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健康管理
2025.03
季節の変わり目は疲れやすかったり、やる気が起きなかったりと、体や心が「何となく調子が悪い」状態が続く人も多いのでは?そうした不調を改善するセルフケアの一つとして、自律神経の整え方を紹介します。
季節の変わり目は寒暖差が激しく、体にストレスがかかりやすい時期。また、年度末で仕事が忙しくなったり、進学や就職、引っ越しなど生活や環境面で大きな変化が加わると、体と心の不調を引き起こすこともあるでしょう。
季節の変わり目に起きやすい不調は、倦怠感、疲れやすさ、集中力の低下、肩こり、めまい、頭痛、手足のしびれなど多様ですが、その原因の一つとされるのが、体を24時間周期に合わせて調整している体内時計=概日リズムの乱れです。
人間の体内時計の周期は約25時間ですが、朝に光を浴び、食事や運動をすることで、地球の周期である24時間に修正されます。この修正のためのもっとも大きな因子は「光」であるといわれていて、日照時間の変化が大きい春先や秋口など季節の変わり目はリズムが乱れやすくなります。これにより体のさまざまな働きをコントロールする自律神経の調整もうまくいかなくなり、体や心の不調につながることがあるのです。
また、春先や秋口は高気圧と低気圧が日本列島を交互に通過し、天気も気圧も数日おきに変わることの多い時期。こうした頻繁な気圧の変化や寒暖差によっても自律神経が乱れやすいとされています。
では、自律神経が乱れるとなぜさまざまな不調が起きるのでしょうか?それは自律神経が呼吸や血液の循環、体温、消化、発汗など生命を維持する機能をコントロールしているからです。自律神経のうち交感神経は体を活動的にして緊張させ、副交感神経は体を休息させリラックスさせる役割があります。
これらの調節がうまくいかないと以下のような不調が起きやすくなります。
・体温調整がうまくいかないと
寒暖差が大きくなる時期に一定の体温が保ちにくくなり、寒気を感じたりのぼせたりすることも
・血液循環や血圧がうまく調整ができないと
動悸や立ちくらみの原因に。また、気圧の変化に合わせて血圧を調整できず、頭痛、めまいが起きることも
・消化器がうまく働かないと
食欲がでない、おなかが痛む、便秘や下痢が起きやすいなどの不調に
・体の神経の働きが弱まると
手足のしびれ、手足の感覚の異常、肩こりなどが起きることも
また、自律神経は体の免疫システムを活発にしたり、修復したりする機能と関連があるとされ、自律神経の乱れは免疫にも大きく影響します。
さまざまな不調を招きやすい自律神経の乱れ。毎日の行動によるセルフケアで乱れを整えていきましょう。
・規則正しい睡眠をとる
自律神経の働きのもとになる概日リズムは、適切に光を浴びることで調整されます。そのため毎日一定の時刻に眠って起きることが大切。十分な睡眠時間は7〜8時間とされますが、日本人の睡眠時間は7時間未満が73%*1を占めるなど睡眠不足が顕著です。2021年に発表された経済協力開発機構(OECD)の調査によると、日本人の平均睡眠時間は7時間22分で日本を含む世界33カ国の中で最下位でした。もっとも睡眠時間の長い国は南アフリカ(9時間13分)という結果が出ています。
出典:「経済協力開発機構(OECD)、Gender data portal 2021」をもとにソニー生命作成
規則正しい睡眠をとるには、まず朝の起床時刻を一定にすることを優先しましょう。人間の体は、朝に日の光を浴びてから約15時間後に自然と眠くなるようにできています。睡眠不足だからといって、休日などに朝寝坊をすると就寝時間になってもなかなか寝付けず、悪循環に陥ってしまいます。
日中はこまめに体を動かしましょう。夜は飲酒やカフェイン摂取を控え、パソコンやスマートフォンは体が睡眠に入る準備を妨げるので使用を避けるのがベターです。寝室はなるべく暗く、心地よい温度にすることで、眠りやすくなります(参考:厚生労働省 Good Sleepガイド(ぐっすりガイド)成人版)。
*1 令和元年(2019年)国民健康・栄養調査報告 5時間未満8.8%、5時間以上6時間未満30.3%、6時間以上7時間未満34.6%の合計
・リラックスする時間をつくる
時間があれば、好きな音楽を聴く、公園など緑の中を散歩する、ぬるめのお湯(38〜40度くらい)に長めにつかるなどリラックスする時間をつくりましょう。また、5〜10分ほどでもリラックスする方法はあります。
・ゆっくりと深く腹式呼吸で深呼吸をする
一度全身に力を入れて(全力ではなく60〜70%ほど)緊張させてから全身の力を抜いてリラックスすることも重要です。
手足をお湯につけて温めたりすると短時間でリラックスできます。
・適度な運動を行う
血行促進にも役立つウォーキング、筋肉を緩めるストレッチなどの軽い運動を習慣化することも、自律神経を整えるのに役立ちます。ウォーキングのようなアクティブな運動は朝や日中、ストレッチなどは副交感神経を優位にしてリラックスできるので夕方から夜に行うのがお勧め。
日中は、エスカレーターを使わずに階段を利用する、いつもより2,000〜3,000歩は多めに歩くなど、できることから少しずつ始めてみましょう。
・バランスのとれた食事を意識する
自律神経を整えるには食事内容のバランスが大切。普段の食事で不足しがちなビタミン、ミネラルなどを積極的に食事にとりいれてください。エネルギー代謝をサポートして神経機能に働くビタミンB類は脂の少ない肉類、魚介類のほか、さまざまな食材に含まれます。自律神経の調節にかかわるセロトニンの主成分になるトリプトファンを多く含むのは、牛乳やヨーグルトなどの乳製品、納豆や豆腐、味噌、醤油などの大豆製品、バナナ、ナッツ類などです。腸内環境を整えるとされる発酵食品、食物繊維も定期的にとるようにしましょう。
自律神経を整える働きに関連するのは睡眠、運動、食事など多岐にわたります。すべてを一度に改善するのは難しくても、まずはどれか一つを変えることにチャレンジして、その生活を続けていくことが大切。季節の変わり目の不調を感じにくい体づくりを心がけましょう。
監修者プロフィール
清益 功浩 | Takahiro Kiyomasu
小児科医・アレルギー専門医。京都大学医学部卒業後、日本赤十字社和歌山医療センター、京都医療センターなどを経て、大阪府済生会中津病院小児科・アレルギー科で診療に従事。論文・学会報告多数。診察室外で多くの方に正確な医療情報を届けたいと、インターネットやテレビ、書籍などでも数多くの情報発信を行っている。
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