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健康管理
2025.10
ストレートネック(通称:スマホ首)は、肩こりや首の痛みだけではなく、頭痛、不眠、さらにはぽっこりお腹などの原因にもなると考えられています。とくにパソコンやスマートフォンを使う機会が多い方は、普段から姿勢を意識して、発症や悪化を予防することが大切です。本記事では、ストレートネックの症状や原因、対策について解説します。
正常な頚椎(けいつい)は7つの骨からなり、前方に緩やかにカーブ(いわゆる前弯)していますが、日々の生活で無理な姿勢を続けると、カーブがなくなり、常に真っすぐ並んだ状態になります。このように頸椎が直線的になっている状態を、「ストレートネック(通称:スマホ首)」と呼びます。
ストレートネックは、さまざまな体の不調を引き起こす現代の新たな健康課題として考えられています。


ストレートネックは、本来前方へカーブしている頸椎が真っすぐになることで、頭の重みを支える筋肉や靭帯に過剰な負担がかかり、主に首や肩のこり、痛み、しびれを生じやすくなります。さらに負担が続くと、血流の滞りや神経の圧迫が起こりやすくなり、頭痛やめまい、不眠、腰痛などの症状につながることがあります。
また、頭部が前に出る姿勢は、下顎を前方に移動させ口が開きやすくなるため、鼻呼吸を妨げ、口呼吸を誘発しやすいのが特徴です。口呼吸が常態化すると口腔内が乾燥し、唾液による自浄作用が低下することで、細菌やウイルスに感染しやすくなり、また、口臭が発生しやすくなります。
また、姿勢の悪い状態が続くことで、顔や胸周りの筋肉の支持力が弱まり、たるみが目立ちやすくなります。加えて、骨盤や体幹の姿勢が崩れることで、腹部の筋肉が使われにくくなり、ぽっこりお腹やお尻のたるみといった体型の変化も生じやすくなると考えられています。

現代ではスマートフォンやパソコンを長時間使う機会が増え、ストレートネックの深刻化が懸念されています。
特に、スマートフォンを長時間覗き込む姿勢や、デスクワークで頭が前に出る状態が続くと、首の筋肉や靭帯に負担がかかり、頸椎の自然なカーブが失われやすくなることが指摘されています。
児童期から思春期にかけての座り姿勢の悪さも大きく影響していると言われています。子どもがスマートフォンやゲーム機を使う際は、使用時間を決め、椅子に座って正しい姿勢で使うよう促すとよいでしょう。
正しい姿勢をとるポイントは、猫背になるのを避け、目線を下げすぎないことです。
パキスタンのラホール大学の研究では、4つの異なる大学に在籍する大学生男女197名のうち63.96%がストレートネックであったと報告されています。また、インドのアデシュ大学で行われた研究では、同大学に所属する18歳から30歳までの男女200名のうち73%がストレートネックであることが明らかになりました。さらに、そのうち8.21%は一日中痛みを感じていたとされています。
ここでは、簡易的なセルフチェック方法と、日常生活で意識するポイントをご紹介します。
【ストレートネックのセルフチェック】

※この方法はあくまで目安です。気になる場合は専門医に相談してください。
改善に必要な首回りや肩甲骨を中心としたストレッチや体操を無理のない範囲で、まずは1日1回の継続を試みましょう。
【首のストレッチ】

首のストレッチは、頚椎の柔軟性を取り戻すために効果的です。
【肩甲骨の体操】

肩甲骨の体操は、猫背の改善にもつながります。
【日常生活で意識したいポイント】
ストレートネックの予防には、普段使用するアイテムを工夫することも大切です。ここでは、ストレートネックの予防に効果的なグッズの例を3つご紹介します。
【オーダーメイド枕】
体型に合わせた高さや硬さの枕を選ぶことで、首への負担を軽減し、ストレートネックの予防に効果的です。専門家に相談しながら最適な枕を選びましょう。
【パソコンスタンド】
ノートパソコンの使用時は、視線が下に向いた姿勢での作業になりがちです。首のカーブをできるだけ正常に保つために、画面の高さを調整できるスタンドに置いて作業すると良いでしょう。

【昇降デスク】
体の大きさに対して作業用デスクが低い場合、常に下を向いた状態で作業をすることになり、首に大きな負担がかかる場合があります。パソコンの画面などができるだけ目線の高さに近づくよう、昇降式デスクを使用すると良いでしょう。


ストレートネックは、単なる首や肩の不調だけでなく、頭痛、めまい、顔や体型の変化、口呼吸による感染リスクなどを引き起こす可能性があります。
スマートフォンやパソコンを見る際は正しい姿勢で過ごすように意識しましょう。普段から自身の姿勢をチェックして、正しい姿勢で生活することを心がけ、定期的に首のストレッチや肩甲骨の体操を行うことが、ストレートネックの予防につながります。

監修者プロフィール
三木 貴弘 | Takahiro Miki
理学療法士・研究者として従事。専門分野での学会発表、論文執筆、書籍執筆と並行し、雑誌やWeb媒体などで日本の専門家や一般の方々に最新知識を伝えている。
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