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正しく知ることが大切「大腸ポリープ」は早めの処置を

「のどにポリープができた」、「胃にポリープがある」など、比較的よく耳にするポリープという言葉。でもそれがどのようなものか、知っているようで知らないという人も意外に多いのではないでしょうか。実は大腸にできる「大腸ポリープ」の中には、将来がんになる可能性のあるものも。それを早期のうちに見つける有効な方法が大腸内視鏡検査です。大腸がん対策のためにも知っておきたいポリープと内視鏡検査について、専門医が解説します。

松生 恒夫(まついけ つねお)先生
教えてくれた人

松生クリニック院長
松生 恒夫(まついけ つねお)先生

日本消化器内視鏡学会専門医・指導医。東京慈恵会医科大学卒業後、同大学第三病院内科、松島病院大腸肛門病センター 診療部長を経て2003年より現職。今までに5万件を超える大腸内視鏡検査を実施。大腸疾患を生活習慣病としてとらえ、食事や漢方、ストレスマネージメント等の生活指導も定評あり。『内視鏡の名医が教える 大腸健康法』(二見レインボー文庫)等、著書・共著多数。

40歳から増え始め、
大きいものはがん化の可能性が

ポリープとは、「隆起(盛り上がっている)している病変」の総称です。のどや胃、子宮などさまざまな場所にできますが、その中で大腸の粘膜にできるのが大腸ポリープです。
大腸ポリープは大きく次の3つに分けられます。

  • 強い炎症の後にできる「炎症性ポリープ」
  • 組織の良性な変化でできる「過形成ポリープ」
  • 腫瘍性(なんらかの原因で形や性質などが異なる細胞が過剰に増えてできる)の「腺腫性ポリープ」

ポリープ自体はありふれたものであり、加齢による組織の自然な老化でできるものもあります。上のうちは、よほど大きいなどの異常な所見がない限り、ほとんどの場合がん化の心配はありません。

しかしのタイプの中には、大きくなるとがん化する可能性があるものもあるので、注意が必要です。しかもこのタイプは検査で見つかる大腸ポリープの約8割を占めています。そして大腸がんの多くが、このタイプから発生するといわれています。

すべての腺腫が必ずがん化するわけではありませんが、一般的に、直径1cmを超えた腺腫には、がん細胞が含まれている可能性が大きいとされています。このため、ポリープはよくあることだから、と見過ごしてしまうのは危険なのです。

40歳未満とそれ以上とでは、腺腫性ポリープの発見率が後者で約2倍も多いという調査結果もあります。40歳を過ぎたら大腸がんのリスクを意識する必要があるといえるでしょう。

がんの早期発見に有効な
「大腸内視鏡検査」

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大腸は、小腸に近い方から上行結腸、横行結腸、下行結腸、S状結腸、直腸といくつかの部位に分けられ、成人で1.6m程度の長さがあります。大腸がんはこのうち特にS状結腸や直腸にできやすく、腺腫性ポリープも同様にこれらの部位に多いといわれています。

ポリープ自体に痛みはなく、外からしこりが触れるようなこともありません。出血も、直腸にできたポリープではそれが異変のサインになる場合もありますが、必ずあるとは限りません。S状結腸など、奥の方にできたポリープは初期ではまず自覚症状がありません。

腸の内部を調べるにはX線やCTなどを使った画像検査もありますが、直接、腸の中を見ることはできないので小さな病変は見つかりにくいなどの限界があります。唯一、腸内を直接観察できる検査が「大腸内視鏡検査」なのです。

大腸内視鏡検査の流れ

検査前日
  • ・夜9時までに夕食をすませる。
  • ・あらかじめ処方される下剤を服用する
    (服用しない施設もあります)
当日
  • ・朝食はとらない
  • ・施設で検査着に着替え、下剤を服用し排便する
  • ・検査用ストレッチャーに横向きに寝る
  • ・鎮痛剤、鎮静剤を注射(使用しない施設もあります)
  • ・検査終了後、30分程度休息
  • ・当日または日を改めて、医師より検査結果の説明を受ける

大腸内視鏡検査では、直径約1㎝、長さ1.4mほどの細いチューブの先に内視鏡のついた専用の検査機器を大腸の奥、状況によっては小腸の一部まで挿入し内壁をモニターに映し出します。小さな病変の発見にすぐれている一方、機器による穿孔リスク(腸壁に穴があく)もわずかながら存在します。熟達した医師のもとで受けることと、個人の腸の状態によってもリスク度合いは違うので事前によく説明を受けることが大切です。

なお、検査費用の目安は保険適用で6,000~7,000円(3割負担)です。

大腸の各部位の名称

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疑わしいポリープは、
その場で切除し、検査へ

大腸内視鏡検査でポリープが見つかった場合、その場で切除が可能です。国内外の多くの研究や調査で、ポリープを切除した人は切除しなかった人に比べ、大腸がんの発生率が低くなるとの報告があります。

一般的に、5mmより大きい腺腫は、がんの可能性があるため切除・検査の対象になります。切除法は、ポリープの形状等によりおもに次の3つがあります。

ポリペクトミー

スネアという金属性の輪をポリープの茎(付け根)にかけて、高周波電流を流し切除。茎のある形のポリープに使われる。

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EMR

粘膜の下に薬液を注入し、病変部分を浮かせてからスネアをかけて切除。茎のない平坦な形のポリープに使われる。

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ESD

粘膜の下に薬液を注入し、電気メスで病変の周囲の粘膜を切開し、病変をはがしとるようにして切除。大きな病変や、EMRで病変が浮き上がらないときなどに使われる。

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なお、大腸内視鏡検査で見つかる病気はほかにも潰瘍性大腸炎、クローン病、腸管ベーチェット病といった厚生労働省の特定疾患(難病)、大腸の血管が動脈硬化などを背景に大腸の血管が詰まる虚血性大腸炎、腸の癒着など多岐にわたります。次のような症状がある人は、早めに大腸内視鏡検査の実績豊富な消化器科を受診することをおすすめします。

思い当たる症状があったら、消化器科へ

よく便秘になる。ここ最近、便秘が続く

下痢と便秘を繰り返す

便が細い

ときどき腹痛がある

お腹の張りをよく感じる

血便がある

便潜血検査(大腸がん検査)で陽性だった

健康診断で貧血といわれた

血縁者(3親等以内)に大腸がんの人がいる

掲載内容は2020年6月1日時点の情報に基づく
取材協力・監修/松生 恒夫(松生クリニック 院長)
取材・文/福田(渡邉)真由美
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