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税
2024.11
地域を応援したい気持ち、地域ごとの返礼品の魅力などから、「ふるさと納税」の利用件数は年々増加中です。2024年の返礼品では、各地の海産物や果物に加え、物価高で厳しい家計の助けになるお米や日用品の人気もさらに上昇。加えて、所得税・住民税の一部が控除されるメリットも。そうしたふるさと納税の特徴や控除の目安、必要な手続きを紹介します。
掲載日:2023年11月
更新日:2024年11月
「ふるさと納税」は、自分が応援したい自治体に寄付ができる制度。寄付することで地域の活性化や課題解決、環境保全などに役立つと考えられます。
最近は、ふるさと納税の使い道の分野などを指定して寄付できる自治体が多く、中には特定の事業に対する寄付を募る「クラウドファンディング型」もあります。このように寄付の目的が分かりやすくなれば、ふるさと納税の利用をさらに後押ししてくれそうです。
しかもこの制度を利用すると、寄付した金額のうち2,000円を除き、その年の所得税や翌年度の住民税の控除が受けられる点もメリット。ワンストップ特例制度を利用すれば確定申告不要で税金の控除が受けられます。控除の上限額は、利用した人の収入や家族構成、住宅ローン控除や医療費控除の有無などにより異なります。控除額の上限を超過しても寄付は可能ですが、超過した金額分は所得税や住民税の控除が受けられません。
※出典:総務省「ふるさと納税に関する現況調査結果(令和6年度実施)」ふるさと納税を募集する際に使途が選択できる自治体で、使途の分野の具体的内容から上位5つを抜粋
また、多くの自治体で寄付に対する返礼品が用意されており、内容は地域の特産品、地域と縁のある企業の製品、地域で体験するプログラムなどさまざま。年間で2,000円を除いた寄付額が税金から控除されることを考えると、実質2,000円で返礼品が手に入るのも、ふるさと納税の魅力です。
確定申告をした場合、ふるさと納税による所得税や住民税の控除額は、以下のような方法で計算されます。ただし、ワンストップ特例を利用した場合は、所得税からの控除はなく、(ふるさと納税-2,000円)が住民税から控除されます。
所得税からの控除は、ふるさと納税を行った金額から自己負担額2,000円を除いた額に、その人の所得税の税率を当てはめて計算します。
①(ふるさと納税額-2,000円)×「所得税の税率」
※令和19年中の寄付までは、所得税の税率は復興特別所得税の税率を加えた率となります。
※所得税の税率は、課税所得の増加に応じて高くなるように設定されており、その納税者に適用される税率を用います。
住民税からの控除(基本分)は、ふるさと納税を行った金額から自己負担額2,000円を除いた額の10%になります。
②(ふるさと納税額-2,000円)×10%
住民税からの控除(特例分)は、ふるさと納税を行った金額から自己負担額2,000円を除いた額に対し、以下の計算式で求めた割合で計算します。
③(ふるさと納税額 - 2,000円)×(100% - 10%(基本分) - 所得税の税率)
※特例分の控除額が住民税所得割額の2割を超えない場合。2割を超える場合は住民税所得割額×20%で計算します。
ふるさと納税を行った金額が全額控除される額(控除の上限)は、ふるさと納税をした人の収入や家族構成、住宅ローン控除や医療費控除の有無などで異なりますが、収入と家族構成からだいたいの目安がわかります。
ふるさと納税を行う方本人の給与収入 | ふるさと納税を行う方の家族構成 | ||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|
独身又は共働き※1 | 夫婦※2 | 共働き+子1人(高校生※3) | 共働き+子1人(大学生※3) | 夫婦+子1人(高校生) | 共働き+子2人(大学生と高校生) | 夫婦+子2人(大学生と高校生) | |
300万円 | 28,000 | 19,000 | 19,000 | 15,000 | 11,000 | 7,000 | - |
400万円 | 42,000 | 33,000 | 33,000 | 29,000 | 25,000 | 21,000 | 12,000 |
500万円 | 61,000 | 49,000 | 49,000 | 44,000 | 40,000 | 36,000 | 28,000 |
600万円 | 77,000 | 69,000 | 69,000 | 66,000 | 60,000 | 57,000 | 43,000 |
700万円 | 108,000 | 86,000 | 86,000 | 83,000 | 78,000 | 75,000 | 66,000 |
800万円 | 129,000 | 120,000 | 120,000 | 116,000 | 110,000 | 107,000 | 85,000 |
900万円 | 152,000 | 143,000 | 141,000 | 138,000 | 132,000 | 128,000 | 119,000 |
1000万円 | 180,000 | 171,000 | 166,000 | 163,000 | 157,000 | 153,000 | 144,000 |
1500万円 | 395,000 | 395,000 | 377,000 | 373,000 | 377,000 | 361,000 | 361,000 |
2000万円 | 569,000 | 569,000 | 552,000 | 548,000 | 552,000 | 536,000 | 536,000 |
2500万円 | 855,000 | 855,000 | 835,000 | 830,000 | 835,000 | 817,000 | 817,000 |
ふるさと納税を利用して税金の控除を受けるには、以下の「ワンストップ特例制度」か「確定申告」のどちらかを選んで手続きする必要があります。
・ワンストップ特例制度を利用する場合
確定申告をしなくても、ふるさと納税による税金の控除が受けられる制度。確定申告の必要がない給与所得者(会社員など)で、1月1日〜12月31日の1年間で寄付先が5自治体以下の場合に利用できます。以下の(1)〜(3)の流れになります。
※ふるさと納税以外で確定申告を行った場合、ワンストップ特例は適用されません。
※各自治体への書類提出期限は、寄付の翌年の1月10日まで(必着)です。
※ワンストップ特例制度の期限に間に合わなかった場合は、確定申告を行うことで控除を受けることができます。
※同一自治体に複数回申し込んだ場合も申込の都度申請書を提出する必要があります。
・確定申告による手続きをする場合
以下の(1)〜(4)の流れで手続きします。
注意点は、必ず所得税・住民税を納税する人の名前でふるさと納税や申請を行うこと。たとえ夫婦でも、自分の名前でふるさと納税をして、配偶者の税金を控除することはできません。また、ワンストップ特例の申請書や確定申告書の記入漏れにも注意しましょう。
なお、国税庁ウェブサイトの「確定申告書等作成コーナー」で、ふるさと納税による寄附金控除の確定申告書が作れるので利用すると便利です。
ふるさと納税による住民税の控除が正しくされているかは、翌年6月ごろに受け取る「住民税決定通知書」を確認するとわかります。摘要欄に記載のある「寄附金税額控除額」が、「ふるさと納税で寄付した金額-2,000円」になっていれば、正しく控除されています。
自分が生まれ育った地域、好きな地域などを寄付することで応援でき、税金の控除に加え、さまざまな返礼品も手に入るふるさと納税。最近は日用品のほか、食品や調味料など大幅に値上げされた品目が返礼品で人気になる傾向も見られます。自分が応援したい自治体のふるさと納税の内容を、専用のサイトなどで探してみてはいかがでしょうか。
本記事は2024年6月時点で施行されている法律に基づいて執筆しています。
監修者プロフィール
福一 由紀 | Yuki Fukuichi
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