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税
2024.11
原則として2月16日から3月15日は確定申告の申告期間です。会社員でも、副業の所得などによって確定申告が必要なケース、確定申告をすると納めすぎた税金が戻るケースがあります。申告時期に慌てなくて済むよう、それぞれの条件を知っておきましょう。
掲載日:2023年12月
更新日:2024年11月
1年間の所得金額をもとに所得税額を確定させ、税務署に申告する手続きが確定申告です。確定申告により所得税を納める必要があれば納付し、納め過ぎた税金があることが分かれば多かった分は国から還付されます。
※それぞれの日付が土曜・日曜・国民の祝日・休日にあたる場合は、翌日(または翌々日)の月曜日が期限日となります。
会社員は勤務先が所得税や住民税を計算して納付してくれるので、通常は自分で確定申告することはありません。しかし、以下のようなケースなどでは確定申告が必要です。
■会社員で確定申告が必要なケースの例
・給与収入が2,000万円を超える場合
年間の給与収入が2,000万円を超える人は年末調整の対象外のため、自身で確定申告をする必要があります。
・副業の所得が20万円を超える場合
副業の年間の利益額が20万円を超えた場合は、原則として確定申告が必要です。ネットオークションのような個人取引で得た所得や、ブログ運営、株取引などで得た所得など本業以外で金銭を得た場合は、詳細な条件を確認しましょう。
・給与所得を2カ所以上からもらっている場合
本業以外の派遣やアルバイトで得た給与収入の合計が20万円を超えた場合は、確定申告が必要です。源泉徴収はされているものの年末調整がされていないケースがこれにあたります。
また、上記以外でも確定申告が必要なケースがあるため、副業などで所得に変化があった人や、必要かどうか分からない場合は税務署や税理士に確認してみると良いでしょう。
医療費控除や寄附金控除(ふるさと納税)、住宅ローン控除のほか、さまざまな控除により所得税額を軽減する仕組みが設けられています。これらの対象となる場合、確定申告をすると納め過ぎた税金が戻ってくる可能性があります。
■確定申告で税金が還付される可能性があるケースの例
※いずれも所定の条件を満たす場合
・医療費が10万円を超えた場合
自身や扶養家族の医療費が10万円(総所得200万円未満は総所得の5%)を超えた場合、医療費控除を受けることができます。
・ふるさと納税や寄付をした場合
国、地方自治体、特定の団体などに寄付した場合、寄附金控除を受けることができます。寄附金控除に該当する寄付が「ふるさと納税」のみで、寄付した自治体数が5つ以下等の条件を満たせば、ワンストップ特例制度を活用すれば確定申告をせずとも寄附金控除が適用されます。
・住宅の購入やリフォームをした場合
住宅ローンを利用して住宅の購入やリフォームをした場合、一定の要件を満たすと「住宅借入金等特別控除(住宅ローン控除)」が適用されます。2年目以降は年末調整で申告できますが、1年目は確定申告が必要です。
・株取引で損失が出た場合
複数の口座を持っている場合、それぞれで出た損失と利益を通算したり、翌年以降の利益から繰り越して控除することができます。(NISAは対象外です)
・天災や盗難等で被害を受けた場合
この場合は、雑損控除を受けられる可能性があります。雑損控除は確定申告を行わなければ受けることができません。
・年末調整で適用できなかった控除がある場合
年末調整での申告漏れや、年末調整の申告後に新たに適用できる控除が増えた場合は、確定申告をすることで所得税の還付を受けられます。
確定申告は国税庁の様式に沿って確定申告書を作成し、期日までに税務署に提出します。提出先は、確定申告書提出時に住んでいる地域を管轄する税務署で、国税庁のウェブサイトでは自分の郵便番号や住所などから該当する税務署が検索できます。
提出方法は窓口への持参、郵送、インターネットによるe-Taxがあり、現在はスマートフォンとマイナンバーカードがあれば個人でも気軽にe-Taxが利用可能です。
確定申告書は、国税庁のウェブサイトにある「確定申告書等作成コーナー」を活用することで、パソコンやスマートフォンで作成でき、便利です。注意点などを確認した後、トップ画面から作成画面に入り、画面表示に従い数字などを入力していきます。完成した書類はPDF形式でダウンロード可能なので、プリンターで印刷すれば確定申告書として提出できます(e-Taxはインターネットで送信します)。
勤務先に所定の書類を提出する年末調整と比べると、確定申告は自分で必要書類を揃え、確定申告書を作成し、税務署に提出するなど、かなり面倒に感じるかもしれません。しかし、確定申告をせずに適正な額を納付しなかった場合、後からペナルティーが課されて納付額が増えることもあります。確定申告が必要な人は期日までにきちんと申告し、税額を確定させることが大切です。
一方、確定申告をすることで税金が戻る可能性があるケースでは、確定申告をしなくても特にペナルティーはありません。ただ、医療費控除、ふるさと納税などによる寄附金控除、住宅ローン控除、投資に関連した控除など、確定申告により受けられる控除は意外に多いものです。少し手間はかかりますが、こうした機会を活用し、納めすぎた税を還付してもらいましょう。
なお、確定申告をして税金が戻る場合、期日を過ぎて確定申告するときは過去5年分遡ることが可能です。過去に受けられたはずの控除を今から申請することで納めすぎた税金が還付される可能性があります。一度確認してみてはいかがでしょうか?
本記事は2024年8月時点で施行されている法律に基づいて執筆しています。
監修者プロフィール
平野 敦之 | Atsushi Hirano
証券業界・保険業界でのかたちの無いものを売る営業経験から、中小企業の売上アップ、利益拡大に貢献、その企業に関わる人の収入を増やし、その人が自分らしく安心して豊かに暮らしていくためのライフプラン作りを支援する。
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