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病気の予防
2024.12
冬はインフルエンザやノロウイルスなどによる感染症が流行しやすい季節です。2024年はマイコプラズマ肺炎などの感染も広がっています。そうした感染症が重症化するサイン、予防に役立つ食事や普段の行動などを紹介します。
感染症の原因の一つであるウイルスは、一般的に低温・低湿度の環境を好むため、冬は夏よりも活動が盛んになりやすいといわれています。空気中でウイルスの浮遊期間も長くなり、感染力が強まります。さらに乾燥した空気の中ではウイルスは水分を含みにくく、湿度が高い時期より長く漂うことができるため、感染が広がりやすいのです。
また、冬は私たちの体も感染症を防ぐ力が弱まりやすい季節です。例えば、ウイルスや細菌などの侵入を防いでくれる鼻や喉の粘膜は、乾燥すると防御力が低下します。ウイルスが活発になるのを防ぎ、体の防御機能が低下しないよう、冬の室温は20~25℃、湿度は50~60%程度に調節するとよいでしょう。
特に子どもがかかりやすい病気
病原体 | インフルエンザウイルスが病原体。主な感染経路は飛沫感染と接触感染 |
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主な症状 | 急に起こる38度以上の発熱、咳、のどの痛み、鼻水、頭痛、関節痛、筋肉痛など |
主な重症化のサイン |
子どもの場合/呼吸が速く、苦しそうな様子。水分や食事がとれない。けいれんを起こす。呼びかけに反応がない 大人の場合/呼吸が苦しい。息切れがある。胸の痛みが続く |
主な予防法 | 帰宅後や調理の前後、食事前などに正しい手洗いを徹底する。アルコールによる手指消毒も有効。予防接種を受ける |
病原体 | マイコプラズマ・ニューモニエという菌が病原体。主な感染経路は飛沫感染と接触感染。特に、咳やくしゃみなどから広がることが多い |
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主な症状 | 発熱(37.5度~39度程度)、乾いた咳が長引く、喉の痛み、全身のだるさ、倦怠感など。通常の風邪よりも咳が長引くことが多く、1か月以上続くこともある |
主な重症化のサイン | 呼吸困難や胸の痛みがある場合、酸素が不足して唇が青くなるなどのチアノーゼが現れた場合は、重症化の可能性がある。子どもでは元気がなくなり、食事や水分を取れなくなる場合も注意が必要 |
主な予防法 | 手洗いや咳エチケットを徹底することが重要。人混みを避けることや、体調が悪い時はマスクを着用することも推奨される。また、免疫力を高めるために十分な睡眠とバランスの取れた食事を心がける。 |
病原体 | 主な病原体はノロウイルス、ロタウイルスなど。主な感染経路は接触感染、飛沫感染のほか、ウイルスに汚染された食品を食べた経口感染は食中毒とも呼ばれる |
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主な症状 |
ノロウイルスの場合/突発的な嘔吐、下痢ほか、腹痛など。1〜2日で治るケースが多い ロタウイルスの場合/0~6歳頃にかかりやすく、発熱、水のような下痢、嘔吐が繰り返し起こる |
主な重症化のサイン |
ノロウイルスの場合/1日に数十回の激しい嘔吐と下痢、脱水症状など ロタウイルスの場合/激しい下痢や嘔吐、重い脱水症状など |
主な予防法 | 調理の前後、食事前などに正しい手洗いを徹底する。ノロウイルスの場合は食物の中心温度85〜90℃、90秒以上の加熱が望ましい。調理器具や調理台は洗剤で十分に洗った後、次亜塩素酸ナトリウムを薄めた液で消毒する。感染力が非常に強いロタウイルスは加熱や消毒で完全に予防することは難しいため、乳児では早期に予防接種も検討を |
病原体 | RSウイルスが病原体。1~2歳頃に多いが、大人にも感染する。主な感染経路は飛沫感染、接触感染 |
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主な症状 | 発熱、鼻水などの症状が数日続く |
主な重症化のサイン | 咳がひどくなる、ゼーゼー・ヒューヒューといった喘鳴(ぜいめい)が出る、呼吸が苦しくなるなど |
