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資産形成

2024.06

かんたんにわかる 月刊 経済・為替ダイジェスト6月号

  • #経済
  • #為替

ソニーフィナンシャルグループ株式会社の金融市場調査部が最新のマクロ経済・為替相場の見通しについて解説します。

※執筆日(6/3)時点の情報となります。

マクロ経済見通し

執筆者シニアエコノミスト 宮嶋 貴之

宮嶋 貴之

円安で好調のインバウンド需要、”安い”以外の理由も

足下のインバウンド(訪日外国人)消費額は、過去最高を大きく更新するほどのペースで増加しています。この要因として円安による押し上げ効果が大きいですが、それを除いたとしても、インバウンド需要は持ち直しているとみられます。

インバウンド(訪日外国人)需要持ち直しは、日本の観光競争力改善も寄与している可能性

今年に入ってから、インバウンド(訪日外国人)需要が大きく増加しています。訪日外国人客数はコロナ禍前を上回る水準まで持ち直しており、経済効果をみる上で重要なデータとして、インバウンド消費額、つまり外国人の方が日本旅行中に出費した金額をみても、金額は大きく増加しています。現状のまま推移すれば、インバウンド消費額は年間8兆円に迫る規模となり、このままいけば年間で過去最高を大きく更新すると期待されます。もしそうなれば、半導体等電子部品の輸出金額を超える可能性があり、自動車に次ぐ輸出産業の規模まで拡大することになります。よって、インバウンド消費の存在感は、経済全体や金融市場において、ますます大きくなっていくと考えられます。

ただし、今のインバウンド消費の拡大は円安や物価高の効果が大きく、今後為替レートが円高に振れれば、インバウンド消費額は一気に落ち込んでしまうことが懸念されています。確かに、円安が進むとインバウンド消費金額は円建てに換算する際に増加しやすくなりますので、今の円安が大きな追い風になっていることは間違いありません。

そこで、為替レートや物価の変動による消費金額の影響を除去したインバウンド消費額を簡易的に試算し、この点について検証してみましょう(図表参照)。

すると、やはり2023年以降は、為替レートや物価変動の影響を除去する前と後の値の乖離が大きく、円安や物価高によって、概ね4割程度消費金額が押し上げられていると計算されており、やはり円安効果は大きいと言えます。

しかし、為替レートや物価の変動を除去した後の値をみても、足下は2019年のコロナ禍前の水準程度まで概ね戻ってきています。よって、円安による押し上げ効果が完全になかったと仮定したとしても、インバウンド消費額が持ち直しているとの評価は変わらないと言えます。
この背景には、日本の観光競争力が過去と比べて大きく改善していることが挙げられると思います(今月のキーワード)。つまり、もともと訪日に対する魅力が高まっていた中で、円安という強烈な追い風も重なったことから、インバウンド需要の急速な回復が実現したと言えます。今後は、為替レートの変動に関わらず、訪日需要を引き続き取り込んでいくことが期待されます。

■インバウンド消費額

インバウンド消費額

出所:財務省、日本銀行、総務省、Macrobond

今月のキーワード

日本の観光競争力は世界トップ3

観光競争力を測る上でよく使われる指標として、世界経済フォーラムが発表している「旅行・観光開発指数」があります。これをみると、日本のランクは10年前と比較して大きく改善し、2019年以降のランキングは世界トップ3となりました。この背景には、空港などの交通インフラの整備が進んだことや東京オリンピック開催などを通じた国際的なPR活動によって日本の知名度が向上したこと等があると考えられます。この指標以外にも、大手旅行雑誌などで訪問すべき国のランキングで日本がトップになっていることなどからも、外国人旅行者にとって、訪日の魅力度が着実に増していることが窺えます。

為替相場見通し

執筆者シニアアナリスト 石川 久美子

石川 久美子
ドル高・円安要因
  • ★★☆ 米国経済の底堅さと粘着的なインフレ
  • ★★☆ 日銀の緩和的な金融政策長期化への思惑
  • ★★☆ 米国の利下げ期待の後退と金利上昇
  • ★★☆ 中東を巡る地政学リスクの高まりによる資源高騰
ドル安・円高要因
  • ★★★ 政府・日銀の為替介入への警戒感
  • ★★☆ 米国の利下げ期待の高まり
  • ★★☆ 日銀の国債買入縮小や利上げについての思惑
  • ★☆☆ ロシア・中国・中東を巡る地政学リスクの悪化

(各要因の蓋然性を3段階で表示)

■過去2ヶ月の為替推移

過去2ヶ月の為替推移

出所:Bloomberg、SFGI

米国の景気とインフレの強さを睨んで

ドル円相場は4月、上値抵抗となっていた152円を突破すると、ドル高・円安が加速。4月26日に日銀の金融政策決定会合後に植田日銀総裁の発言が円安容認と受け止められたことで円売りにより、4月29日には一時160円10銭台まで急騰しました。その後、本邦政府・日銀による円買い介入と見られる動きによってドル円は押し下げられ、さらに5月3日の米雇用統計の弱めの結果を受けて一時152円を割り込む水準まで値を下げましたが、その後日米の金利差縮小は遠いとの見方が広がる中でジリジリとドル高・円安歩調を辿りました。

