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病気の予防

2024.09

自覚症状が少ないので注意!「生活習慣病」のリスクと予防法

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忙しい毎日に追われているうちに生活習慣が乱れてしまったという方はいませんか?生活習慣が乱れた状態が続くことによって引き起こされる「生活習慣病」は、自覚症状が少ないため“サイレントキラー”と呼ばれています。さらに、そのまま放っておくと心筋梗塞や脳卒中など、命に関わる疾患にもつながりかねません。そこで今回は、医師の清益功浩先生に「生活習慣病」のリスクと予防方法についてお話を伺いました。

掲載日:2022年05月
更新日:2024年09月

「生活習慣病」ってどんな病気?

「生活習慣病」とは、食事や運動、飲酒、喫煙など、日頃の生活習慣が発症や進行に深く関わる疾患群の総称。もともとは「成人病」と呼ばれていましたが、成人でなくても発症する可能性もあり、生活習慣を改善することで予防が見込めることから1996年に改称されました。

ところで、この生活習慣病には、具体的にどのような病気や症状が当てはまるのでしょうか。また、生活習慣病と併せて語られることの多いメタボリックシンドロームや三大疾病についても清益先生に伺ってみました。

「生活習慣病はすでに『病気』であるため、治療を要する疾患を指し、代表的なものは高血圧症や糖尿病、高コレステロール血症、痛風などが挙げられます。一方で、メタボリックシンドロームは、生活習慣病になる一歩手前の状態と言えるでしょう。ただし、そのまま放っておいたら高血圧や糖尿病などにかかるリスクが高く、メタボリックシンドロームと診断されたら生活習慣の改善が求められます」(清益先生)。

ちなみに、男性の場合、腹囲85cm以上、女性は90cm以上で、かつ血圧・血糖・脂質の3つのうち2つ以上が基準値から外れるとメタボリックシンドロームと診断されます。

また、一般的に三大疾病と言われている「がん」「心筋梗塞」「脳卒中」と、生活習慣病の関係はどのようなものなのでしょうか。

「生活習慣病に含まれる高血圧症や高コレステロール血症が続くと、血管を傷め、やがて心筋梗塞や脳卒中を引き起こす原因になりかねません。がんについては、発症するのにさまざまな要因が考えられるので生活習慣病に当てはまるのかは判断が難しいところですが、長年喫煙を続けたり、生活習慣の乱れで免疫力が落ちてがんが発症したりする可能性もありますので、まったく無関係とも言い切れません」(清益先生)。

食事や運動だけでなく、ストレスも原因に

生活習慣の乱れによって時には命に関わる病気にもつながりかねない生活習慣病ですが、そもそもどのような原因でかかってしまうものなのでしょうか。清益先生によると、やはり偏った食生活や運動不足が大きな原因だそうです。

過度な飲食を避けるのはもちろん、さまざまな栄養をバランスよく摂ることが大切です。例えば、炭水化物や脂肪が多い偏った食事ではメタボリックシンドロームになる恐れが高まります。さらに、たとえバランスのよい食事を心掛けていても、摂取したエネルギーをきちんと消費できるように体を動かすことも重要です」(清益先生)。

運動不足について、コロナ禍を経て生活習慣が変わり、体を動かすことが少なくなったという人も多いかもしれません。通勤や通学で毎日一定時間歩く習慣がなくなったり、リモートワークで円滑なコミュニケーションができなかったりという理由でストレスが増えてしまうことも、実は生活習慣病につながる可能性があるのです。

「ストレスによって自律神経が乱れ、不安や緊張が高まることで交感神経が働き、血圧が上昇します。そして、その状態が続くことで高血圧を引き起こし、血管に負荷がかかることでさらなる疾患につながる可能性もあります。また、ストレスは免疫力を低下させるため、がんが発症するリスクも高まってしまいます」(清益先生)。

生活習慣病にならないためには?

