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新しい検査法も!「アレルギー性接触皮膚炎」対策

皮膚が赤くなったりかゆくなったりする「かぶれ(接触皮膚炎)」。特定の物質が触れることで起こり、紫外線や花粉症との合併で増えやすいこともわかっています。なかには思ってもみないものが原因だったり、触れていない体の箇所に異常が起こったりすることも。長引いたり、広がったりした場合、自己判断でのケアは逆効果の恐れもあります。暖かくなってくるこの時期にこそ注意したい、接触皮膚炎の原因や、受診すべき症状・原因を一度に調べられる新しい検査法などについて、皮膚科専門医に伺いました。

関東 裕美(かんとう ひろみ)先生
教えてくれた人

東邦大学医療センター大森病院 皮膚科 臨床教授
関東 裕美(かんとう ひろみ)先生

日本皮膚科学会 専門医。特に接触皮膚炎、アトピー性皮膚炎の診断、治療に定評があり、所属する東邦大学医療センター接触皮膚炎外来において、年間200例以上の接触皮膚炎診療を行う。なかでも化粧品による皮膚炎の診療数は関東随一。

強まる紫外線やストレスが「かぶれ」の引き金に!?

かぶれ(接触皮膚炎)とは、原因となる物質が接することで起こる皮膚の異常で、「ぶつぶつ」「赤い班」「腫れ」などが代表的な自覚症状です。「刺激によるもの(刺激性接触皮膚炎)」と「アレルギーによるもの(アレルギー性接触皮膚炎)」に大別され、皮膚のコンディションが悪いときや、体の抵抗力(免疫機能)が低下したときに起こりやすくなります。

このうちとくに春、要注意なのがアレルギー性接触皮膚炎。紫外線や花粉などで皮膚状態が不安定になりがちなのに加え、異動・転勤等、環境や人間関係の変化によりストレスや疲れを溜め、免疫機能を落としやすいことが原因です。

また、一生の間でもリスクの高い時期があります。たとえば男女ともに「更年期」。男性でも個人差はあるものの、50歳前後から男性ホルモンが減少することがわかっており、免疫機能に影響します。また、高齢になると皮膚のバリアを作る皮脂が少なくなることや、長く生きていることで種々の化学物質に触れる頻度や時間が長くなることにより、アレルギーを起こすリスクも高くなります。今まで何ともなかったのに突然異常が、ということも珍しくありません。

接触皮膚炎の分類

刺激性接触皮膚炎

ある物質がもともと皮膚に障害を起こす性質を持っているために起こり、物質の濃度や接触している時間などの条件がそろえば、誰にでも起きる可能性があります。
症状の主な特徴:しみる、触れたところのみ異常が出る。

アレルギー性接触皮膚炎

化学物質が繰り返し皮膚に接触するうち、皮膚から吸収される化学物質と人のタンパク質が結合してアレルゲン(アレルギーの原因物質)になります。その情報を血液中のリンパ球が「異物」と認識し(感作という)、排除するため過剰に反応した結果、皮膚に生じるかゆみや赤み、腫れなどの皮膚炎をアレルギー性接触皮膚炎といいます。
同じ物質に触れても人によって発症しないこともありますが、ひとたび症状が出ると、接触により必ず皮膚炎を発症します。ある物質に触れ、かつ紫外線を浴びて起こるものもあります(光アレルギー性接触皮膚炎)。
症状の主な特徴:時間の経過とともに広がっていく、触れていない場所にも異常が出る。

図 アレルギー性接触皮膚炎の仕組み

アレルギー性接触皮膚炎の仕組み

※マクロファージ(免疫細胞の一種)

※ヒスタミン(化学物質の一種)

イラスト出典:第一三共ヘルスケア「くすりと健康の情報局

ヘアケア剤や日焼け止めも!意外な原因と生活習慣の落とし穴

アレルギー性接触皮膚炎の原因となる物質は多岐にわたり、人によって異なります。日常生活でなじみのあるもののなかで多いのは化粧品。男性でも使うことが多いヘアクリームやヘアワックス、ニキビ対策用の化粧品や日焼け止め、美白美容液などが原因になっているケースがよく見られます。

また、歯の治療で詰めた金属が、細菌感染や炎症、虫歯になることで腐食し溶け出して口内炎を起こしたり、口の中の違和感や味覚異常を起こすこともあります。汗ばむ季節には、ベルトのバックルや指輪といった装身具の金属が汗でイオン化され、それが汗の成分に含まれると、脇の下や股などに発疹が広がるなど、症状が全身に及ぶ場合もあります。