米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長は5月14日、「インフレは月次ベースで、昨年の低水準近くまで鈍化すると予想」し、次の一手が追加利上げの可能性が低いとする一方、物価減速の見通しについての「確信は以前ほど強くないと言える」とするとコメント。今後については「忍耐強く政策効果を待つ必要」があるとしており、当面数か月間のデータを確認していく方針を示しています。実際、米国の主要経済指標を見てみると、足下では好悪入り混じる状態です。目先の金融政策は据え置かれると見られるため、当面のドル円は、広めの日米金利差の下で高い水準での推移継続となる見込みです。ただ、今後のデータ次第では、9月の利下げを織り込んで、ドルが緩やかに売り優勢に傾いてくる可能性があります。なお、日本については、日銀が今後、国債買入規模の減額を決定するのではないか、さらに、追加利上げを決定するのではないか、との思惑が広がっています。加えて、政府・日銀による円買い・ドル売り介入が入る可能性もあります。日本サイドの要因で相場が乱高下する場面は今後も散見されるでしょう。

ソニーフィナンシャルグループ
アナリストの紹介

尾河 眞樹(おがわ まき)

尾河 眞樹|おがわ まき

ソニーフィナンシャルグループ
執行役員(金融市場調査部担当)
チーフアナリスト

ファースト・シカゴ銀行、JPモルガン・チェース銀行などの為替ディーラーを経て、ソニー財務部にて為替リスクヘッジと市場調査に従事。その後シティバンク銀行(現SMBC信託銀行)で個人金融部門の投資調査企画部長として、金融市場の調査・分析を担当。2016年8月より当社。テレビ東京「Newsモーニングサテライト」、日経CNBCなどにレギュラー出演し、金融市場の解説を行っている。主な著書に『〈最新版〉本当にわかる為替相場(2023年日本実業出版社)』、『ビジネスパーソンなら知っておきたい仮想通貨の本当のところ(2018年朝日新聞出版社』などがある。ソニー・ライフケア取締役、ウェルスナビ株式会社取締役。

菅野 雅明(かんの まさあき)

菅野 雅明|かんの まさあき

ソニーフィナンシャルグループ
金融市場調査部
シニアフェロー チーフエコノミスト

1974年日本銀行に入行後、秘書室兼政策委員会調査役、ロンドン事務所次長、調査統計局経済統計課長・同参事などを歴任。日本経済研究センター主任研究員を経て、1999年JPモルガン証券入社(チーフエコノミスト・経済調査部長・マネジングディレクター)。2017年4月より現職。総務省「統計審議会」委員ほか財務省・内閣府・厚生労働省などで専門委員などを歴任。日本経済新聞「十字路」「経済教室」など執筆多数。テレビ東京「Newsモーニングサテライト」、日経CNBC「昼エクスプレス」コメンテーター。1974年東京大学経済学部卒、1979年シカゴ大学大学院経済学修士号取得。

渡辺 浩志(わたなべ ひろし)

渡辺 浩志|わたなべ ひろし

ソニーフィナンシャルグループ
金融市場調査部長
シニアエコノミスト

1999年に大和総研に入社し、経済調査部にてエコノミストとしてのキャリアをスタート。2006年~2008年は内閣府政策統括官室(経済財政分析・総括担当)へ出向し、『経済財政白書』等の執筆を行う。2011年からはSMBC日興証券金融経済調査部および株式調査部にて機関投資家向けの経済分析・情報発信に従事。2017年1月より当社。内外のマクロ経済についての調査・分析業務を担当。ロジカルかつデータの裏付けを重視した分析を行っている。

石川 久美子(いしかわ くみこ)

石川 久美子|いしかわ くみこ

ソニーフィナンシャルグループ
金融市場調査部
シニアアナリスト

商品先物専門紙での貴金属および外国為替担当の編集記者を経て、2009年4月に外為どっとコムに入社し、外為どっとコム総合研究所の立ち上げに参画。同年6月から研究員として、外国為替相場について調査・分析、レポートや書籍、ブログ、Xなどの執筆、セミナー講師、テレビやラジオなどのコメンテーターとして活動。2016年11月より現職。外国為替市場の調査・分析業務を担当。

宮嶋 貴之(みやじま たかゆき)

宮嶋 貴之|みやじま たかゆき

ソニーフィナンシャルグループ
金融市場調査部
シニアエコノミスト

2009年にみずほ総合研究所に入社。エコノミストとしてアジア・日本経済、不動産・五輪・観光等を担当。2011年~2013年は内閣府(経済財政分析担当)へ出向。官庁エコノミストとして『経済財政白書』、『月例経済報告』等を担当。2021年4月より現職。主な著書(全て共著)は『TPP-日台加盟の影響と展望』(国立台湾大学出版中心)、『キーワードで読み解く地方創生』(岩波書店)、『図解ASEANを読み解く』(東洋経済新報社)、『激震 原油安経済』(日経BP)。

森本 淳太郎(もりもと じゅんたろう)

森本 淳太郎|もりもと じゅんたろう

ソニーフィナンシャルグループ
金融市場調査部
シニアアナリスト

みずほフィナンシャルグループにて企画業務、法人営業などを経験した後、2019年8月より現職。外国為替市場の調査・分析業務、特にユーロやポンド、スイスフランなどの欧州通貨を専門に担当。TOKYO MX 「Stock Voice 東京マーケットワイド」、日経CNBC「朝エクスプレス」「GINZA CROSSING Talkマーケットニュース」などにレギュラー出演し、金融市場の解説を行っている。2013年東京大学経済学部卒。

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