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住宅
2025.09
9月1日の「防災の日」をきっかけに、災害への備えを見直したご家庭も多いのではないでしょうか。災害はいつ起きるかわからないため、日ごろからの備えが大切です。
大規模な災害が起きた際に大きな懸念点となるのは、我々の生活に欠かせない要素である「衣・食・住」が乱れることです。そんなときに、キャンプのスキルは「衣・食・住」それぞれに活かすことができ、被災の生活のストレスを最小限に抑えられるでしょう。
本記事では、キャンプを通じて学べる防災知識を紹介します。キャンプを趣味で楽しまれている方はもちろん、キャンプ初心者の方でも実践できる内容を厳選しているため、ぜひ参考にしてみてください。

災害発生時には自宅が無事だったとしても、電気や水道が長期間停止する可能性が高くなります。それに伴って、衛生環境の悪化、体力の消耗、病気の発症などさまざまな困難が引き起こされます。
被害を受けた家の状態によっては避難所で過ごすケースもありますが、地域の避難所には収容人数の制限があり、災害の規模次第では避難してくるすべての人を受け入れられないこともあります。その場合、倒壊や火災の危険性がない限りは自宅で過ごすケースが多いため、自宅での避難生活の準備が重要です。道路の寸断や物流の混乱により、救援物資が被災地に到着するまでには最低でも3日間、場合によっては1週間以上かかることもあります。
また、救援チームが到着し、支援体制が整うまでの期間は各自が自力で食料や飲料水、衣類、そして安全な避難場所を確保しなければいけません。停電や断水という状況でも、最低限の生活を維持できるよう、日ごろから災害時に必要な知識とスキルを習得し、準備を整えておく必要があります。

キャンプのスキルやキャンプ用品は、災害時の非常事態でも大きな助けとなります。調理や防寒対策など、キャンプの経験と道具を活用すれば、災害時の困難な状況に役立てられるかもしれません。
ここでは、災害時に役立つキャンプスキルやキャンプ道具について、具体的な活用方法を紹介します。避難所はもちろん、停電・断水した自宅でも活用できる内容であるため、ぜひ参考にしてみてください。
災害時に一番困るのがトイレです。停電や断水によって水を流せなくなるため、トイレが使用できません。トイレが使用できないと、臭いの問題や、衛生環境の悪化による感染症のリスクなどが発生します。
そのため、災害時の備えとして、防災用トイレを用意しておくとよいでしょう。人数分×一日の排泄回数分×日数分あれば災害時でも安心して過ごせます。たとえば、4人家族で一日の排泄回数を5回とすると、1週間分の必要数は、4人×5回×7日間=140個となります。
自宅に備えておくほか、非常用持ち出し袋や車にもいくらか常備しておくと、いざという時に役に立つでしょう。
防災用トイレがない場合は市販のごみ袋を便器にかぶせ、凝固剤を投入することで簡易的なトイレを作れます。

ごみ袋は、100円ショップのものでも大丈夫です。凝固剤がない場合は、新聞紙やペットシーツでも代用できます。使用後は袋をしっかりと密閉し、燃えるごみとして処分するだけで済むため、衛生的で簡単です。
防災用のごみ袋と凝固剤には消臭機能が備わっているものもあり、室内での使用時も不快な臭いの心配がありません。可能であれば準備しておくとなおよいでしょう。
寒い時期に起きた災害では低体温症のリスクが高まるため、冷気対策が重要です。電気が止まって暖房器具が使えなかったり、あたたかい食事がなかなかとれず、体温が下がりがちになったりすることが想定されます。また、避難所で過ごす場合は、限られた寝袋や毛布などで暖をとることになります。冷気対策には、身近にあるマットや段ボール、新聞紙などの活用が効果的です。
マットや段ボールは地面からの冷気を遮断する性質があり、特に就寝時に地面に敷くと体温の低下を防げます。

