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梅雨・台風シーズンを前に! 火災保険の水災補償でしっかりと備えを

近年、日本各地で自然災害が頻発していますが、いつ自分の身に振りかかってくるのか、決して他人事ではありません。特に6月の梅雨から8〜9月の台風シーズンにかけては、全国的に水害が起こりやすい時期です。自然災害に対しての備えは十分でしょうか? 今一度、火災保険の水災補償を見直しておくことも、大切な備えの1つです。補償の対象、範囲、条件などについて、ファイナンシャルプランナーの平野敦之さんに解説していただきます。

2022年06月

火災保険の水災補償、実際にどれくらい使われている?

まずは、火災保険の水災補償がそもそもどういった補償なのか、平野さんに説明していただきましょう。

「水災補償は、火災保険につけられる補償の1つで、台風・暴風雨・豪雨等による洪水、融雪洪水、高潮、土砂崩れ、落石といった水災による損害を補償するものです。土砂崩れ、落石など、水災のイメージがあまりない災害による損害も補償されますが、津波、水濡れ(漏水)による損害は補償の範囲に含まれません」(平野さん)。

近年は、気候変動などの影響もあるのか、自然災害が起こりやすくなっているように感じられます。やはり、水災による被害も増えているのでしょうか?

「国土交通省『令和元年水害統計調査」に記載の被害額、被災家屋棟数をみると、全体的には増加傾向にあるといえるでしょう。特に2019年には、一般資産※1の被害額は約1兆3,000億円、被災家屋棟数は約9万9,000棟にも達しました。被害が増えるにつれ、水災補償での保険金の支払い額も増加しています」(平野さん)。

出典:総務省統計局「令和元年水害統計調査」よりソニー生命作成

出典:損保協会作成データよりソニー生命作成

水災による被害が拡大し、それに対する保険金の支払い額が増えている一方で、気になるデータも。実は、火災保険に水災補償をつけている人の割合が、わずかながら減っているのです。この理由としては、水災補償は必要・不要がほかの補償に比べると判断しやすく、水災補償を外すと保険料が安くなるということが考えられます。

火災保険の水災補償付帯率 ※2
2016年度 2017年度 2018年度 2019年度 2020年度
全国計(%) 71.9 70.5 69.1 67.8 66.6

出典:損害保険料率算出機構(火災保険 水災補償付帯率)のデータよりソニー生命作成 ※3

被災した場合、被害額が大きくなりがちなのが水災です。被災するリスクが少しでもあるのなら、しっかり備えておくに越したことはありません。

「すぐ近くに河川がなくても、低地などの水がたまりやすい場所は水に浸かる可能性があります。山や崖に隣接している場合には、土砂崩れの恐れがないともいえません。また、都市部でも、台風やゲリラ豪雨に見舞われれば、半地下や低層階は浸水することがあるのです。国土交通省や自治体が発表しているハザードマップなどを参考にしながら、ご自宅に洪水や土砂災害のリスクがあると判断したときには、火災保険に水災補償をつけることを検討してみましょう」(平野さん)。

※1 家屋、家庭用品、農漁家資産、事業所資産、農作物のこと。
※2 水災補償付帯率とは、当該年度末時点で有効な火災保険契約件数のうち、水災を補償している契約件数の割合。
※3 損害保険料率算出機構の会員保険会社が報告した住居専用建物(収容する家財を含む)を対象とする「火災保険」の数値で各種共済は含まない。

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水災補償の対象範囲は? 条件はあるの?

水災補償の範囲に含まれるのは、台風・暴風雨・豪雨等による洪水、融雪洪水、高潮、土砂崩れ、落石による損害です。それでは、これらの水災による損害なら、どんな場合でも補償してもらえるのでしょうか?

補償の対象にできるのは住宅の場合、建物と家財道具全般です。建物と家財の両方、またはどちらか一方だけでも水災補償をつけられます。お住まいが賃貸物件の場合には、建物の補償は所有者である家主が火災保険をつけるため、入居者である借主は家財にしか火災保険をつけられません。また、自動車は家財に含まれず、補償の対象ではありません」(平野さん)。

たとえば、以下のようなケースでは、火災保険に水災補償をつけていれば、建物や家財の損害は補償されます。

  • 台風で川が氾濫し、住宅に浸水して、床と壁紙の張り替えが必要になった(建物)
  • 自宅裏の山が土砂崩れを起こして、家屋が半壊した(建物)
  • 高潮で住宅が浸水し、家電が壊れた(家財)
  • 洪水で家具が使えなくなった(家財)

「ただし、水災補償の支払い対象となる損害には条件があるので、注意が必要です。一般的には、床上浸水もしくは地盤面より45cmを超えて浸水※4し損害が生じたとき、あるいは、建物や家財に再調達価額の30%以上の損害※5が生じたときという条件が設定されています」(平野さん)。

※4 床下浸水の場合、補償されません。
※5 再調達価額は、火災保険の対象である建物や家財と同等のものを新品で再購入するのに必要な金額のこと(新価ともいう)。

水災補償を選ぶときに注意すること

水災補償を選ぶには、事前にそれをつけるかどうかを判断する必要があります。

「いつどこで誰が被災してもおかしくない風災、ひょう災などと違って、水災は被災する可能性を比較的判断しやすい災害です。たとえば、住まいがマンションの高層階にあったり、近隣に山や崖がない高台にあったりすれば、被災する可能性は限りなく低くなるでしょう。まずは、ハザードマップなどを利用して、自宅がある場所の水災リスクを確認することをおすすめします」(平野さん)。

ハザードマップなどで一定の水災リスクがあると判断したら、保険金の支払い条件や支払われ方、免責金額(自己負担額)などをふまえて、水災補償のついた火災保険を選びましょう。

水災補償の保険金の支払われ方には、実損払いのものと、定額払いのものがあります。実損払いのものであれば、あらかじめ上限として定められている保険金額の限度を超えない限り、損害額が満額補償されます。定額払いのものでは、契約時に定めた一定割合の金額しか保険金が支払われず、損害額は必ずしも満額補償されないことがあります。

水災のリスクを考えて、火災保険に水災補償をつけるのなら、実損払いのもののほうが損害に備えやすいでしょう。また、免責金額に関しては、その額を高くすれば高くするほど、月々の保険料は抑えられるものの、その分、実際の損害額から免責金額が割り引かれるので、満額補償されないことになります」(平野さん)。

最後に、2022年度中に、全国平均での火災保険料の値上げが見込まれているそうですが、どういった理由なのでしょうか。

近年の保険料の値上げは、水災、風災などの被害が拡大し、その損害による保険金の支払いが増えていることなどが主な理由です。今回の改定では、損害保険料率算出機構が算出し、損害保険会社が火災保険料のベースにする参考純率が、全国平均で10.9%と大幅に引き上げられました。損害保険会社は参考純率に営業経費などを加え、それぞれが火災保険料を決定しているため、各社で火災保険料が値上げとなり、保険期間が現在の最長10年間から5年間へ短縮される見通しです。

今後もこうした方向性が続きそうですから、火災保険の契約や更新の直前にあわてないためにも、一度、契約内容を見直してみるとよいでしょう」(平野さん)。

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監修者プロフィール

平野 敦之 | Atsushi Hirano

平野FP事務所代表。保険業界での実務経験を活かして損害保険や生命保険のプロフェッショナルとして活動を展開し、個人や法人を対象としたリスクマネジメントやファイナンシャルプランニングを行っている。実務を重視した活動をしながら講演活動、執筆活動も積極的に実施。

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