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健康管理

2025.04

ぎっくり腰は予防できる?簡単に始められるストレッチ

  • #健康管理
  • #運動

突然の強い痛みを伴う「ぎっくり腰」。引越しなどで重いものを持ち上げたときだけではなく、日常の何気ない動きがきっかけでぎっくり腰になることも少なくありません。誰にでも起こりうるぎっくり腰の原因や症状、適切な対処法に加え、予防のためのストレッチなどについて解説します。

急性腰痛症(ぎっくり腰)とは?

正式名称は「急性腰痛」で、欧米では「魔女の一撃(Hexenschuss)」とも呼ばれています。重いものを持ち上げた際に痛くなるイメージがありますが、くしゃみをしたときや立ち上がろうとしたときなど、日常の何気ない動作で起きることも多々あります。

ぎっくり腰で腰痛が発生する原因は、まだはっきりとわかっていません。腰部周囲の靭帯や筋肉、関節、神経に何らかの刺激が加わることで痛みが発生していると考えられています。現時点で考えられている原因は、主に以下の2つです。

  1. 筋膜の強い炎症
    筋膜とは、筋肉や骨、関節などを包む薄い膜のこと。日常の何気ない動作で引き伸ばされた腰部周囲の筋膜が損傷し、痛みにつながると考えられています。特に長時間のデスクワークで筋肉の柔軟性が低下していたり、重い荷物を運んで筋疲労が蓄積したりすると筋膜が損傷しやすくなります。また、もともと体が硬い方や慢性的な腰痛を持っている方も、筋肉の柔軟性が低下している可能性があるため、筋膜の炎症によるぎっくり腰に注意しましょう。
  2. 腰椎椎間関節症
    腰部にある背骨(腰椎)を繋ぐ関節は、関節包という関節全体を包む膜や、靭帯、骨などで構成されています。これらの組織には感覚を感じる受容体が存在しているため、椎間関節で炎症が起こると、周辺の組織を刺激して強い痛みが発生します。このように、関節内の炎症によって痛みが起こる症状が、ぎっくり腰になる原因のひとつと考えられています。繰り返し加わる外力や関節内の微小な骨折などによって引き起こされると考えられており、特に腰をひねる動作を繰り返すことで関節に大きな負担がかかります。

ぎっくり腰の症状 「起きる・立つ・歩く」も困難に

症状の程度は個人差がありますが、共通するのは強い痛みです。具体的な症状の事例は、以下のとおりです。

  • 脂汗をかくほどの強い痛みがある
  • 動作のたびに激痛があるため動けない
  • 一度横になると体を起こすまでに時間がかかる
  • 歩行が難しい
  • 寝返りができない

通常、数日から10日で自然と回復します。一方で強い痛みが2週間以上続く場合は、椎間板ヘルニアなどの深刻な病気が隠れている可能性もあるので、早めに整形外科を受診しましょう。

ぎっくり腰を発症したときの対処法

痛みが強い数日間はむやみに動かず、楽な姿勢で過ごしましょう。腰周辺の組織が炎症を起こしている可能性もあるため、1日数回はアイスパックで10分程度冷やすと痛みが緩和されます。市販の鎮痛剤や湿布薬(外用鎮痛消炎剤)も有効です。
患部を温めないために、入浴も避けたほうが無難です。濡らしたタオルで体を拭くか、シャワーでさっと汗を流す程度にしておきましょう。痛みが悪化した際には、布団などに横になり、痛い部位を冷やすことで落ち着きます。

強い痛みがある方は、膝の下にクッションを挟み、膝が90度曲がった状態で寝るとよいでしょう。腰に負担がかかりにくく楽に過ごせます。また、左右で痛みに差がある場合は、痛いほうを上にして横向きに寝ると痛みが緩和されます。

ぎっくり腰の場合、2~3日で強い痛みは落ち着きます。
少し動けるようになったら、できるだけ体を温め、無理のない範囲で日常生活に戻りましょう。強い痛みで動けない時期が過ぎたあとは、できるだけ普段通りの生活を送ったほうが早く回復すると複数の研究でわかっています。

ぎっくり腰を繰り返す原因は?