主な予防法 | 帰宅後などに正しい手洗いを徹底する。アルコールによる手指消毒も有効。子どもたちが触れるおもちゃ、手すりなどはアルコールや塩素系の消毒剤などで消毒する |
病原体 | 溶連菌(溶血性連鎖球菌)が病原体。6歳から12歳頃に多いが、大人にも感染する。主な感染経路は飛沫感染、接触感染 |
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主な症状 |
溶連菌にはA群のほかB群、C群、G群などがあり、新生児以外ではA群以外は感染しても無症状のことが多い。 A群の場合/発熱、喉の痛み、扁桃腺の腫れや痛み、発疹、舌にイチゴのようなブツブツができて痛みを伴う「イチゴ舌」など。A群溶血性レンサ球菌咽頭炎とも呼ばれる |
主な重症化のサイン | 劇症型溶血性連鎖球菌感染症になる場合があり、腕や足の痛みや腫れ、発熱、下痢、吐き気、嘔吐、血圧の低下などを伴う。劇症型は子どもから大人までかかるが、特に30歳以上に多い |
主な予防法 | 帰宅後などに正しい手洗いを徹底する。アルコールによる手指消毒も有効。子どもたちが触れるおもちゃ、手すりなどはアルコールや塩素系の消毒剤などで消毒する |
病原体 | 水痘帯状疱疹ウイルスが病原体。9歳以下での発症が9割以上を占める。主な感染経路は空気感染、飛沫感染、接触感染 |
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主な症状 | 発熱、強いかゆみを伴う全身の発疹・水ぶくれなど。発疹は皮膚の表面が赤くなった後、水ぶくれになり、皮膚がかさぶたになって治癒することが多い。発疹が口の中や喉の粘膜にできた場合、水も飲みにくいので脱水症状に注意 |
主な重症化のサイン | 子どもは脳炎、肺炎などと合併して重症化することがある。重症化の症状は呼吸が浅い、または息をするのが苦しそう。意識を失う、けいれんするなど |
主な予防法 | 非常に感染力が強く、同じ部屋にいるだけで感染。日本では水痘ワクチンの接種が推奨され、生後12か月から生後36か月の間は無料で受けられる |
感染症が起きるのは、感染源となる病原体、感染経路、感染してしまう宿主(しゅくしゅ)という3つの要因がそろったときです。予防には、3つの要因のうち1つでもよいので、解決することが重要です。例えば正しい手洗いは病原体を排除し、手が触れるものの消毒は感染経路を絶つのに有効です。
また、以下のような重症化しやすいとされる人は、感染症対策に一層の気配りが必要になります。
例えば
免疫システムの活性化のためには、十分な睡眠、適度な運動に加え、規則正しい生活に栄養バランスのとれた食事が大切です。豆腐・肉・乳類などの良質のタンパク質、ビタミンA・ビタミンEなどのビタミン類、亜鉛・セレン・銅・マンガンなどのミネラル類、コレステロールなどは免疫細胞の強化に役立ちます。さらに、体の免疫細胞の約7割が集まる腸の状態を良くする食品を積極的にとることで、体の免疫システムの活性化に期待できます。
例えば
適度な運動と休息、免疫システムの活性化に役立つ食事、さらに室温・湿度の調節、正しい手洗いや消毒など、普段の行動を見直して感染症になりにくい生活を目指しましょう。
それでも自分や家族が感染症にかかってしまったら、感染を広げない行動をとり、安静にして体を休める、こまめに水分を補給するなどで回復をはかりましょう。また、重症化のサインを見逃さず、気になるときは病院や薬局などに相談してください。
ソニー生命ではお客さまの健康をサポートするため、オンライン診療も可能な、日本最大級の医師相談サイト「AskDoctors(アスクドクターズ)」を提供しております。ご自身や家族の医療・健康上の不安や悩みを解消し、健やかな毎日を送りましょう。
監修者プロフィール
清益 功浩 | Takahiro Kiyomasu
小児科医・アレルギー専門医。京都大学医学部卒業後、日本赤十字社和歌山医療センター、京都医療センターなどを経て、大阪府済生会中津病院小児科・アレルギー科で診療に従事。論文・学会報告多数。診察室外で多くの方に正確な医療情報を届けたいと、インターネットやテレビ、書籍などでも数多くの情報発信を行っている。
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