『図解ASEANを読み解く』(東洋経済新報社)、『激震 原油安経済』(日経BP)。

森本 淳太郎(もりもと じゅんたろう)

森本 淳太郎(もりもと じゅんたろう)

ソニーフィナンシャルホールディングス
金融市場調査部
アナリスト

みずほフィナンシャルグループにて企画業務、法人営業などを経験した後、2019年8月、ソニーフィナンシャルホールディングスへ入社。外国為替市場の調査・分析業務、中でも主にユーロなどの欧州通貨に関するレポートを担当している。また、新型コロナウイルスの感染状況と金融市場の関連に特化したレポートを執筆するなど、幅広い観点から金融市場の分析を行っている。

本レポートについてのご注意

  • 本レポートは、ソニーフィナンシャルホールディングス株式会社(以下「当社」といいます)が経済情勢、市況などの投資環境に関する情報をお伝えすることを目的としてお客さまにご提供するものであり、金融商品取引法に基づく開示資料ではなく、特定の金融商品の推奨や売買申し込み、投資の勧誘等を目的としたものでもありません。
  • 本レポートに掲載された内容は、本レポートの発行時点における投資環境やこれに関する当社の見解や予測を紹介するものであり、その内容は変更又は修正されることがありますが、当社はかかる変更等を行い又はその変更等の内容を報告する義務を負わないものといたします。本レポートに記載された情報は、公的に入手可能な情報でありますが、当社がその正確性・信頼性・完全性・妥当性等を保証するものではありません。本レポート中のグラフ、数値等は将来の予測値を含むものであり、実際と異なる場合があります。
  • 本レポート中のいかなる内容も、将来の投資環境の変動等を保証するものではなく、かつ、将来の運用成果等を約束するものでもありません。かかる投資環境や相場の変動は、お客さまに損失を与える可能性もございます。
  • 当社は、当社の子会社及び関連会社(以下、「グループ会社」といいます)に対しても本レポートに記載される内容を開示又は提供しており、かかるグループ会社が本レポートの内容を参考に投資決定を行う可能性もあれば、逆に、グループ会社が本レポートの内容と整合しないあるいは矛盾する投資決定を行う場合もあります。本レポートは、特定のお客さまの財務状況、需要、投資目的を考慮して作成されているものではありません。また、本レポートはお客さまに対して税務・会計・法令・投資上のアドバイスを提供する目的で作成されたものではありません。投資の選択や投資時期の決定は必ずお客さまご自身の判断と責任でなされますようお願いいたします。
  • 当社及びグループ会社は、お客さまが本レポートを利用したこと又は本レポートに依拠したこと(お客さまが第三者に利用させたこと及び依拠させたことを含みます)による結果のいかなるもの(直接的な損害のみならず、間接損害、特別損害、付随的損害及び懲罰的損害、逸失利益、機会損失、代替商品又は代替サービスの調達価格、のれん又は評判に対する損失、その他の無形の損失などを含みますが、これらに限られないものとします)についても一切責任を負わないと共に、本レポートを直接・間接的に受領するいかなる投資家その他の第三者に対しても法的責任を負うものではありません。
  • 本レポートに含まれる情報は、本レポートの提供を受けられたお客さま限りで日本国内においてご使用ください。
  • 本レポートに関する著作権及び内容に関する一切の権利は、当社又は当社に対して使用を許諾した原権利者に帰属します。当社の事前の了承なく複製又は転送等を行わないようお願いします。