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今年の制度改正のポイントは? 2022年制度改正カレンダー

2022年には、健康保険、年金、児童手当などに関して、さまざまな制度改正が行われます。その中から、特に家計にかかわるものをファイナンシャルプランナーの平野泰嗣さんがピックアップ。テーマごとに解説してもらいました。

2022年01月

2022年の制度改正のうち主に家計に関連するもの
2022年4月 年金受取開始年齢が60〜75歳に拡大
成年年齢が18歳に引き下げ
2022年5月 確定拠出年金の加入年齢が変更
(企業型DC:70歳未満まで/iDeCo:65歳未満まで)
2022年10月 パートやアルバイトなどの短時間労働者に対する健康保険・厚生年金保険適用拡大
年収1,200万円以上の児童手当廃止
月2週間以上の育休で保険料が免除に
2022年10月以降 後期高齢者の医療費「2割負担」が新設

健康保険に関する改正

健康保険に関するものでは、2つの制度改正についてお話しします。

■月2週間以上の育休で保険料が免除に(2022年10月)

まずは、2022年10月から施行される『育児休業中の社会保険料免除の見直し』です。今までは、月末時点で育休を取得している場合に、当⽉の社会保険料(健康保険料および厚生年金保険料)が免除されるしくみになっていました。

ところがこのしくみでは、短期間の育休に関して、月末をまたぐか否かで保険料が免除されるかどうかが決まるという不公平が生じてしまいます。また、賞与月の月末時点で育休を取得していると、賞与も保険料が免除されるため、賞与月に育休の取得が偏る傾向が見られました。

そこで改正後は、その月のうちに2週間以上育休を取得した場合にも、保険料が免除されることになりました※1。さらに、賞与の保険料の免除対象は1か月超の育休取得者に限られます。

※1 改正後も末日が育休期間中である場合は引き続き免除対象

出典:厚生労働省「全世代対応型の社会保障制度を構築するための健康保険法等の一部を改正する法律案について」

2022年10月からは、これまでの育児休業が制度改正されて分割取得できるようになり、さらに産後パパ育休(出生時育児休業)制度も導入されます。これらの制度改正は、男女ともに仕事と育児を両立することを促すのと同時に、社会保険料の適正な負担を求めるものです。

■後期高齢者の医療費「2割負担」が新設(2022年10月以降)

次は、2022年10月以降に施行予定の『後期高齢者医療における窓口負担割合の見直し』です。現在は、75歳以上の後期高齢者の医療費の窓口負担は原則1割で、現役並みの所得※2がある人のみ3割負担となっています。

改正後は、1割負担の人のうち、課税所得が28万円以上かつ単身世帯で年収200万円以上、夫婦ともに75歳以上の世帯では年収計320万円以上の人が、2割負担となります※3。

75歳以上の被保険者数、約1,815万人のうち3割負担は約7%(約130万人)に該当し、2割負担は約20%(約370万人)に該当します。

※2 世帯内に課税所得の額が145万円以上の被保険者がいる場合で、かつ単身者の場合年収383万円以上、夫婦ともに75歳以上の場合では年収計520万円以上
※3 施行後3年間は、1か月の負担増を最大でも3,000円とする配慮措置が講じられます

出典:厚生労働省「全世代対応型の社会保障制度を構築するための健康保険法等の一部を改正する法律案について」

2022年度以降、団塊の世代が後期高齢者になり始め、後期高齢者の医療費の一部を74歳以下の人で支援する後期高齢者支援金の急増が見込まれています。そのため、可能な範囲で高齢者にも負担いただき、医療費を賄う現役世代の負担を少しでも軽減しようというのが、この制度改正の狙いです。

年金制度に関する改正

年金制度に関しては、3つの制度改正をピックアップします。今では、60歳以降も働く人が増え、70〜74歳でも全体の33.1%の人が何らかの形で働いています※4。そうした高齢者の就労実態にあわせて、年金の受給開始時期の選択肢を増やすための制度改正などが予定されています。

※4 出典:総務省「労働力調査」

■年金受取開始年齢が60〜75歳に拡大(2022年4月)

これまで、国民年金、厚生年金は原則として65歳から受け取ることができ、繰り上げ制度や繰り下げ制度を利用することによって、60~70歳の間で自由に年金受取開始年齢を選べました。2022年4月の改正後は、年金受取開始年齢を60~75歳の間(原則は65歳のまま)で選べるようになります

また、確定拠出年金については、従来は60~70歳の間で受け取ることが可能でしたが、こちらも年金受取開始年齢の範囲が60~75歳までに拡大されます。

■確定拠出年金の加入年齢が変更
(企業型DC:70歳未満まで/iDeCo:65歳未満まで)(2022年5月)

企業型確定拠出年金(企業型DC)については、現在、厚生年金被保険者のうち、65歳未満までが加入可能です。2021年4月から70歳までの就業機会の確保が企業の努力義務とされたこともふまえ、2022年5月の改正後は、60歳までとは異なる事業所で働く場合や65歳以降に働く場合であっても、厚生年金に加入していれば、70歳未満まで加入できるようになります

