- 「見る」「動きをとらえる」「違いを
見分ける(目利き)」の3つの働きを担う
- 人の顔が思い出せない
- 周囲の変化や違いに気づきにくい
- 目の前にあるのに探す
- 遠くの景色を見る
- 絵画や写真を楽しむ
- お洒落を楽しむ
「立ち上がった瞬間、何をしようとしていたか忘れた」「会議中に言葉が出てこない」……。それは脳の劣化の始まりかもしれません。今、ビジネスパーソンの脳で何が起こっているのか、劣化を防ぐために何ができるのか、脳研究のスペシャリストに聞きました。
加藤俊徳(かとう・としのり)先生
医学博士、「脳の学校」代表
加藤俊徳(かとう・としのり)先生
医学博士
「脳の学校」代表
昭和大学客員教授。米国ミネソタ大学放射線科MR研究センターでアルツハイマー病や脳画像の研究に従事。帰国後、脳の学校、加藤プラチナクリニックを開設。胎児から高齢者まで1万人以上のMRI脳画像を分析し、独自の脳画像診断法を開発し、発達障害や認知症予防のために薬だけに頼らない脳の処方箋を実施。『脳が知っている 怒らないコツ』(かんき出版)など著書多数。
今企業では、業務の効率化を図るために仕事の細分化が進んでいます。業務内容が固定化されると、毎日同じことの繰り返しになり、仕事はマンネリ化。脳は一部の機能だけを酷使し、使われない脳の機能はどんどん劣化していきます。
もう一つの心配事は、IT化です。もはやPCやスマートフォンがなければ暮らせない時代。でも頼りすぎていたら要注意! 頭も体も使わない暮らしで、脳の劣化は進んでいます。
「一定の年齢を超えたら、脳は衰える一方だ」と考える人もいるでしょう。しかし最近の研究で、脳は鍛えれば一生成長を続けるということが分かってきました。80歳の男性が新しく趣味などを始め、1年後にMRIで脳の変化を診断すると、小学1年生が2年生になったときぐらいに脳がめざましく成長していたという例もあります。
たしかに脳の神経細胞は年齢とともに減少しますが、人生経験を積むことで脳神経細胞同士のネットワークは広がり、密になります。このネットワークを強化していくことが、脳の成長につながります。そのためには、脳の機能をまんべんなく使うことが必要です。
脳は場所によって、担っている機能が異なります。脳には1,000億個を超える神経細胞があり、「記憶する」「理解する」など、同じような働きをする細胞が集まって「脳細胞グループ」を作っています。そのグループを「脳番地」と呼びます。
脳番地は大きく分けて8つ。どの脳番地が発達しているか、していないかは、その人の暮らし方や考え方、行動パターンによって異なってきます。よく使う脳番地は発達していますが、使っていない脳番地は発達していません。裏返せば、使っていない脳番地も使えばどんどん発達するということです。
では、あなたの脳の状態を簡単なチェックシートを用いて調べてみましょう。
当てはまる項目のをクリックしてチェックをつけてください。
当てはまる項目のをタップしてチェックをつけてください。
チェックがついた項目は右側の番号がついた脳番地が弱っていたり、疲れているかもしれません。自分はどの脳番地が弱いのかを知って、意識して鍛えていきましょう。
*「脳番地」は脳の学校の登録商標です(商標登録第5056139/第5264859)。
特に努力をしなければ、50歳頃から脳は老化します。50歳になったとき、自分の脳が生き生きしているか、衰えているかは、30〜40代の使い方次第。若い頃から脳の機能をまんべんなく刺激していきましょう。
仕事でさまざまな経験を積むことで、脳はたくさんの刺激を受けます。一方で、「指示待ち」「合わない上司とは関わらない」といった人も。イヤイヤ仕事をしていると脳の働きは鈍くなります。自分から学ぶ姿勢を持ちましょう。家庭を持っている人は、帰宅後や週末に家事や育児をすることで、脳の柔軟性を育てましょう。
仕事の専門化とともに、脳のマンネリ化が進む時期。帰宅後も仕事モードから切り替えられず、脳に疲れがたまるので、意識して休ませることが大切。自分なりのリフレッシュの方法を見つけましょう。また、転勤や昇進、転職といった変化があり脳の刺激も多い年代。臆せず挑戦して、変化の波に乗っていきましょう。
ますます業務が専門化し、組織に染まっていく年代。一方で中間管理職を任され、部下を持ち、仕事項目が増えて手一杯となり、脳はフル回転。家族や健康、自分の夢などその他のことを考える「余白」がなくなります。あえて雑用をするなど、脳を休ませつつ、余白を意識した行動が必要です。
男性は40代後半で、気力・体力の衰えが顕著になります。45歳からは、あらためて「自己発見」するとき。この機会に定年後をイメージして目標を定めておきましょう。新しい分野に挑戦するもよし、若い頃の夢に再挑戦するもよし。リミッターを外して、柔軟に考えることで、脳はまだまだ成長します。若い頃には無駄だと思っていたことにも目を向けましょう。
家庭が中心の女性は、日々の家事や子育て、親の介護に追われて、目の前のことを「こなしている」だけの状態になりがちです。いつも「〜をしなければ」と考えているので、思考系脳番地は動いているものの、ゆっくり理解する(理解系脳番地)、新しい情報を蓄積する(記憶系脳番地)、ワクワクする(感情系脳番地)ことが乏しくなります。その結果、子育てや介護が一段落した途端、燃え尽きてぼーっとしてしまうことも。
仕事を持つ女性は、家事や育児も同時進行で脳の使い方に幅があります。専業主婦の方はさまざまな脳の機能を活性化させるために、習い事や地域の活動に参加するなど、外に出て活動するチャンスを作りましょう。