ほかには、普段何げなく行っている生活習慣のうち、とくに洗浄習慣が皮膚にダメージを与えて発症リスクを高めてしまう場合もあります。二大NGは顔の洗い過ぎとこすり過ぎ。いずれも皮膚表面を保護する膜を過剰に取ってしまい、バリア機能を弱め、抵抗力のない皮膚を作ってしまうことに。昔はいわゆる脂性肌で顔がてかてかしていた、という人でも加齢とともに皮脂分泌は少なくなってくるものです。

女性は40代から、男性でも60代以降では皮脂分泌が低下し乾燥が進む「皮脂欠乏症」が増えてきます。若いころと同じ洗顔方法を続けていると、花粉が皮膚に接触することによって生じる、花粉皮膚炎を起こしてしまったり、化粧品による刺激を感じやすい肌にしてしまっていることも心配されます。

働き盛り世代のアレルギー性接触皮膚炎患者に多く見られる原因物質の例

  • ヘアクリーム
  • ヘアワックス
  • 染毛剤
  • 化粧品(日焼け止め、ニキビ対策化粧品等)
  • ゴム製品
  • アクセサリー(指輪、ピアス等)
  • ベルトのバックル
  • 歯科金属など

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持病の薬がきっかけになることも

よく知られているものにはサイアザイドという利尿薬が配合された降圧剤(高血圧の薬)やケトプロフェン湿布剤などがあります。こうした薬に関しては、使用中に紫外線を過剰に浴びないなどの留意点があり、処方時に医師や薬剤師から説明がありますが、もし異常が出たら医療機関に相談することが大切です。

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こんなときは専門医へ 一度にアレルギーの原因を調べられる新しい検査法も

アレルギー性接触皮膚炎はひとたび症状が出ると、一生にわたり、同じ物質に接触するたびに症状を繰り返します。したがって原因物質を突き止めそれに触れないようにすることが何よりの対策・治療につながります。

しかし、自己判断は非常に困難。症状が出てもそれが何で起こっているのかわからず、医療機関で検査して初めて、思いもよらぬものが原因だったと判明するケースがとても多いのです。

ただのかゆみだ、あるいは水虫かも、などと思い込んで市販薬を塗っていたら、その薬の成分でさらにかぶれてしまった、というケースも珍しくありません。

なんだかよくわからない

なかなか治らない

広がっていく

など、原因のわからない赤みや腫れは早めに受診することをおすすめします。

とくにアレルギー性接触皮膚炎の場合、症状を繰り返さないためには、原因物質を的確に絞り込むことが大切です。それにはパッチテスト(原因と思われる物質を少量塗布しその反応によって判定するテスト)の実施数が多い皮膚科専門医を選ぶのが賢明です。専門医は日本皮膚科学会のHPで検索可能です。

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“パッチテストパネル”で一気に原因を調べることが可能に

一気に原因物質を調べられ、過去の感作、現在の感作、今後予想されるアレルギー反応などについても検査結果から推定できることが大きなメリットで、治療につながり患者の生活指導に欠かせないものです。

ただし、検査結果の読み取りやその判断は医師の力量にかかっていることも事実です。また問題点としては、この検査により、弱い感作であった反応が強化されてしまう可能性もあるので、実施すべきかどうかは専門医による慎重な判断が必要です。

ただ、有効であると科学的に証明されている治療法を行っても効果が見られなかったり、だんだんとその効果が減弱し再発してしまい、慢性的に湿疹の症状が続いていて、生活環境に増悪因子があるかもしれないと悩んでいる患者さんにとっては、解決への糸口になるのでは、と期待が持たれる検査ではあります。

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アレルギー性皮膚疾患検査薬
「パッチテストパネルⓇ(S)」
(発売元:佐藤製薬株式会社)

使用方法

パネル1組(2枚)を背中上部に貼付。48時間後に剥がし、皮膚に出た反応から判定し、経時的に観察していく。

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費用は保険適用で5,810円(3割負担の場合)。初診料や再診料、薬剤処方料などは別途。(2019年1月時点)

※掲載内容は2019年3月1日時点の情報に基づく
取材協力・監修/関東 裕美(東邦大学医療センター大森病院 皮膚科 臨床教授)
取材・文/渡邉 真由美