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リモートワークで急増?「首の痛み」を3分で軽くするセルフケア

首が痛むと頭痛や肩こり、腕の痛みなどにも波及しやすく、仕事能率もダウンしがちです。その原因のほとんどは姿勢の悪さにあります。特に昨今、リモートワークが続き、首の痛みを訴える人が増えているとも……。リモートワークで気をつけるべき姿勢・動作のポイントや、効果的なケア法を専門医に伺いました。

銅冶 英雄(どうや ひでお)院長
教えてくれた人

お茶の水整形外科 機能リハビリテーションクリニック
銅冶 英雄(どうや ひでお)院長

日本整形外科学会専門医、認定脊椎脊髄病医。日本医科大学卒業後、千葉大学附属病院・国立がんセンター中央病院等での研修、米国留学等を経て2010年より現職。自身が20代から腰痛を繰り返し、克服した経験から、運動療法を中心として、体の痛みを根本的に治す医療を実践。今年に入り、理学療法士や作業療法士がマンツーマンで体操を指導する、日本初のオンラインリハビリをスタート。『頸椎症を自分で治す!』(主婦の友社)など著書多数。

猫背、のぞきこみ、あごの突き出し……。
リモートでありがちな“悪い姿勢”が
首にダメージ

首は、成人で約5㎏もある頭を支えています。その屋台骨が「頸椎」と呼ばれる首の骨。小さな7つの骨が重なり、それぞれの骨の間にはクッションの役目を果たす椎間板という軟骨があります。

何らかの要因で首に負担がかかると、椎間板の中にある髄核というゼラチン状の組織がずれて変形のもとになります。痛みの原因は、その変形により周囲の組織が損傷を受け、神経を圧迫することによると考えられています。

クッションの役割を果たす椎間板が変形し、脊髄や脊髄から手足等へと伸びる神経を圧迫すると痛みやしびれが起こると考えられている。

首への負担による痛みのほとんどは悪い姿勢によるものとされます。特にリモートワークでは、オフィスほど仕事環境が整っているとは言えず、知らぬ間に姿勢が崩れがちです。次の項目に1つでも思い当たることがあったら要注意です。

リモートでありがちな、悪い姿勢を招くワークスタイル

ノートパソコンやタブレットで
下を向きっぱなし

体が沈むソファに座る

パソコンをローテーブルに置く

床にあぐらや横座りしてパソコン操作

机やいすの高さが合わず、画面をのぞきこむ

いずれも猫背になりやすい上、あごを突き出す格好になりやすいため、頸椎やその下に続く脊椎がゆがむもとに。椎間板がつぶれるなどで痛みを引き起こします。

休憩時間に3分! 首の痛み改善体操

首の痛みをラクにするには、あごを突き出すなど首に負担をかけている悪い姿勢を意識して“リセット”することが大切です。そこでおすすめなのが「首引き体操」。痛みのもとになっていると考えられる椎間板の中の髄核のズレを直すのに有効で、大半の人はこの体操だけで、痛みの軽減が期待できます。

たった3分の簡単な体操ですが、毎日続けることが大切です。

首引き体操のやり方
顔を正面に向け、背筋を伸ばして真っ直ぐ立つ。壁を背にして、肩甲骨上部と壁の間に折り畳んだバスタオルを挟む(弾力のある硬式テニスボールを使ってもよい)。
真っ直ぐ前を向いたまま、顎をグッと引き、
その状態を2秒キープする。

10回を1セットとして、1日3セット~痛みの強い場合は6セットを目安に無理のない範囲で行いましょう。

次の場合は体操を続けずに、整形外科を受診しましょう。

首引き体操を行って痛みが増す場合
(その人の頸椎の変形が体操に合っていないと考えられるため)

手や腕に痛みやしびれがある
(症状が進んで首を通る神経に影響が出ており、体操だけでは効果が期待できないため)

足の方までしびれや痛みがある、尿が出にくい症状がある
(同上)

めまい、頭痛、吐き気がある
(メニエール病など、首の痛みを起こす他の病気の可能性があるため)

“首をいたわる”仕事&日常生活の
ポイント

痛みを引き起こす悪い姿勢をとらないようにすることが何より大切です。とりわけ仕事においては、猫背に気をつけていても「あごの突き出し」はノーチェックになりがちです。まずは机や椅子の高さを見直し、パソコン画面の位置を調整しましょう。背すじを伸ばして座ったとき、視線と同じ高さに画面中央がくるのがベストです。

前項で挙げたとおり、低くて柔らかく、体が沈むようなソファは仕事には不向きです。ダイニングセットの椅子のような、仕事仕様ではない椅子であっても、高さが合えば首への負担を軽減できます。

仕事以外では、睡眠時の枕も大事。横向きになったり寝返りをうったりしたときにも首を支えてくれるものを選びましょう。タオルを重ねて自分に合った高さにする手作り枕もおすすめです。

手作り枕の作り方
センターのタオルの厚みは、あおむけで楽な高さ(3~10cm)に合わせる。
左右のタオルを10~15cmに調整し、横向きの際に首が側屈するのを防ぐ。
バスタオルは、あおむけで首を支えるために
直径5~8cmに丸める。

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外出するときは、ショルダーより手提げを!

ショルダーは片方の肩に重みがかかるので首も傾いてしまい、頸椎に負担がかかります。斜め掛けにしても、荷物の重みが左右どちらかにかかることに変わりはありません。これに対し手提げタイプのバッグは、ショルダーよりも頸椎への影響は少なくてすみます。腕に力を入れて、肩が傾かないようにするのがポイントです。なお、もっとも頸椎に負担をかけないのはカート(キャリーバッグ)。特に重いものを運ぶときにはカートを使うのが賢い選択です。

掲載内容は2020年9月1日時点の情報に基づく
取材協力・監修/銅冶 英雄(お茶の水整形外科 機能リハビリテーションクリニック 院長)
取材・文/福田(渡邉)真由美
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