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社会保障

2024.12

公的な医療保険制度にはどんなものがある?自分の加入する制度も確認

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  • #健康保険

日本は国民全員が公的医療保険に加入する「国民皆保険制度(こくみんかいほけんせいど)」です。勤務先で加入する保険のほかにも、扶養家族、自営業者、75歳以上といった状況に応じて加入する保険が異なる場合があります。どのような人がどのような保険に加入するのか解説します。

対象別に3つの公的医療保険制度がある

日本の「国民皆保険制度」では、就業の有無、勤務形態、年齢などに応じて、「被用者保険」「国民健康保険」「後期高齢者医療制度」のうちいずれかの公的医療保険に加入します。公的医療保険は決められた保険料を払うことで、医療費の総額から原則として3割を負担すればよい、自己負担額のうち所定の限度額を超えた分は負担しなくて済む、などが特徴。また、被用者保険には病気やケガで4日以上会社を休み、十分な給料を受けられない場合に給付される傷病手当金もあります。

一般的に被用者保険の加入手続きは勤務先が行いますが、退職や独立開業などで被用者保険から国民健康保険に移行する場合は、自治体の窓口にて加入者自身が手続きをする必要があります。また、国民健康保険の加入者が就職などで被用者保険に移行する場合も、脱退手続きが必要となります。なお後期高齢者医療制度は、所定の条件を満たしたとき(75歳以上など)本人による手続きは必要なく、自動的に加入となります。

雇用されている人が加入する被用者保険

被用者保険とは、企業や団体などに勤務している人、およびその扶養家族を対象にした医療保険です。勤務先により、会社員は健康保険、船員は船員保険、公務員や私立学校職員は共済保険に加入します。また、加入者の扶養家族で所定の条件を満たす人も同じ被用者保険の対象となり、加入者と同等の給付が受けられます。加入者が払う保険料は扶養家族が増減しても変わりません。

健康保険は、運営主体により全国健康保険協会(協会けんぽ)と健康保険組合(組合健保)に分けられ、前者は主に中小企業の従業員とその家族が加入し、後者は主に大企業やそのグループ企業の従業員とその家族が加入しています。

船員保険は、自宅から長期間離れ、孤立した船内で作業するといった船員の業務の特殊性を踏まえ、給付が手厚い点などが特徴です。

共済保険は、共済組合または共済制度による医療保険。主に、国家公務員や地方公務員、私立学校職員が利用します。保険給付などは健康保険と大きな違いはありません。

自営業者などが加入する国民健康保険

国民健康保険は、日本国内に住所がある75歳未満の人で、被用者保険などほかの公的医療保険の対象ではない人が加入する医療保険です。例えば自営業の人、農林水産業に従事する人(被雇用者を除く)、退職した人やパート・アルバイトなどで勤務先の健康保険の対象外になる人などです。

国民健康保険は加入者一人ひとりに対する保険で、被用者保険のように扶養家族をまとめて対象にはできません。そのため、家族を扶養している人が国民健康保険に加入した場合、扶養される家族もそれぞれ国民健康保険などの公的医療保険に加入する必要があります。

ただし、国民健康保険の保険料は家族分もまとめて世帯主あてに請求されます。世帯主が被用者保険の加入者でも、家族の誰かが国民健康保険に加入していれば、その保険料は世帯主あてに請求されます。

このほか、日本に3ヵ月以上滞在する予定で居住する市区町村役所で住民登録をした留学生も国民健康保険の対象となります。一人暮らしの学生も住民票の場所やアルバイトの収入額などによっては扶養家族から外れ、国民健康保険への加入が必要な場合があります。

■被用者保険と国民健康保険の保障内容と違い
被用者保険 国民健康保険
加入対象者 企業や団体などに勤務している人、およびその扶養家族 日本国内に住所がある75歳未満の人で、被用者保険などほかの公的医療保険の対象ではない人
治療費の自己負担 義務教育就学前…2割
義務教育就学以降70歳未満…3割
70歳以上75歳未満…2割(現役並み所得者は3割)
高額療養費 同一月(1日から月末まで)にかかった医療費の自己負担額が高額になった場合、一定の金額を超えた分があとで払い戻される制度。自己負担限度額は年齢及び所得状況等により異なる。
出産育児一時金 1児につき50万円(諸条件がありますのでご注意ください)
傷病手当金 被保険者が病気やケガのために働くことができず、連続して3日間以上会社を休んだとき、4日目から、1日につき標準報酬日額の2/3が支給される。支給期間は、支給を開始した日から通算して1年6カ月まで。 なし
出産手当金 出産のため会社を休み、事業主から報酬が受けられないとき、産前42日目(多胎妊娠の場合は96日目)から産後56日目までの期間、1日につき標準報酬日額の2/3が支給される。 なし
死亡時 埋葬料5万円が支給される 葬祭費が支給される(金額は各自治体による)

75歳以上は全員が加入する後期高齢者医療制度

75歳以上の後期高齢者、また65歳から74歳までで一定の障害の状態にあると後期高齢者医療広域連合から認定を受けた高齢者が加入する医療保険です。それまでに加入していた公的医療保険にかかわらず、この制度の対象になった人は全員が自動的に加入となります。ほかの医療保険では医療費の自己負担額が3割なのに対し、後期高齢者医療制度では75歳以上の自己負担額は原則1割に軽減され、一定の所得がある人は2割または3割負担となります。

なお、後期高齢者医療制度は加入者一人ひとりに対する保険のため、被用者保険では加入対象だった扶養家族も別途、国民健康保険などの公的医療保険に加入する必要があります。

まとめ

3つに大別される日本の公的医療保険ですが、病気やケガに備えて保険料を支払い、実際に病院窓口などで医療費を支払う場合には自己負担額が軽減されるという特徴は共通しています。また、医療費が自己負担額を超えた場合に、超えた分の金額が公的医療保険から支給される高額療養費制度といったものがあります。ただし、自分で手続きしないと適用されないので、事前に調べておきましょう。

なお、加入する医療保険によっては保険料や給付内容の一部に違いがあります。必要なときに活用できるよう、自分が加入している医療保険の特徴や給付内容を知っておくといいでしょう。

監修者プロフィール

福一 由紀 | Yuki Fukuichi

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