ぎっくり腰になった方の4人に1人は、1年以上痛みが続くと言われています。
ぎっくり腰を再発する原因のひとつは、椎間板などに損傷が残ったままになっていることです。この場合は、レントゲンやMRIによる診断が必要です。場合によっては、手術で損傷を修復する必要があるため、腰痛に詳しい専門の病院で治療しましょう。

ぎっくり腰を繰り返すもうひとつの原因は、腰を支えたり制御したりする筋力が弱っているか、筋肉の柔軟性が低下したまま生活していることです。また、日常生活の中で、無意識に腰に負担のかかる動作を繰り返していることも再発の原因となります。姿勢や動作を意識して生活すると、ぎっくり腰の再発を予防できます。
また、近年の研究では、ぎっくり腰をきっかけに動くことへの恐怖感などが残ってしまい、非効率な体の使い方をしてしまうことでさらなる腰痛やぎっくり腰の再発に影響する可能性が報告されています。

ぎっくり腰を予防するための運動とストレッチ

【運動】
ぎっくり腰の予防には、全身の筋力をつけるよりも、関節の動きをスムーズにすることが効果的です。正しい姿勢を保ちながら20〜30分のウォーキングを継続して行うとよいでしょう。
壁に背中とかかとが付くように立ったときに、腰の隙間に手のひらが半分通る程度に反っているのが正しい姿勢の目安です。歩く際には、足の裏をしっかりと使いながら歩くよう意識すると、全身の運動になります。
一方、無理な筋トレは、腰痛が悪化する原因になるため避けましょう。

【ストレッチ】
・腰を反らす動き
デスクワークや家事などで前かがみの姿勢が多い方は、腰を反らすストレッチがおすすめです。

・腰を丸める動き
立ち仕事が多い方や頻繁にヒールを履く方は、反り腰になりやすい傾向があります。
反り腰になりやすい方には腰を丸める動きがおすすめです。

・腰から背中を伸ばす動き
腰の周辺の筋肉のストレッチも行うとより効果的です。

例えば、四つん這いの状態から、息を吐きながら背中を丸めます。そして四つん這いの姿勢に戻り、次は息を吸いながら背中をグッとそらし、体を伸ばしましょう。

この動きを5回程度繰り返すと、腰から背中にかけての筋肉が伸びて良いストレッチになります。

【その他】
ぎっくり腰を予防には、運動やストレッチだけでなく、日常生活の中でも工夫できることがあります。

デスクワーク中心の方は、猫背の姿勢になりやすく、重心が前にかかった姿勢になりやすい傾向があります。そのため、できるだけ胸を張って、重心が後ろにくるように意識しましょう。
また、長時間座って作業をしたあとは、急に立ち上がらず、最初はゆっくりとした動作を意識することが大切です。立っているよりも、座っているときのほうが腰に負担がかかります。長時間座る必要がある際には、定期的に立ち上がって運動することを意識しましょう。

柔らかいベッドやソファを避けることも大切です。柔らかい布団やソファは、腰に負担がかかりやすい場合もあります。腰への負担を軽減するためには、適度な硬さがあるベッドやソファを選ぶとよいでしょう。
腰への負担を軽減するには、体を温めることも有効です。特に、入浴の際にしっかり体を温めると、腰周囲の筋疲労が緩和されるため、ぎっくり腰予防に効果的です。

さらに、心理面の配慮も必要です。ぎっくり腰をきっかけに動くことに恐怖を感じ、発症前にできたことがなんとなく怖くてできなくなっている場合は、少しずつ意識的に活動範囲をもどしていくことが重要です。

まとめ

ぎっくり腰になってしまった際は、まず痛みが落ち着くまで安静にしましょう。ただし、2〜3日で痛みが緩和してきたら、普段通りに行動することが大切です。なぜなら、できるだけ早く普段通りに動き始めることで回復が早まるからです。

ぎっくり腰の予防(再発防止を含む)には、適度な運動とストレッチが有効です。また、日常生活で正しい姿勢を保つことや、長時間座り続けることを避ける、動く恐怖感をなるべく早めに取り除く、などの工夫も意識するとよいでしょう。

監修者プロフィール

三木 貴弘 | Takahiro Miki

理学療法士の国家資格を取得後、オーストラリアの大学に留学。 日本に戻ったあと、現在は国内にて理学療法士・研究者として従事。専門分野での学会発表、論文執筆、書籍執筆と並行し、雑誌やWeb媒体などで日本の専門家や一般の方々に最新知識を伝えている。博士(Health Science)号。

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