一方、個人型確定拠出年金(iDeCo)は、現在は60歳未満までの国民年金被保険者が加入可能です。こちらも、公的年金の受給開始時期の拡大などもふまえ、2022年5月の改正後は65歳未満までの国民年金被保険者が加入できるようになります※5

※5 国民年金の第1号被保険者、第3号被保険者は60歳到達時に国民年金の加入資格を失うため、原則60歳以降は加入できません。ただし、60歳までに老齢基礎年金の受給資格を満たしていない場合や、40年の納付済期間がないため老齢基礎年金を満額受給できない場合などで、60歳以降も国民年金に加入している任意加入被保険者や第2号被保険者は65歳未満まで加入できます

■パートやアルバイトなどの短時間労働者に対する健康保険・厚生年金保険適用拡大(2022年10月)

最後にご紹介するのは、2022年10月施行の『短時間労働者への健康保険・厚生年金保険適用拡大』です。こちらの制度改正については、従業員数が500人超規模の企業にはすでに適用済みで、2022年10月には、従業員数が100人超規模の企業にまで適用されます。幅広く社会保険料の負担を求めながら、パートやアルバイトなど、短時間労働者への社会保障の充実を図るのが、制度改正の主な目的です。

児童手当に関する改正

児童手当に関する制度改正も取り上げておきましょう。児童手当は、家庭などの生活の安定に寄与し、子どもの健全な育成に役立てられることを目的とし、中学校を卒業するまで支給される制度です。

■年収1,200万円以上の児童手当廃止(2022年10月)

2022年10月支給分から、『特例給付の対象者のうちその所得の額が一定の額以上の者を支給対象外とすることとする』という、制度改正が行われます。

現在は、受給に所得制限限度額が設けられてはいるものの、所得制限限度額以上の家庭にも、子ども1人当たり一律5,000円が特例給付されています。今回の改正では、その特例給付に関しても、世帯主の年収が1,200万円以上の場合には、支給対象外とされます。

たとえば、子どもが2人、妻(夫)の年収が103万円以下の家庭で、夫(妻)の年収が1,200万円以上あると、特例給付の支給対象外となります。子どもの人数や夫婦それぞれの年収によって、給付の内容が変わるので注意が必要です。

今回の特例給付の見直しで得られた財源は、保育所の整備、子育て支援に積極的に取り組む企業への助成など、総合的な少子化対策に用いられます。

その他、暮らしに影響がある制度改正

その他の大きな制度改正としては、2022年4月に、『成年年齢改正』が施行されます。

■成年年齢が18歳に引き下げ(2022年4月)

1876(明治9)年以来、日本では成年年齢は20歳とされてきました。ところが、近年、憲法改正国民投票の投票権年齢や公職選挙法の選挙権年齢などが18歳と定められ、国政上の重要な事項の判断に関して18歳以上を大人(成年)として扱うという政策が進められています。

そこで、市民生活に関する基本法である民法においても18歳以上の人を大人として取り扱うのが適当ではないかという議論が活発化し、世界的に成年年齢を18歳とするのが主流であることもふまえ、『成年年齢改正』が施行される運びとなりました

成年年齢を18歳に引き下げることは、18~19歳の若者の自己決定権を尊重するものであり、積極的な社会参加を促すでしょう。

ただ、携帯電話を購入する、一人暮らしのためのアパートを借りる、クレジットカードを作成する※6、ローンを組んで自動車を購入する※6など、さまざまな契約を親の同意を得ずに結べるようになるので、経験が少ないうちはトラブルに遭遇しやすい面も。そうしたことを防ぐためにも、家庭内での金銭教育が大切です。

※6 支払能力の審査の結果、契約できないこともあります

2022年の制度改正をふまえて、まとめのアドバイス

2022年の制度改正は、人口の減少や少子高齢社会の進展、長寿化による『人生100年時代』を見据えた、社会保障制度や税制の改正といえます。年々増加する社会保障費の国家負担を考えれば、社会保険料、窓口の自己負担額、税金など、生活者の負担が増すのは避けられません。今後も、この傾向は続いていくことでしょう。一方、給付の面では、制度の維持を前提としつつ、適正な配分を目指す流れにあります。

老後の生活に関していえば、公的年金だけでまかなうのは難しいという現実が明らかになっており、より一層の自助努力が求められます。その自助努力の1つが、就労期間の延長です。実際、60歳以降の人の働き方はすでに多様化しています。高齢化社会、そして高齢者の就労状況の中で、さらに働き方の選択肢を増やす意味からも、こちらの記事で取り上げたような健康保険や年金制度の改正が行われるのだと考えられます。

今回の制度改正は、非常に重い意味をもつものです。ある意味では、時代の転換点、マインド・チェンジの時期を迎えているといっても、過言ではありません。負担増のところばかりに目を向けるのではなく、『人生100年時代』に向き合うための制度改正だと前向きにとらえ、少しずつでも社会保障や税制についてきちんと学んでいくことを心がけてみてはいかがでしょうか

監修者プロフィール

平野 泰嗣 | Yasushi Hirano

FPの妻と共に「夫婦FP」として、顧客の自己実現をサポート。「自分らしく生きることを支援する」をモットーに、ライフ、ファイナンス、キャリアの3つの視点で、総合的に相談者を支援。中小企業診断士として、経営者・従業員のライフプラン支援も行っている。

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