さらに段ボールの下に緩衝材や、キャンプ用の銀マット、テント用シートなどを敷くと、さらに断熱効果が高まります。自宅で過ごし普段の寝具で就寝する場合でも、寒さ対策として非常に効果があります。自宅で過ごすものの寝具が足りない場合の代用にもなるでしょう。
災害時は、体が疲弊するため睡眠が何よりも重要です。睡眠不足は体の回復力を下げ、心身の健康に悪影響を与えます。寒さ対策をして、十分な睡眠がとれるようにしましょう。また、寒さだけでなく、周りの音やストレスによって眠れない場合は、アイマスクや耳栓がおすすめです。光と音の刺激を軽減すると、安眠につながりやすくなります。
寒さ対策としては、新聞紙も有効活用できます。新聞紙は薄くても優れた保温効果があり、体に直接巻くだけで体温を維持しやすいです。新聞紙を体に巻く際は、一度くしゃくしゃにしてから広げて巻くと紙の間に空気の層が生まれ、より高い保温効果を得られます 。丸めた新聞紙で寝袋の隙間を埋めることでも、保温効果を高めることができます。

災害時、寒さをしのぎたい場合や寒さで眠れない場合は、段ボールや新聞紙を活用してみてください。
調理器具が必要なときは、アルミホイルが万能です。料理の下準備から調理、保存までさまざまな場面で代用できます。アルミホイルを数枚重ねて火にかければ、簡単な焼き物や蒸し物の調理が可能です。ただし、焦げ付きやすいため注意しましょう。
お皿が足りないときは、アルミホイルの端を折り曲げてお皿の形にすると、食器としても使えます。
使用済みのアルミホイルを丸めて固めれば、食器洗い用のたわしとしても代用可能です。
自宅の電気やガスが止まっている場合、カセットコンロがあれば調理ができるので、用意しておくとよいでしょう。鍋とポリ袋があれば、以下のやり方でご飯(1合分)を炊くことも可能です。

沸騰させる水は、生活用水を使用することで飲料水を節約できます。
また、ポリ袋があればカレーやチャーハンの調理もでき、袋の中に材料を入れて鍋で沸騰させるだけで作れます。調理器具も最小限で済み、後片付けも簡単です。
ただし、ポリ袋は鍋の金属部分に触れると溶解する可能性があるため、耐熱表示のあるものが推奨されます。また、調理不可のポリ袋もあるので、選ぶ際は耐熱表示があり、なおかつ調理可となっているものを選びましょう。このようなポリ袋は、コンビニやスーパーなどでも購入できます。
食器を汚したくない場合は、食器の上にラップを敷くと洗う手間を省けます。

同じ食器を繰り返し使用でき、清潔さを保てるうえ、洗う回数を減らし貴重な水の使用も抑えられるため、災害時はとても有効です。
災害時は、停電に備えて懐中電灯やランタンを用意しましょう。電気が使えないと、夜は真っ暗なためライトが不可欠です。ただし、懐中電灯やランタンをつけても、ある一面しか明るくならないため調理や読書などをする際、不便な場合があります。
懐中電灯やランタンをより明るくするために、レジ袋を被せたり、水入りペットボトルに当てたりする方法があります。光が広く均等に広がり、周囲全体をより明るくすることが可能です。夜間、明るさが必要な場合におすすめです。

キャンプは、楽しむことはもちろん、災害時に役立つスキルを学べる機会でもあります。野外での調理の仕方や少ない道具で生活する方法など、キャンプのスキルは災害時に家族や周囲の人々を守る力となるでしょう。
普段キャンプをしない方も、災害への備えとして覚えておくと役に立ちます。あわせて、自宅の防災備品や非常用持ち出し袋の中身を見直し、災害時の行動について家族で確認しておくと、いざという時に慌てることなく適切な行動をとることができるでしょう。

監修者プロフィール
和田 隆昌 | Takamasa Wada
災害危機管理アドバイザー。感染症で生死をさまよった経験から「防災士」資格を取り、自治体や企業の災害対策コンテンツを作成。専門誌編集長を歴任。アウトドア、サバイバル術も得意。
書籍出版、講演会、各種セミナー、TVなど数多くの場で情報発信を行っている。
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