生活習慣病になる大きな原因は偏った食事や運動不足、ストレスとのことですが、予防するには、その病名の通り、生活習慣を見直すことが求められます。そこで清益先生に生活習慣病の予防法についてお話を伺いました。

「まず、バランスのよい食事を心がけたいなら、農林水産省が発表している『食事バランスガイド』を参考にするのも一つの手。これは1日の食事を『主食』『副菜』『主菜』『牛乳・乳製品』『果物』に分け、それぞれどのくらいの量を摂取すればよいか、分かりやすく示しています。

飲酒については、厚生労働省が公布している『健康日本21』※1では、『日本人の節度ある適度な飲酒は1日平均純アルコールで20g程度』と定義しています。この『アルコール20g』とは、ビールなら『中ビン1本』、日本酒は『1合』、チューハイ(7%)は『350ml缶1本』、ウイスキーは『ダブル1杯』など。晩酌をするときは、この“適量”を意識するといいでしょう。

運動についても目安が欲しいと感じる方がいるかもしれません。そんな方に紹介したいのが、運動や生活活動の強度を数値化した『メッツ(METs)』という単位です。これは安静時(静かに座っている状態)を1としたときと比較して何倍のエネルギーを消費するかが分かるもので、例えば、『ボウリング』や『犬の散歩』は3メッツ、『卓球』『階段をゆっくり上る』は4メッツ、『ウェイトトレーニング』『スコップで雪かき』は6メッツなど、身体活動(=生活活動+運動)のそれぞれの強度を知ることができるのです。

※1 厚生労働省が展開する、21世紀における国民健康づくり運動。国民・企業・団体等に健康づくりの取り組みを浸透させ、健康増進の観点から理想とする社会を目指す

※2 安静にしている状態よりも多くのエネルギーを消費する骨格筋の収縮を伴う全ての活動。
※3 身体活動の一部で、日常生活における家事・労働・通勤・通学などに伴う活動。
※4 身体活動の一部で、スポーツやフィットネスなどの健康・体力の維持・増進を目的として、計画的・定期的に実施する活動。

出典:厚生労働省「健康づくりのための身体活動・運動ガイド 2023」より抜粋

ちなみに、成人は3メッツ以上の強度の身体活動を1日60分以上行う(週23メッツ・時以上)ことが推奨されています。例えば、散歩や通勤などで普通歩行を40分、階段の上り下りを5分、ほどほどの強度の筋トレを10分で3メッツ以上60分の身体活動となります。運動不足解消のために何かしたいと考えている方は、この数値を目安に始めるのもいいかもしれません。

運動だけでなく普段の生活活動の強度も数値化することで、目標が立てやすくなると思います。そして、運動を続けることが結果として生活習慣病の予防にもつながるでしょう」(清益先生)。

バランスのよい食事を摂り、適度に体を動かす。ただ、予防のために忘れてはならないのが定期的に健康診断を受けること。生活習慣病のなかには自覚症状のないものもあり、常に自分の体の状態を把握しておくことはとても重要です。

「健康診断を受けると、コレステロールや中性脂肪、尿酸などの生活習慣病にかかわる数値が確認できるため、発症を未然に防ぐことにつながり、さらに、前回値と比べ自分の生活習慣を見直すきっかけにもなります。大事なのは、ただ健康診断を受けるだけでなく、その結果を日頃の生活に生かすこと。それが生活習慣病の予防に大事なことなのです」(清益先生)。

監修者プロフィール

清益 功浩 | Kiyomasu Takahiro

小児科医・アレルギー専門医。京都大学医学部卒業後、日本赤十字社和歌山医療センター、京都医療センターなどを経て、大阪府済生会中津病院小児科・アレルギー科で診療に従事。論文・学会報告多数。All About「家庭の医学」ガイドとして生活習慣病の記事執筆を行うなど、診察室外で多くの方に正確な医療情報を届けている。またテレビ、書籍などでも情報発信を行っている。

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